HOME > 血液検査コーナー > 検査技師のためのマンスリー形態マガジン > 症例7 解説と解答

検査技師のためのマンスリー形態マガジン

症例7 小児例.
WBC 8600/μl (芽球12%)、骨髄の芽球84%から考えられる疾患はどれですか。
解説と解答

 
[BM-MG.×1000]
拡大して見る
[BM-PO.×1000]
拡大して見る
 
 
[BM-PAS.×1000]
拡大して見る
 

 

選択病型
1 急性骨髄性白血病(AML-M0)
2 急性骨髄性白血病(AML-M1)
3 急性単球性白血病(AML-M5a)
4 急性リンパ性白血病(ALL)

 

【ねらいと解説】

ペルオキシダーゼ(PO)陰性白血病における細胞化学染色の有効利用です。
[骨髄のMG染色所見]
増加する芽球は小型で、N-C比が高く、一部に核形不整がみられ、核小体はそれほど明瞭ではなく、クロマチンは粗荒のようです。それらは、PO染色に陰性よりPO陰性白血病を考えます。形態学的にはリンパ系の要素を加味備えておりますが、PO陰性AML(M0、M5a、M7)を除外することになります。PO陰性AMLでは、M0以外は形態学的所見で診断が可能になりますが、M5aはα-NBエステラーゼ染色陽性(NaF阻害の確認)、M7は酸ホスファターゼ染色が限局性に強陽性そして血小板マーカー(CD41、42、61など)の証明が有力な武器にもなります。M0は骨髄系のマーカー(CD13、33、anti-MPO)や電顕MPOを証明することになります。
本例は、形態学的所見にPAS染色の点状陽性が急性リンパ性白血病(ALL)を強く支持するものになります。しかし、PAS陰性例や芽球の起源を掴むには、リンパ系のマーカー(CD19、10、79aなど)を証明します。小児ALLでは、発症年齢が4〜7歳、白血球正常、L1タイプ(FAB分類)、PAS陽性例、CD10陽性例は予後良好群とされるようです。

【解答】

C急性リンパ性白血病(ALL)

 


形態マガジンTOPへ戻る
「Q7 解答と解説」 を見る→



 

ページトップ