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症例41

年齢 60歳代
現病歴 全身倦怠感を主訴に来院し、貧血を指摘され精査のため骨髄穿刺が施行された.
血液学所見 WBC(/μl) 5,320 RBC(万/μl) 258
Hb(g/dl) 7.2 Ht(%) 24.3
PLT(万/μl) 22.4 MCV(fl) 94.1
MCH(pg) 28.2 MCHC(%) 29.6
血液像(%) Ab.Ly 2,St-Seg 44, Ly 50, Mo 3, Eo 1
骨髄所見 NCC(万/μl) 4.4 Mgk(/μl) 0.0
Abnormal ly 6.0   
生化学所見 LDH 516 IU/l, Ca 8.7 mg/dl, TP 9.2 g/dl

 
[末梢血×1000.MG染色
核は偏在性で著明な核小体を有する細胞が散見される.
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[骨髄×400.MG染色
低形成像に少数ながら核偏在性の細胞6%を認める.
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[骨髄×1000.MG染色
核偏在性の細胞は好塩基性でクロマチンは粗荒である.
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[骨髄×1000.MG染色
狭い細胞質に核はしっかりと偏在傾向にある.
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[リンパ節×1000.MG染色
小型〜中型のリンパ球の増生がみられ、核偏在や核小体を認める.
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解説&臨床診断



 正解 : 1 リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)

拡大した形態画像には、解説が含まれています。

年齢 60歳代
〜前発信〜
末梢血所見から 白血球(5,320/μl)の分類にて異常(病的)リンパ球様細胞が2%みられる.
それらは、核偏在性で核小体を認めるものもある.
骨髄所見から 骨髄は低形成ながらも好塩基性の細胞質に核偏在性の細胞が6%みられる.
それらは単核で核小体の明瞭なものもみられる.
リンパ節生検から 成熟リンパ球から大型免疫芽類似細胞までみられ、クロマチンは増量し、網工は粗顆粒状を呈している.
細胞化学所見から リンパ球様細胞はPO染色PAS染色EST染色に陰性である.
【形態診断】 光顕的には形質細胞に類似するが、全体的に細胞質は狭く、Plasmacytoid lymphocyte(形質細胞様リンパ球)を思わせる形態像よりマクログロブリン血症を考えた.
確診にはIgMの単独上昇が必要である.
〜後発信〜
表面形質から CD20、CD79a、CD5、CD19、CD20 (+)
免疫血清検査から IgG 1,000 mg/dl、IgA 79 mg/dl、IgM 5,920 mg/dl
【臨床診断】 光顕的ならびに表面形質、またIgMのみの上昇よりリンパ形質細胞性リンパ腫と診断された. 治療はFludarabineが施行された.
WHO分類 成熟B細胞性腫瘍 Mature B-cell neoplasms
☆リンパ形質細胞性リンパ腫 Lymphoplasmacytic lymphoma (LPL) /Waldenstrom macroglobulinemia (WM)


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