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検査技師のためのマンスリー形態マガジン

Q15. 血小板形態の形態所見を選択細胞より選び、
B,C,Dについては考えられる 機序を選んで下さい。 解答と解説

 
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選択細胞
1 微小血小板
2 巨大血小板
3 大型血小板
4 巨核球
5 奇形血小板
考えられる機序
1 血小板回転の亢進
2 血小板新生不全
3 遺伝性
4 血小板寿命の延長
5 熱傷
6 JAK2遺伝子の変異


【ねらいと解説】 

今回は末梢血の血小板形態の大きさの変化を提示しました。
血小板は採血行為からアーテイファクトとして、血球計数装置のデータに影響を与えることをしばしば経験します。
そのような場合は、塗抹標本にて血小板の凝集などを確認し、臨床へ報告することになります。従って、血小板に関しては、特に採血行為の良否が問題になります。
通常、血小板の大きさは2〜4μmで、核はなく、細胞質には微細な淡紫色に染まるアズール顆粒がみられます。
顆粒のない部分と多い部分に分かれ、前者は硝子質(hyalomere)、後者は顆粒質(granulomere)と呼ばれます。
A.は通常の血小板より大きいようですが、赤血球の大きさ(8μm大)より小さいことで大型血小板とされます。
B.C.は赤血球よりも大きいことで、巨大血小板(giantplatelet,megathrombocyte)と呼ばれます。
巨大血小板の増加は、@血小板回転が亢進する場合(血小板の過剰な破壊に伴って多数の幼若な血小板の 産生がみられるとき:ITP,DICなど)、A巨核球での分離膜異常による血小板新生不全による場合(CMLな ど)、B遺伝性による場合(Bernard-Soulie症候群)に出現するといわれています。C.はBによるもので楕円状 や形状異常を伴うことが多いようです。自動血球計数装置において、巨大血小板は平均血小板容積(MPV)の 増加や血小板容積分布曲線の右方推移によって確認できます。
D.は通常の血小板より非常に小さいことで、微小血小板(microthrombocyte)と呼ばれます。一般に血小板は、 産生後時間が経過するとともに、大きさと密度が減少するといわれます。すなわち、血小板寿命が延長し老化し た血小板の比率が増加すると、微小血小板が増加するということです。自動血球計数装置において微小血小板の 増加はMPV値の低下や血小板容積分布曲線の左方推移によって確認できます。考えられる疾患として、増加 症では本態性血小板血症にて、減少症ではWiskott-Aldrich症候群にみられるようです。
また前者はJAK2V617F遺伝子が関与されているといわれています。

(参考文献:松野一彦:ベーシック形態検査.医歯薬出版.1988より一部使用)

【解答:選択細胞】

A: 3.大型血小板
B: 2.巨大血小板
C: 2.巨大血小板 ・ 5.奇形血小板
D: 1.微小血小板

【解答:考えられる機序】

A: 正常
B: 1.血小板回転の亢進 ・ 2.血小板新生不全 ・ 3.遺伝性
C: 3.遺伝性
D: 4.血小板寿命の延長 ・ 5.熱傷 ・ 6.JAK2V617F遺伝子

【正解率】

  選択細胞 機序選択
A: 88%  
B: 87% 57%
C: 38% 85%
D: 100% 55%

 

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