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Vol.14:大阪医科大学附属病院 チーム医療への参画により臨床への貢献と人材育成を両立

  大阪医科大学附属病院(915床)は、継続的な改善や検査技師の意識統一といったISO15189取得のメリットを発揮しながら、検査データの評価を臨床サイドへ積極的に報告するなど、検査室の価値を高める取り組みに積極的だ。こうした取り組みの中、生化学自動分析装置の更新における検査部の“改善”に注目した。

  同院中央検査部で働く臨床検査技師は50名。そのうち、生化学、免疫、尿一般検査を集約した「化学検査室」には10人が配置されている。同院中央検査部の池本敏行技師長は「個々の検査技師の特性を見極めながら配置している」と説明。また「一つの専門性と、もう一つの専門性」と表現し、チーム医療へ積極的に参画する上でも、高い専門性と幅広い知識が不可欠だとの考えを示す。チーム医療については、ICTやNST、糖尿病療養指導など多様な取り組みに検査技師が参画している。
池本技師長
池本技師長
  一方、検体検査部門では検査データに評価を添えて臨床サイドへ報告することが重要であり、それに取り組んでいる。池本氏は医師や看護師の業務軽減につながる情報発信もチーム医療の一つだと話す。それだけに、高い専門性が求められると指摘する。
  また、池本氏は2009年に認定取得したISO15189について「取得後、3年ほど経過して、ようやく効果が目に見えてくる」と話す。同院の場合、大学の法人監査で評価を受けるポイントとISO15189の要求事項がマッチしていたこともあり、経営側からの評価が高いという。また、ISO15189の要求事項を満たすための仕組みづくりに検査室のほぼ全員が関与するため、検査技師の意識が統一される点も「技師長の立場から言えば、良いマネジメントツール」だと説明する。

AU5800導入により 結果報告時間を大幅に短縮

繁主任
繁主任
  同院では12年1月、ベックマン・コールターの「AU5800」(2ユニット2台、1ユニット1台)を導入。慎重な機種検討の上、財政面でのメリットや当直業務時の対応を考慮した操作性など運用面でのメリットが総合的に大きいと判断した。同院中央検査部の繁正志主任は「導入においては、精度や迅速性は前提として、コスト削減と再検率の低減をポイントにしていた」と説明。以前は再検率が高いことで、コストの圧迫だけでなく結果報告の遅延にもつながっており、運用の改善が命題であったという。特に、手希釈を行っていた項目については、その精度だけでなく、結果入力時のミスが発生し得るため、当直対応などを考慮すれば運用改善は不可避だった。装置の入れ替え後は、コスト削減はもちろん、再検率の低減についてももくろみ通り改善ができていると指摘する。装置の入れ替えに合わせてほぼ全ての項目を自動希釈へ変更し、再検基準を抜本的に見直すなど運用を大幅に改善したためだ。今後は、初回の分析から希釈指示を受け取ることができるAU5800の特徴的な機能を生かした運用を構築するなど、段階的かつ継続的な運用改善をもくろんでいる。
  そのほか、繁氏は当初期待していた通りの効果を示していると説明。特に、結果報告時間は大幅に短縮されたと評価する。建物の構造上、採血してから検査部に検体が届くまでの時間が長いため、測定にかかる時間の短縮がポイントであった。1日に処理を行う検体数は800件を超え、以前はぎりぎり1時間を切る水準だったが、AU5800導入後は40分台にまで短縮した。「操作も非常に簡便で、日々行わなければならないメンテナンスも多くないため、検体の迅速処理も相まって、業務の負担が大幅に軽減されている」と繁氏は指摘する。
  今後は、臨床への貢献と人材育成の双方の観点から、検査データに関する情報提供をより積極的に行うなど、検査部の価値向上にまい進していきたいと話す。同時に、ISO15189が前提とする“継続的な改善”を着々と推進する。

(The Medical & Test Journal 2012年9月21日 第1208号掲載)

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