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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

第71回
問題 1
末梢血液像の細胞同定を行なって下さい。




問題 2
検査データと末梢血、骨髄像より考えられる疾患は何ですか。

【15-20歳.男性】 
主訴:両下肢の出血斑
WBC41,800/μL、RBC315万/μL、Hb9.3g/dL、Ht27.4%、PLT5.6万/μL、NCC25.0万/μL
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  • PB-MG×1000
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  • BM-MG×400
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  • BM-MG×1000
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  • BM-PO×1000





今回のねらい

 今回は、末梢血液像の細胞同定と症例の光顕的診断に挑みます。
細胞同定は、類似細胞の鑑別ポイントを明確にして同定を試みてください。
   症例編は、末梢血、骨髄の形態所見に注意しながら行ってください。
特殊染色にPO染色を提示していますのでその判定と追加の特殊染色には何が有効であるかを考え、その判定を予測してみてください。
   今回も選択肢がありませんので限られた情報を駆使しながら絞り込んでみてください。



解説

問題 1

(正解と解説)
   末梢血にみられた類似細胞または鑑別細胞を提示しました。細胞鑑別に最も重要な核クロマチンはクロマチン網工とクロマチン量に着眼し、前者は繊細と粗荒、凝縮塊と凝集塊に、後者は染色性の度合いに着眼しました。

【正答】

(case A) 裸核の巨核球、 (case B) リンパ球、        (case C) 変性リンパ球
(case D) 異型リンパ球、 (case E) 異常リンパ球、  (case F) 異常リンパ球

【解説】

(PB-MG ×1000)





(case A & F)
A.とF.は鑑別細胞になります。Aは細胞径20μm大で、細胞質は殆どみられず裸核状です。核のクロマチン網工は粗ながらもスムーズで濃染状、7時方向には血小板が付着していることで巨核球を思わせます。“母を訪ねて三千里‥?”ではありませんが、この子(血小板)はきっと母(巨核球)に巡り逢えたのでしょう!しかし、その母は年老いて裸核状の姿に変貌していたことになります。
F.は細胞径17μm大で、僅かに細胞質がみられる(矢印)ものの、N/C比は高く、クロマチン網工は粗荒でクロマチンの増量は濃染状をもたらし、核内には不整がみられ異常リンパ球を考えました。一見巨核球を思わせますが、9時方向の血小板はA.のような付着はみられず、その子は母ではないと認識したようです。核の濃染状と核内の盛り上がり状の不整よりATL細胞に同定しました。

(case B)
B.は細胞径16μm大で、N/C比は低く、細胞質は淡青色で核は類円形、クロマチン網工は粗荒ですが、クロマチンの凝縮塊や凝集塊はみられず大リンパ球と思われます。大リンパ球になるとクロマチンの塊は消失するようです。

(case C)
C.は細胞径10〜15μmで、核にクローバ状の核形不整がみられ細胞質は好塩基性です。右の細胞には僅かにアズール顆粒(矢印)を認めました。一見ATL細胞を疑いますが、クロマチンの凝縮塊や顆粒を認めたことよりリンパ球として捉え、核に変形が生じた変性リンパ球に同定しました。本例は新鮮血であり、経時的変化は考えられなかったため薬剤による影響が示唆されました。

(case D)
D.は細胞径25μm大で、N/C比は低く、好塩基性の細胞質に軽度の核形不整がみられます。核内のクロマチン網工は粗荒で一部に凝集塊(矢印)を認めます。このクロマチンの凝集塊と全体像より異型リンパ球に同定しました。

(case E)
E.は20μm大のリンパ球様細胞で、周囲の赤血球によって“四面楚歌”の状態です。赤血球を取り払ってもN/C比は高いようで腫瘍性も考えられます。核質はクロマチン網工が伸び切り状態で変性リンパ球を思わせますが、周囲には形状の堅持した細胞が単一性にみられたことより異常リンパ球に同定しました。細胞質にみられる1個の空胞は、周囲には数個認めるものもあり、脂肪空胞としてバーキットリンパ腫を疑いました。骨髄に増加する異常リンパ球はB細胞の性格であり、またC-MYC/IgHが証明されバーキットリンパ腫と診断された例です。


問題 2

   15-20歳、男性の例。両下肢に多数の出血斑を認め来院され、血液検査で白血病が疑われ入院となりました。 入院時、出血傾向があり、肝脾腫やリンパ節腫大は認めませんでした。

【解説】

(PB-MG ×1000)

(BM-MG ×400)

(BM-MG ×1000)

(BM-P0 ×1000)

【末梢血液像所見】(A図)
   白血球数増加(41,800/μL)の末梢血液像で芽球は44%(赤矢印)、単球が34%(青矢印)と増加していました。

【骨髄像所見】(B図)
   正形成の骨髄(25.0万/μL)では芽球が25%みられ、顆粒球系が27%、単球系が44%と増加していました。アズール顆粒を有する幼若細胞に束状のアウエル小体を認めます(赤矢印)。

【特殊染色】(C図)
   PO染色は顆粒球系が陽性(赤矢印)、単球系は陰性〜弱陽性(青矢印)で二系統の混在がうかがえます。提示していませんが、EST二重染色はクロロアセテート陽性(顆粒球系)、ブチレート陽性(単球系)により二系統の混在が証明がされました。

【染色体所見】
   46,XY

【表面形質】
   顆粒球系:CD13・CD15・CD33(+)、単球系:CD4・CD11b・CD11c・CD14・CD64(+)、HLA-DR(+)

【臨床診断】
   末梢血では芽球が44%、単球が35%(14,212/μL)と双方に増加がみられ、芽球の20%以上と単球の5,000/μL以上より急性骨髄単球性白血病(M4)の規定を満たしていました。
   骨髄では芽球が20%以上、以下顆粒球系、単球系ともに20%を占めていたことから骨髄もM4の条件を満たしていました。光顕的診断の確定にはPO染色とEST二重染色になります。PO染色では顆粒球系は陽性で、単球系は陰性〜弱陽性を呈し、EST二重染色では顆粒球系はクロロアセテートに陽性(青色)、単球系はブチレートに陽性(茶褐色)を呈し、二系統の混在が証明されます。本型における単球系のブチレート陰性例についてはPO染色の所見がカバーしてくれます。本例は特に末梢血、骨髄の光顕的所見が重視されAML-M4と診断されました。単球系が絡む急性白血病は口腔内出血(歯肉出血など)や下肢出血はよくみられる臨床像でもあるようです。



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