HOME > 血液検査コーナー > 検査技師のためのマンスリー形態マガジン > 症例16 解説と解答

検査技師のためのマンスリー形態マガジン

症例16 1小児例です。
末梢血のMG染色、骨髄のMG染色、PO染色を提示していますが、
次に必要な染色は何でしょうか。そして形態診断を行って下さい。
 解説と解答

WBC 2,000/μl, RBC360万/μl, Hb 11.4g/dl, Ht 34.4%, PLT 1.1万/μl, MCV 95.6fl, MCH 31.7pg,
MCHC 33.1%, NCC: 24.2万/μl (Blast 85%), MgK 0/μl, Lysozyme(serum) 56μg/ml

 
[PB-MG.x1000]
拡大して見る
  [BM-MG.x400]
拡大して見る
     
 
[BM-MG.x1000]
拡大して見る
  [BM-PO.x1000]
拡大して見る
     

選択所見
1 Sudan black B染色が陽性であること。
2 ACP染色が陽性であること。
3 PAS染色が陽性であること。
4 特異的EST染色が陽性であること。
5 非特異的EST染色が陽性であること。
考えられる病態
1 急性リンパ性白血病
2 急性骨髄性白血病(M0)
3 急性骨髄性白血病(M1)
4 急性単球性白血病(M5a)
5 急性単球性白血病(M5b)

 

【ねらいと解説】

小児例です。汎血球減少症にて末梢血に芽球様が2%みられました。芽球様は一見異型
リンパ球様ですが、それに比べ核網は網状で核小体を認め、豊富な細胞質の好塩基性は
さほど強くないことから単芽球を思わせます。
骨髄は正形成ですが、芽球様は85%にみられました。それらは大型で核小体が明瞭で豊富
な細胞質は中等度の好塩基性がみられ顆粒は殆どみられないようで単芽球が考えられます。
それを証明するにはPO染色が陰性であり、次には非特異的エステラーゼ(ブチレート、
アセテート)染色に陽性であることが必要であり、さらに陽性物質がNaFで阻害されることで
単芽球を推測することになります。
以上より急性単球性白血病を疑い、副所見となる血清リゾーチ−ムの上昇はそれを支持する
ことになります。本症は骨髄で芽球が85%の報告ですので、FAB分類では単球系が全有核
細胞の80%以上を占め、さらに単芽球が80%占めていることになりますので急性単球性白
血病(M5a)として診断されます。

【解答】

【 選択所見 】 5
【 考えられる病態 】 4

【正解率】

【 選択所見 】 75%
【 考えられる病態 】 78%

 


形態マガジンTOPへ戻る
「Q16 解答と解説」 を見る→



 

ページトップ