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Talk CBC Vol.17 自動白血球分類の新たな展開(3)Talk CBC Vol.17 自動白血球分類の新たな展開(3)

CBCを語ろう Talk CBC 白血球分類の新たな展開(3)

細胞分布図(スキャッタープロット)の判定とフラッギングアルゴリズム

 今回は、自動血球計数装置 UniCel DxH シリーズ(以下DxH)における細胞分布図(以下 プロット図)の判定と異常検体検出のためのアルゴリズムについて解説します。前回は、細胞集団間の識別や境界線の抽出などによる正確なプロット図の形成について解説しました。
形成されたプロット図の判定は、自動白血球分類の精度保証にために最も必要とされる機能であり、DxH においては、さまざまな解析アルゴリズムを用いることで信頼性の高い正確な検体分析を行っています。

 (1) テンプレートマッチッングによるフラッギング機能

 テンプレートマッチングとは、測定検体のプロット図をデジタル画像処理し、検体プロット図とデータベースに掲 載された数百種類のプロット図テンプレート(異常を含む基準パターン)を整合し、マッチングスコアによる類似度の評価を行い、検体プロット図と基準テンプレートの整合性を相互相関解析による手法で類似度として算出します。また、検体プロット図における細胞集団は基準テンプレートとの比較からパターンシフトとして算出され、細胞集団間の適切なゲーティングを行うための情報として利用されます。従来、プロット図のパターン判定は、装置内では行われておらず、担当者の目視による判断が一般的でしたが、このデジタル画像解析により総合的なプロットパターンの判定が可能になりました。
 尚、この解析技術は、MRI など医療画像解析、衛星画像解析や指紋認証など、さまざまな分野ですでに利用されています。

 (2) 形状判別分析による細胞集団の解析

 テンプレートマッチングはプロット図全体の判定を行うのに対して、形状判別分析はそれぞれの細胞集団の形状の分析を行います。
その方法について以下に示します。

  • 1) 対象とする細胞集団を8 分割します。
  • 2) 8 分割したそれぞれの集団の平均値を求めます。
  • 3) 2)で算出した平均値を利用して細胞集団の円グラフを作成します。
  • 4) 細胞集団の円グラフデータを変換し、二次元ヒストグラムを形成します。

 このプロセスによって、個々の細胞集団の立体的な形状が明らかになり、それぞれの細胞集団の判定を行うための情報として用いられます。これによりフラッギング機能の信頼性と正確性が向上します。


 (3) 線形判別分析による最適なフラッギング判定

 線形判別分析は統計的手法の1つで、さまざまな条件から正常と異常集団を適切に分離し、最適なフラッギングの判定基準を見つけ出します。下段左図では、正常(青)と異常(赤)の集団に対してどのようにして線形判別ラインが2つの集団を分離するかを示した例です。このような、異常と正常集団が混在した中で判定を行う場合には非常に有効です。また、同様に下段右図は、正常(青)と異常(赤)の集団の形状が複雑となる場合で、2つの線形判別ラインが大きく移動して異常集団から正常集団を分離するかを示した例です。このように、より複雑な2つの集団が存在した場合、これらのラインは増加し、より最適な分離を行うために用いられます。線形判別分析によるフラッギング判定は、自動白血球分類においては非常に有効であり、再検率の低減と効率的な運用が可能となります。

次回は、白血球分類の新しい可能性を示しているセルポピュレーションデータ(CPD:Cell Population Data)について解説します。



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