「ネットで形態」　血液形態自習塾 第2部
 末梢血・骨髄像の見方&考え方

1. 球状赤血球 spherocyte：中央淡明がなく,厚みが増し、直径が減少し小円形状になる。

• �@カップ型（有口状）に変形し球状化：遺伝性球状赤血球症
• �A膜の部分的喪失：自己免疫性溶血性貧血
• �B細胞突起（ウニ状）から球状化：老化赤血球, 輸血された保存赤血球

2. 有口赤血球 stomatocyte：中央淡明が長方形になり、わずかに開いた唇から白い歯がみえるような状態をいう。

• �@遺伝性溶血性貧血：遺伝性球状赤血球症, 遺伝性有口赤血球症
• �A血液型物質の欠陥： Rh null syndrome
• �Bその他：アルコール性肝障害

3. 楕円赤血球 elliptocyte：卵円形, 棒状. 中央淡明も楕円あり.

• �@溶血性貧血：遺伝性楕円赤血球症（ 常染色体優性遺伝 ）
• �A付随的変化：巨赤芽球性貧血、再生不良性貧血、サラセミア症候群、鉄欠乏性貧血、骨髄繊維症

上図は、正常赤血球と楕円赤血球の混在が特徴的で、下図は、一見楕円状であるが方向が同じ向きを呈していることでアーテイファクトである.

4. 標的赤血球 codocyte （ codo=bell ）：表面積/体積比が増加する病態で出現する。Hbの合成障害によって体積が減少し、相対的に表面積過剰となりcodocyteに変形する。

• �@細胞膜の増加：慢性肝疾患, 摘脾術後
• �A体積の減少 （ Hb合成低下 ）：IDA, サラセミア症候群, 異常Hb症

5. ウニ状赤血球 echinocyte：突起の分布, 長さ, 太さが規則的で先端が尖る。

• �@ATP産生障害を伴う溶血性貧血：ピルビン酸キナーゼ異常症；グルコース-リン酸イソメラーゼ異常症（ とくに脾臓後 ）
• �A保存赤血球輸血後
• �B老化赤血球 （ 骨髄血 ）

6. 有棘赤血球 acanthocyte：突起の分布, 長さ, 太さが不揃いで先端は丸み。

• �@細胞膜脂質異常：無βリポタンパク血症, 肝疾患（ spur cell anemia）
• �A原因不明：神経・筋疾患に伴う acanthocytosis

7. 破砕赤血球 schizocyte （schizo=devide）：小さく,引き裂かれた部位は鋭角や突起を示す。schistocyteとも表記される。

• �@人工弁置換後 cardiac hemolytic anemia（ハウエルジョリー小体を認める）
• �A細小血管障害性溶血性貧血 microangiopathic hemolytic anemia
  ：DIC, 血栓性血小板減少性紫斑病, 溶血性尿毒症症候群
• �B赤血球膜の脆弱性：遺伝性楕円赤血球症, サラセミア, hereditary pyropoikilocytosis

8. 涙滴赤血球 dacryocyte：赤血球の一部がしっぽのように伸び涙の滴のようになる。このしっぽは、脾臓での脱核時に生じた塑性変形の名残とされる。

• �@髄外造血：骨髄線維症, 癌の骨転移, サラセミア
• �Aハインツ小体形成性貧血：不安定Hb症,G-6-PD欠乏症