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「ネットで形態」 血液形態自習塾 第3部
 造血器腫瘍の診断〜ソフトに解析する戦略〜

AMLおよび関連前駆細胞性腫瘍

T. AMLおよび関連前駆細胞性腫瘍
 1)特定の遺伝子異常を伴うAML
  @t(8;21)/RUNX1-RUNX1T1
  Ainv(16) or t(16;16)/CBFB-MYH11
  BAPL with PML-RARA
  Ct(9;11)/KMT2A-MLLT3
  Dt(6;9)/DEK-NUP214
  Einv(3) or t(3;3)/GATA2,MECOM
  Ft(1;22)/RBM15-MKL1
  GBCR-ABL1 HNPM1 ICEBPA JRUNX1
 2)骨髄異形成変化を伴うAML
 3)治療関連性骨髄性腫瘍
 4)その他のAML
  @M0 AM1 BM2 CM4 DM5 EM6 FM7
  G好塩基性白血病 H骨髄線維症を伴う急性汎骨髄症
 5)骨髄肉腫
 6)ダウン症に伴う骨髄増殖症
U. 芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍
V. 系統不明な急性白血病


前駆リンパ系腫瘍の分類

前駆リンパ球系腫瘍
 1)Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫
  @t(9;22)/BCR-ABL1 At(v;11q23.3)/KMT2A
  B高2倍体性 C低2倍体性など
 2)Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫
 3)NKリンパ芽球性白血病/リンパ腫

(WHO分類改訂第4版.2017)

木崎昌弘先生・田丸淳一先生:WHO分類改訂第4版.中外医学社.2019.参考に整理したもの



非定型RARA遺伝子転座

APL(M3)では、t(15;17)/PML-RARAの証明される症例が90〜95%みられるといわれます。
その中の一部にRARA遺伝子のPML以外との転座を形成するものがあり、variant RARA遺伝子転座とよばれます。転座相手としては、染色体11q23.2に位置するZBTB16(PLZF)、染色体11q13.4に位置するNUMA1、染色体5q35.1に位置するNPM1、染色体17q21.2に位置するSTAT5Bがあります(Zelent A,et al.2001)。t(11;17)(q23.2;q21.2)/ZBTB16-RARAを伴う症例の一部は、通常の核と多数の顆粒を有し、アウエル小体を認めないなどの特徴的な形態を示します。ZBTB16-RARAおよびSTAT5B-RARAを伴うAPLは全トランス型レチノイン酸(ATRA)に抵抗性ですが、NPM1-RARAを伴うAPLはATRA感受性とされます(Melnick A, et al.1999)。これらの非定型転座を伴う症例は、「APL with a variant RARA translocation」と診断されます。

清井 仁:WHO分類改訂第4版による白血病・リンパ系腫瘍の病態学.p148.中外医学社.2019



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