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Talk CBC Vol.8 血球計数における精度保証(1)Talk CBC Vol.5 自動赤血球測定とヒストグラム分析

CBCを語ろう Talk CBC 血球計数における精度保証(1)

血球計数における精度保証(Quality Assurance;QA)

今回は、血球計数における精度保証(QA)について解説します。血液計数装置の精度は、正確性(Accuracy)と精密性(Precision)によって決定され、正確性は定期的な校正作業、また、精密性は日々の保守管理により維持されます。一般的には血球計数装置の仕様は臨床的許容範囲内にあり、その精度は満足できる性能を有しています(右表参照)。しかし、血液検体はさまざまな要因で影響を受けやすく、採血作業から測定結果の判定までの一連の検査プロセスを管理する必要があります。

1) 測定前プロセス
測定エラーの要因として一番に挙げられることは、採血によって生じることが多く、採血担当者は適切な手技で実施を行うことが求められます。
採血では以下の点を留意して実施します。

@血球計数、血液像検査ではEDTA-2Kまたは3K加抗凝固剤の真空採血管を用います。
A適切な採血部位から、一定時間内で必要量の採血を行います(組織液の混入や検体の濃縮や希釈を防止)。
B採血後は、十分な転倒混和を行います(検体凝固の防止)。

検体保管は室温保存が一般的で、冷蔵保存では寒冷凝集素やクリオグロブリンが測定値に影響を及ぼす場合があり、凍結保存では溶血を来します。また、EDTA加採血管では約4時間経過後に単球や好中球の形態変化(空砲形成、顆粒減少等)が目立つようになるため、末梢血塗抹標本は採血後4 時間以内に作製します。

2) 測定プロセス
測定プロセスでは、機器の準備、内部精度管理、 測定検体の確認などが挙げられます。機器の準備 においては、以下の確認が必要となります。

  • 交換試薬の保管状態やロット、有効期限などを確認します。
  • スタートアップ結果から、バックグランドリミットや電気回路、空圧源の状態を確認します。
  • 装置の作動状況(異音、異臭、液漏れ)を確認します。
    内部精度管理では、以下の点に留意します。
  • 管理血球は加工血のため、ミキサーでの攪拌は行わず、転倒混和後に使用します。
  • アッセイシート(下図参照)に記載されている測定条件を確認します(Unicel DxH 800の使用条件は、開栓後16日、または18回測定以内)。

また、精度管理図は、機器に搭載されているQCプログラムから確認を行います。
管理血球の精度管理方法としては、Levery & Jennings 法( L-J 法)が用いられており、測定結果の平均値(X)と平均値との差(R)を経時的にプロットした精度管理図(下図参照)が作成され、管理図には、アッセイシートに記載された期待値と管理幅の上限、下限値が表示されます。作成される精度管理図の傾向は機器の状態を反映しており、確認が必要となります。

グラフの傾向から読み取れる点を以下に記載します。

  • @ 管理限界を大きく外れた場合
    装置内の異常(検体吸引不良、流路系不良)を第一に疑います。また、管理血球の溶血の恐れもあります。
  • A 測定結果が徐々に下降や上昇した場合
    検出器の汚れや管理血球の変性を疑います。この場合にはMCV、PLT 値の上昇、WBC、RBC 値の低下を招きます。
  • B 測定結果が傾向なくバラついた場合
    装置内の異常(電気ノイズ、流路系不良など)を疑います。再現性の確認が必要となります。

また、上記のような変動に遭遇した場合には、前日検体を測定をすることにより、その測定結果より変動の原因を機器と管理血球に棲み分けができることがあります。

測定検体を用いた精度管理法については、加重移動平均法(XB法)が一般的に用いられており、DxH にも搭載されています。
XB法は、検体測定時の赤血球恒数(MCV、MCH、MCHC)を用いたリアルタイム精度保証プログラムで、20 検体を1 バッチとして処理され、加重平均された結果から機器管理を行います。一般的に赤血球恒数は、年齢、性差や生理的変動が少なく、それぞれのターゲット値(例: MCV 90.5fL、MCH 30.5pg、MCHC 34.0%)は機器が管理されている状態では、1%以内に推移し、それぞれのバッチごとの結果も3%以内で安定しています。また、異常を示す結果について以下に示します(下図参照)

パターン@ MCV、MCH が同程度に上昇し、変動する
MCV 値上昇、RBC 値下降からRBC 検出器の詰りや汚れの可能性がある。
パターンA MCV、MCHC が正反対に変動する
MCV 値、Hct 値の上昇から機器の不良(電子回路)の可能性がある。
パターンB MCH、MCHC が同程度に下降し、変動する
Hgb 値の変動からWBC バスにおけるドレインや試薬分注の不良の可能性がある。
パターンC MCV、MCH がスパイク状に上昇し、変動する
特定の診療科や病棟の患者群の可能性が高い。

次回のTalk CBCは、外部精度管理や測定後のプロセスにおける精度保証について述べたいと思います。

引用文献・資料

  • 1)山田輝雄: B. 精度管理 7.トータルラボラトリーシステムの現状と将来.臨床病理レビュー特集第126号 克誠堂出版
  • 2)巽典之: 第4章 内部品質保証:IQA . 自動血液検査品質保証論 ベックマン・コールター株式会社
  • 3)臨床検査振興協議会 ホームページ


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