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症例17

年齢 10歳代
現症と経過
入院時
頚部リンパ節腫脹に伴う生検にて非ホジキン リンパ腫(リンパ芽球型:StageW)と診断される.
入院2年後
鼠径リンパ節に再発
入院2年5ヶ月後
骨髄再発
入院3年後
骨髄再々発 (PO陽性芽球:6.5%)
治療
NHL-89-LB
1)Induction phase:
@VCR,CPM,ADR,PDN
AVp-16,Ara-C,6-MP
2)Consolidation phase
@L-ASP,AVp-16,Ara-C,6-MP
BVCR,ADR,6-MP,PDN
3)Maintenance phase:
@Vp-16,BAHC,6-MP AVEMP
BVCR,ADR,6-MP,PDN など

 
[リンパ節捺印×400.MG染色/(入院時)]
リンパ節生検にて非ホジキンリンパ腫(NHL:リンパ芽球型)と診断される.
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[頚部リンパ節捺印×1000.PO染色/入院時]
増殖するリンパ系細胞はPO染色に大半が陰性で、2-3%に陽性を認める.
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[骨髄×1000.MG染色/入院2年5ヶ月後]
診断2年5ヶ月後の骨髄像である.
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[骨髄×1000.PO染色/入院2年5ヶ月後]
骨髄のPO染色では一部(6.5%)が陽性である.
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[骨髄×1000.SBB染色/入院2年5ヶ月後]
骨髄のSBB染色は一部が陽性(10%)である.
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解説&臨床診断



 正解 : 1 治療関連性急性骨髄性白血病(NHLからAML)

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年齢 10歳代
〜前発信〜
リンパ節所見
入院時
頚部リンパ節腫脹に伴う生検にて非ホジキン リンパ腫(NHL) リンパ芽球型 StageWと診断される.
【再々発時に見直した初発時の標本】
初診のリンパ節生検のスタンプ標本のPO染色を入念に観察すると、増殖する リンパ球に2〜3%の陽性がみられた. 初発時のリンパ節の表面形質はB細胞 に特異的で、骨髄系はCD13、CD33が20%前後の陽性であった. 結局、PO染色陰性、B細胞性の性格が優位とされ、NHLの診断がなされた.
〜後発信〜
 
入院2年後
鼠径リンパ節に再発
入院2年5ヵ月後
骨髄再発
入院3年後
骨髄再々発 (PO陽性芽球:6.5%)
【再々発時のコメント】
骨髄に芽球様細胞が増加し、そのPO染色で6.5%が陽性であった.SBB染色では10.0%が陽性であった.
AMLの診断がなされ、初診がNHLより入院3年後にAMLへ移行したものと 診断された.
【考察】
初診のリンパ節におけるPO染色の陽性態度(3%未満)、骨髄系のマーカーの 陽性率(20%付近)を如何に捉えるか問題を残した. すなわち初発時に骨髄系 の要素を持ち併せていた可能性も否定できない.
WHO分類 急性骨髄性白血病 Acute myeloid leukemia
☆治療関連性白血病 AML,therapy related (NHLからAMLへ移行)


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