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4. ゲーティング法

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散乱光サイトグラムで白血病細胞の分布がリンパ球などの正常血球細胞の分布と重なる検体では、白血病細胞と正常細胞を分離するためにCD45ゲーティングを利用する。CD45ゲーティングは、成熟リンパ球や単球がCD45強陽性、正常な幼若細胞を含む病的芽球がCD45弱陽性であることを利用する。一般的に、成熟T細胞由来の白血病や悪性リンパ腫細胞では、正常リンパ球のCD45発現量と差がないと考えられ、悪性リンパ腫の解析にCD45ゲーティングが利用されることは少ないが、CD45抗原の発現量の差から正常細胞と区別できることも多くある(図6、図7)。

図6 CD45の発現量の違いによる正常B細胞と腫瘍性B細胞の区別
図6 CD45の発現量の違いによる正常B細胞と腫瘍性B細胞の区別

散乱光ドットプロット上でリンパ球領域をゲーティング(図a)しただけでは、クロナリティの判定に曖昧さが残るが(図c, d)、CD45ゲーティングを併用することでCD45low+のB細胞(図b)がκ(-)λ(+)であることを容易に判断できる(図g, h)。このようにCD45ゲーティングはリンパ組織の表面マーカー解析にも有用である。

図7 CD45の発現量の違いによるリンパ腫細胞とリンパ球の区別
図7 CD45の発現量の違いによるリンパ腫細胞とリンパ球の区別

図V-5ではリンパ組織でのCD45ゲーティングの有用性を示したが、胸水(図上段)、末梢血(図下段左)、骨髄血(図下段右)でもCD45の発現量の差からリンパ腫細胞と正常リンパ球を区別できることもある。


4-2. CD3ゲーティング

CD3はT細胞特異的な表面抗原である(ただし、CD3εはNK細胞の細胞質内にも存在する)ので、CD3陽性細胞をゲーティング(CD3ゲーティング)することによってT細胞の表面マーカーのみを解析できる。特に成人T細胞白血病(ATL)細胞は正常T細胞に比べてCD3発現量が減弱していることが多いので、ATL細胞と正常T細胞の分離をすることができる(図8)。顆粒リンパ球(LGL)増多症は、T細胞あるいはNK細胞が増加した病態である。NK-LGLの場合は、NK細胞をCD3陰性細胞(B細胞が含まれるがこのような症例では比率は小さい)としてゲーティングすることでより正確な解析ができる。B細胞腫瘍の解析にはCD19ゲーティングが有効である(図9)。


図8 CD3ゲーティングによるT細胞性リンパ腫(菌状息肉症)の解析

形態的特徴から成人T細胞白血病(ATL)や菌状息肉症の白血化が疑われる検体の表面抗原解析においては、混在するB細胞やNK細胞の影響を避けるためにT細胞特異的なCD3抗体を用いてゲーティングを行う。CD3は活性化に伴って細胞表面の発現量が減少するため、正常T細胞と腫瘍性T細胞を区別できることもある(図上段右)。

図9 CD19ゲーティングによるB-CLL細胞の解析
図9 CD19ゲーティングによるB-CLL細胞の解析

 末梢血に増加しているリンパ球が、リンパ球サブセット測定からB細胞であると考えられる場合は、混在するT細胞やNK細胞の影響を避けるためB細胞特異的マーカーであるCD19抗体を用いてゲーティングする。


4-3. CD38ゲーティングとCD138ゲーティング

骨髄腫細胞の解析には、形質細胞(骨髄腫細胞を含む)がCD38強発現であることを利用してゲーティング(CD38ゲーティング)するのが一般的である(図10)。しかし、CD38抗原は形質細胞に特異的なマーカーではなくT細胞やB細胞にも強く発現し、骨髄腫細胞のCD38発現量がT細胞やB細胞より少ない症例もある(図11)。一方、CD138抗原(syndecan-1)は、形質細胞に特異的でありT細胞やB細胞には発現しない(pre-B細胞には弱く発現する)ので、骨髄腫細胞のゲーティング法としてCD138も応用されている(図10参照)。CD138発現量が低温で保存した検体で減弱するという報告もあるが、CD38でゲーティングした領域の適正をCD138の陽性率から判断することも少なくない。治療の有無にかかわらず300例以上の骨髄腫細胞がCD38もCD138も全例陽性であったとする報告2)もあり、今後は、CD38ゲーティングに加えCD138ゲーティングによる骨髄腫細胞の解析も考慮する必要がある。

図10 CD38とCD138による形質細胞のゲーティング
図10 CD38とCD138による形質細胞のゲーティング

一般的に形質細胞(骨髄腫細胞を含む)はCD38ゲーティングによって解析される。しかし、CD38は形質細胞に特異的な抗原ではなくT細胞やB細胞にも多く発現量する(図b, c)。CD138抗原は形質細胞に特異的であり形質細胞のゲーティング法として利用可能である(d, e)。


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