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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

第84回 「マンスリー形態マガジン」 2018年4月号

『東日本大震災から7年』

  2011年3月11日午後2時46分、三陸沖深さ24kmを震源としたマグニチュード9.0(震度7)の東日本大震災 から7年を迎え、最近の警視庁や各県のデータでは、死者1万5895人、行方不明者2539人、地震関連死(岩手・宮城・福島)3615人、住宅全半壊40万2699人、避難者7万3349人と報告されています。
  復興にはまだ遠いようですが、被災地の一部では高台移転やかさ上げによる新しい街づくりが進んでいるようです。住まいに向けた復興の進展は、震災直後、約47万人いた避難者は約7万3000人にまで減ったといわれます。このうち約5万人は東京電力福島第一原発事故が起きた福島県の避難者といわれます。
  震災4ヶ月後の7月23日、ベックマン・コールター社主催の血液研修会*が東北の皆様の熱い要望によって仙台で開催されたことが昨日のように想い出されます。当時、仙台空港はまだ仮設の状態でその周囲は被災の跡がなまなましく一瞬時間が止ったようでした。あれから、5年続けて本研修会に参加させて頂いておりますが、空からみる仙台空港周辺も少しづつですが活気を帯びてきているようにも感じます。
2012年の研修会の前日、学生14人の犠牲者がでた閖上中学校を訪れ慰霊碑(名取市)に献花しましましたが、涙が溢れ止まりませんでした。今もなお避難者は約7万人といわれ、1日も早い復興を お祈りするばかりです。
  臨床検査技師の教育に携わっていた私は、その後の熊本地震(2016.4.14)、九州北部豪雨(2017.7.5)など自然災害を授業のなかに取り上げ、学生諸氏と共に考える時間を設けておりました。
  どんな災害に対しても一歩一歩進むことになりますが、吉野弘さん(詩人)の詩をお借りすれば、「歩」とは「止」と「少」からできていて、立ち止まっては祈り、祈ってはまた少しだけ前に進む‥ということだそうで、そこには辛抱強さが求められるのかも知れません。何よりも後世への伝承は忘れてはなりません。
(*The Medical &Test Journal.2011.9.1.第1168号に掲載)

(資料:讀賣新聞/編集手帳.2018.3.11付)

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 


問題

問題 1
末梢血液像の細胞同定を行なって下さい。



問題 2
形態診断に必要な所見を考え、臨床診断を行なって下さい。

45-50歳.男性  【主訴】発熱・全身倦怠感  【検査】WBC14,800/μL、RBC290万/μL、Hb10.0g/dL、 Ht26.1%、PLT8.5万/μL【骨髄】 NCC10.1万/μL(芽球16%)
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  • PB-MG×1000
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  • BM-MG×1000
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  • BM-PO×1000
  • BM-EST二重×1000
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今回のねらい

  今回は、末梢血液像の観察で注意するべき所見と形態診断に挑みます。 末梢血は、形態の変動幅を考慮する意味で、類似細胞や鑑別を要する細胞を提示しました。形態の特徴的所見を捉え同定しましょう。
  症例編は、わずかな臨床像と検査データから次なる検査を模索し、末梢血および骨髄像から形態診断を行なって下さい。



解説

問題 1

   末梢血液像の細胞同定を行なって下さい。

【解説】









【解説】

末梢血液像で鑑別を要する細胞を取り上げてみました。意外と同定に困難な細胞もあるようです。

【正答】
A-1.分葉核好中球 2.単球  B-1.単球 2.後骨髄球  C-1.変性リンパ球  2.変性リンパ球 
D-1.低分葉好酸球  2.幼若好塩基球  E.低分葉好中球  F.異常リンパ球

【解説】
A-1.この細胞は分葉核好中球で問題はないでしょう。2.は1.に比べやや大型で、桿状核を呈しています。核網工は繊細気味で、細胞質は灰青色で上層に空胞を認めることで、桿状核の単球に同定しました。

