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Vol.11:国立病院機構京都医療センター 臨床ニーズ・病院運営に寄与する検査室へ

国立病院機構京都医療センターは、2011年にFMSから自主運営に移行し、検査項目の追加や結果報告の迅速化など、臨床サイドや患者に対する付加価値の向上に取り組んでいる。 今年3月まで同院の臨床検査技師長を務めた渡久地政茂氏(現大阪医療センター臨床検査技師長)は、「“検査の採算性”といった指標に偏りがちだが、臨床サイドのニーズに応え、地域の医療を担う病院の運営に対して検査がどのような形で寄与できるかといった視点が重要だ」と指摘する。


渡久地氏

京都医療センターがFMSを導入したのは04年。旧国立病院の独立行政法人化を契機に、可能となったさまざまな運営形態の中から選択肢の1つとして採用した。ただ、時代の流れとともに同院の外来患者や検査件数は大幅に増加。さまざまな部分で当初の想定と実態との間に齟齬が生じてきたという。
渡久地氏は「例えば、病院の機能に合わせた検査項目を提案しようとしても、FMSであるために、意志決定まで時間がかかるほか、採算の合わない検査は行えない」と説明。国立病院機構という性格上、不採算でも必要な検査は行わざるを得ないため、採算の合う項目はFMSで、不採算項目は自前で分析装置をそろえて検査するといった矛盾を抱えるようになったと話す。


操作性に優れ、同院で活躍するAU5800

結果として、10年には検査実施数に応じて支払う分析装置・試薬費用の診療報酬比率は、検査件数の増加につれ、FMSを導入した04年当時の比率と比較して14.5ポイント増加した。そんな時、10年度診療報酬改定で新設された検体検査管理加算Wにより、年間6000万〜7000万円の増収が見込まれたことから、増収分を分析装置の導入費用に充てることで自主運営への移行を図った。渡久地氏は「患者サービスの向上、入院期間の短縮や薬剤の使用など、迅速な治療の判断に結び付く付加価値を総合的に考慮し、“検査の採算性”だけで判断すべきではない」と強調した。

柔軟な検査体制を構築


古田氏

11年6月に自主運営に移行し、約1年が経過するが、以前の矛盾点が解消できただけでなく、さまざまな効果も実感しているという。以前は、FMS導入当初の古い分析装置をそのまま使用していたため、処理スピードやバックアップ体制が整備できず、検査室に届く検体数を処理しきれない状態だったが、 自主運営への移行に合わせてベックマン・コールターの生化学自動分析装置AU5800や血球計数装置ユニセルDxH800を新たに導入するなど分析装置を一新。同院の古田賢二副臨床検査技師長は、「コルチゾールなど、臨床から要望が高かった検査項目を新たに追加したほか、迅速性とバックアップ体制を整備するため、それぞれの分析装置を検査室のコンセプトでもある2台構成とし、5年後に見込まれる検体数も処理できる能力を備えた」と話す。


ユニセルDxH800は従来機よりトラブルが減少

また、24時間体制の中で宿直時は、生理検査や微生物検査などを担当する検査技師を含め1人で対応することになるが、「AU5800は、操作性・メンテナンス性に優れ、普段装置に触れない検査技師でも、宿直時には戸惑いなく簡単に使用できる装置だ」と説明。ユニセルDxH800もチューブ類が大幅に削減され、トラブルの頻度も減少したという。
自主運営への移行後、検査件数は4.9%増加し、収入も13.4%増加。一方、支出の増加は4.5%に抑えられた。古田氏は「今後は、分析装置により効率化した分野の人員を、生理検査や微生物検査など、検査技師の技術を要する業務に振り分けたい」と述べ、これまで以上に選択と集中を意識した検査体制を整備していく考えを示している。


(The Medical & Test Journal 2012年6月1日 第1197号掲載)

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