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検査技師のためのマンスリー形態マガジン

症例14 A,Bは異なる例ですが同一疾患です。考えられるのはどれですか。 解説と解答

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Q1.AとBから考えられる所見

  1. 正常である
  2. 顆粒球系は正常である
  3. 顆粒球系に異常がみられる
  4. 赤芽球系は正常である
  5. 赤芽球系に異常がみられる
 

Q2.AとBから考えられるもの

  1. 正常(normal)
  2. 骨髄異形成症候群
    (Myelodysplastic syndrome)
  3. 巨赤芽球性貧血
    (Megaloblastic anemia)
  4. 赤芽球癆
    (pure red cell aplasia)

 

【ねらいと解説】

骨髄においてA.は赤芽球系が見当たらず顆粒球系のみがみられ、B.は中央あたりに極端に大きく強い好塩基性の赤芽球系を認めますが、形態から前赤芽球を推測できそうです。
A.は成人の胸腺腫、B.は小児のB19ヒトパルボウイルス感染症(急性型)にみられた赤芽球癆です。本型は通常赤芽球系が減少することが特徴的ですが、B.のように赤芽球が残存する場合は前赤芽球の巨大化(ウイルスの侵襲)がみられるようです。
赤芽球癆は赤芽球系が抑制され、それに伴う赤血球のみの減少であるため再生不良性貧血の一種とされます。それは再生不良性貧血と同様に造血幹細胞の異常によって引き起こされるからです。前者は多能性幹細胞の数の減少・骨髄造血微小環境の異常であり、後者は単能性幹細胞の赤血球系単能性幹細胞の異常とされます。A.は胸腺摘出、B.はウイルス感染の回復を待って骨髄では新生の赤芽球が復活します。背景の赤血球に目をやりますと黄色を帯びた赤血球と多染性の赤血球がみられますが、前者は古い赤血球で後者は新生の赤血球として解釈できそうです。A.は赤芽球系がみられないとことで異常であり、B.は巨前赤芽球変化と成熟赤芽球がみられないことで異常としました。

【解答】

A: 2. 5
B: 4

【正解率】

A: 25%
B: 38%

 


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