B-2.核の短径が長径の1/3以上の長さで、核網工は粗剛、細胞質は淡橙色(好酸性)の色調と小さな二次顆粒らしきものがみられることから後骨髄球にしました。1.は2.よりも大型で分葉核を呈し、核網工はやや繊細の傾向と細胞質は灰青色を思わせることから分葉核の単球に同定しました。正常型ではなさそうです。

C-1.2ともに細胞の大きさは異なりますが変性リンパ球に同定しました。特に2.はクローバー状を呈していますが、核内の盛り上がり状はなく平坦状で核網工は粗剛、細胞質は好塩基性のようです。一見、ATL細胞を思わせますが核内不整が異なります。採血後の経時的変化もしくは薬剤の投与によるものかは不明です。

D-1.細胞質の好酸性の粗大顆粒から幼若好酸球にしたいところですが、細胞質の広さに比し、核が小さすぎるようで、本来、分葉核になるべき成熟好酸球が低分葉を来たした偽ペルゲル核異常と思われます。
2.は小型で、N/C比は高く、核小体や顆粒を認め前骨髄球の段階と思われますが、小型であることから好中性は否定され、幼若好塩基球として同定しました。

E.は2個とも同じ細胞で、核網工の粗剛と結節の強さから分葉核好中球と思われます。しかし、それは低分葉の偽ペルゲル核異常を来たし、しかも細胞質には低(脱)顆粒がみられ高度な形態異常と認識します。

F.大型で、N/C比は高く、核の上層には核小体がみられ(青○印)、核網工はやや繊細傾向より、異常リンパ球に同定しました。周囲にも類似細胞が増加しており、非ホジキンリンパ腫と診断されたものです。



問題 2

   45-50歳.男性。発熱と全身倦怠感を主訴として来院されました。来院時の検査データで白血球増加(14,800/μL)、 貧血、血小板減少がみられました。精査のため骨髄検査が施行されました。

【解説】

(PB-MG×1000)

(BM-MG×1000)

(BM-PO×1000)

(BM-EST二重×1000    BM-ACP×1000)


【末梢血】

(A)正球性高色素性貧血で、白血球増加の白血球分類では芽球が46%みられました。アウエル小体(青矢印)がみられましたので、あえて芽球の割合は表記していませんでした。

【骨髄】
(B)低形成気味の骨髄では芽球が16%、なかでも顆粒を含むものもみられ(青矢印)、アウエル小体は好中球にもみられました(赤矢印)。また周囲の4個の幼若顆粒球には細胞質に好塩基性の縁取りがみられます。この好塩基性の縁取りの所見は重要で、本細胞が分化能の旺盛さを物語っているようで、治療にも反応しそうです。骨髄の芽球は20%以下ですが、末梢血に20%以上みられたことよりAML-M2を疑います。この分化傾向の強さは通常のM2に比べ特異性があり、8;21転座を疑う所見になりそうです。

(C)PO染色ですが、芽球から分化傾向の顆粒球系にPO反応の強さがうかがえます。

(D)EST二重染色ですが、顆粒球系にクロロアセテート反応の強さがうかがえます。

【免疫形質】
CD13・33・抗MPO・19・HLA-DRの発現がみられました。

【染色体】
t(8;21)(q22;q22)/RUNX1-RUNX1T1が証明されました。

【臨床診断】
本例は光顕的診断が有効な疾患の1つと言っても過言ではなく、形態学的所見が重要です。アウエル小体については、M3に次いで多く出現し、長いものや短いものまた束状(bundle)の多様性*をとることが多いようです。
確定診断となる顆粒球系の発現や8;21転座とRUNX1-RUNX1T1が証明されました。末梢血の芽球は46%、骨髄の芽球は16%(20%以下)ですが、本例に特徴的な染色体と遺伝子異常を認めたことより、特定の遺伝子異常を有するAML(WHO.2008)として診断されました。本型は、再発防止さえクリアできれば予後良好群とされます。
(*阿南建一:8;21転座小児AML12例の血液学的特徴.第35回日本小児血液学会.1993)



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