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Vol.3東京都・ 国立国際医療研究センター病院 診療前検査と専門性で診療に貢献 フローサイトメトリー検査で検査品質・安全性・運用性を追求

造血幹細胞移植の関係ガイドラインの整備が進み、指標となるCD34陽性細胞数測定のニーズが高まるなど、フローサイトメトリー検査が注目を集めている。一方で、専門的な知識や技術、経験が要求される検査であることから、検査品質の確保、安全性・運用性の向上、技師の育成などの課題もある。国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)中央検査部の長谷川達朗主任は、フローサイトメーターを使用するメリットを「正確性とスピードだ」と指摘。同検査に携わってきた自身の経験から、「診断に近い意味を持つ検査と言える」との考えを示す。

検査部職員
中央検査部の職員(右から2人目が長谷川主任)

同院は、高度で先進的な専門技術を統合した医療の提供を方針としている。同時に日本を代表するエイズ治療拠点病院であり、1カ月に1000人近いHIV患者が訪れる。検査室では、ベックマン・コールターのフローサイトメーター「Cytomics FC500」を使ってリンパ球表面マーカーを測定している。最大1日70本もの検体が出るが、その多くを至急扱いで診療前検査に対応している。現在は「リンパ球表面マーカーの測定だけでフローサイトメーターが休む暇もない」(長谷川氏)状況だが、将来的にはCD34陽性細胞数の迅速対応など測定項目を充実させたいと語る。

長谷川氏は、フローサイトメーターを使用するメリットを「正確性とスピードだ」と強調。また、形態学的検査よりも客観性があるとし、「モノクロナリティーを見るには非常に良いツールだ」と述べた。特にデータ品質の高さと診療前検査に対応できるスピードは魅力だという。

ただ、「フローサイトメーターだけに頼っても駄目」だとも指摘する。病理検査に携わっていた経験から「例えば、ゲーティング(特定の細胞に限定したデータ解析操作)を行う際、『その細胞がどのゲート(領域)に行くのか』ということを考える方が、より正確な結果が出せる」と説明。検査においては、検査技師の思考、イメージ力といった技量と経験が求められるとした。また、「形態を最初に見ると、どのマーカーが出るかといったことまで読める」とも語った。

渡米時には、実際に病理医が自らフローサイトメーターを使って診断を行う場面を見たという同氏。この経験から"診断に近い検査"と認識し、「専門知識を持つことで検査結果に価値を付加し、医師や患者を総合的にサポートする検査室」を目指すようになったという。


キャップピアス方式による安全性を重視

長谷川氏は、フローサイトメトリー検査を行うにはリスクマネジメントが欠かせないと強調。ひとつは、サンプルや抗体の分注などの煩雑な前処理作業における人為的ミス機会の削減。もうひとつは、検査技師自身にとっての感染対策だ。特に感染症陽性患者の採血管の栓を開ける作業のリスクは大きい。(採血管の栓を取らずに検体を採取する)キャップピアス方式に対応した前処理装置である「TQ-PrepPlus2システム」と組み合わせて使用できることが「FC500を選定したポイントのひとつだった」と語り、同製品の安全性への寄与を高く評価した。

FC500
新検査室で活躍するCytomics FC500
また、同院では臨床検査システムを介してFC500と電子カルテの連携を実現している。長谷川氏は「フローサイトメトリーに携わる上で、これまでオンラインは壁だった」と述べ、検査結果や画像データの出力が可能なFC500を評価するとともに、上位システム連携における更なる運用性の向上にも期待を寄せた。

一方で、検査の品質向上に対する取り組みも不可欠だと指摘。特に、外部精度管理を課題とし、「月次ではなく、リアルタイムの外部精度管理が必要な時期に来ているのではないか」と指摘した。また、フローサイトメトリーが専門的な検査領域であることから「教育・学習が大事」と語る。自身もベックマン・コールターの学術サポートを活用しており、「手厚い対応に満足している」と述べた。

今年4月に独立行政法人へと移行した同院は、8月には新棟へ移転するなど、環境変化がめまぐるしい。そんな中で、高度先端医療や国際協力の一端を担うべく、迅速・正確・高レベルな検査の実施を追求する中央検査部。その一角で、今日も一心にフローサイトメトリー検査が行われている。

(The Medical & Test Journal 2010年9月21日 第1133号掲載)

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