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症例28

年齢 1歳未満
既往歴 Down症
現病歴 全身倦怠感にて来院し、血液検査にて重症な血球減少がみられたため入院となる.
血液学所見 WBC(/μl) 21,000 RBC(万/μl) 172
Hb(g/dl) 5.7 Ht(%) 17.1
PLT(万/μl) 1.1 MCV(fl) 99.4
MCH(pg) 33.1 MCHC(%) 33.3
血液像(%) Blast 68, Seg 2, Eo 1, Ly 29
骨髄所見 NCC(万/μl) 11.0  
Blast(%) 80.0  
生化学所見 LDH 728 IU/l
染色体所見 48,XY,+21,+21

 
[末梢血×1000.MG染色
N/C比が高く、クロマチンが粗荒な細胞がみられる.
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[骨髄×1000.MG染色
芽球様細胞は二つの染色性がうかがえ、一部に核小体がみられる.
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[骨髄×1000.SBB染色
芽球様細胞はSBB染色に陰性である.
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[骨髄×1000.β-GL染色]
芽球様細胞はβ-GL染色に散在性〜一部凝集状の陽性である.
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[骨髄×1000.ACP染色
芽球様細胞はACP染色に凝集状の陽性である.
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解説&臨床診断



 正解 : 4 急性巨核球性白血病(M7)

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年齢 1歳未満
〜前発信〜
末梢血所見から 白血球増加(21,000/μl )の分類にて芽球様細胞が68%みられる.
芽球様細胞の核は濃染性と淡染性の混在がみられる.
骨髄所見から 骨髄にて芽球様細胞は80%と増加し大小不同性である.
芽球様細胞は濃染性と淡染性の混在がみられ、細胞質に突起を有するものがみられる.
細胞化学所見から 芽球様細胞はPO染色SBB染色ともに陰性である.
ACP染色 は凝集状の限局性を認める.
【形態診断】 末梢血、骨髄ともに濃染性と淡染性の核を有し、細胞質には水疱状の突起がみられ、PO染色が陰性、ACP染色 が限局性陽性よりM7を考えた.
〜後発信〜
表面形質から CD13, CD33, CD7, CD41, CD42, HLA-DR (+)
分子生物学所見から 47,XY,+21
電顕所見から 血小板ペルオキシダーゼ(PPO)陽性
【臨床診断】 芽球様細胞の光顕的所見と血小板マーカー(CD41、CD42)が陽性よりM7と診断された. ダウン症を併発しており、本症によくみられる臨床所見である.
WHO分類 特異的染色体異常を伴わないAML
☆M7 (Acute megakaryocytic leukemia)


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