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検査技師のためのマンスリー形態マガジン

Q13. 適切と思われる赤血球形態像を下記より選んで下さい。 解答と解説

 
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選択細胞
1 正常
2 火傷
3 パッペンハイマー小体
4 ウニ状赤血球
5 有棘赤血球
6 ハウエルジョリー小体
7 球状赤血球

【ねらいと解説】 

今回も末梢血の赤血球形態のなかで形状変化(A,C,D)と構造変化を提示しました。
A.は細胞表面に突起がみられ、それは規則的で、その先端部が尖ってみえることでウニ状 赤血球 echinocyteとよばれています。これは、赤血球内のATPが減少することによって カルシウムの増加、カリウムの減少が生じ脱水状態となるため echinocyteに変形します。 ATP産生障害を伴う溶血性貧血、保存赤血球輸血後、老化赤血球(骨髄内)によくみられるよう です。“echinos”とはウニ(sea urchin)の意味でもあります。
B.は構造変化(封入体)を示したもので、鉄を有する赤血球siderocyteは種々の病態で出現しますが、非ヘム鉄のなかには水に不溶性で、タンパク質、含水炭素等と結合してMG染色にて黒紫 色に染まる顆粒をパッペンハイマー小体Pappenheimer bodyとよばれます。この小体は2個以上の顆粒が集合し、鉄染色(Prussian-blue stain)で青色に染まり、電子顕微鏡による観察で、鉄顆粒はライソゾーム(lysosome)内に存在することが明らかにされています。
C.は火傷による微小赤血球がみられたものです。赤血球の膜に穴があく外因性欠陥によって 膜統合性の破綻が起こると一種の溶血性貧血、血管内溶血が引き起こされますが、火傷もその 例とされ、その程度にもよりますが、細胞は濃縮傾向になり、ちぎれた赤血球は血小板大に小さく なります。従って、赤血球は血算器によって偽性の減少、血小板は偽性の増加を呈します。
D.は赤血球の中央淡明がなく、厚みが増し、直径が減少した血球で、塗抹標本では小円形 状で全体がHbの色調に濃染した血球となり球状赤血球 spherocyteとよばれます。これは赤血球の表面積/体積比が減少し、変形能が悪くなり浸透圧抵抗も低下しているため溶血しやすいといわれています。

(参考文献:A,D,E; 松本昇:ベーシック形態検査.医歯薬出版.1988)

【解答】

A: 4.ウニ状赤血球
B: 3.パッペンハイマー小体
C: 2.火傷によるもの
D: 7.球状赤血球

【正解率】

A: 55%
B: 64%
C: 100%
D: 100%

 

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