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検査技師のためのマンスリー形態マガジン

Q20. 血液像の細胞同定を行って下さい。 解答と解説

 
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選択細胞
1 リンパ球(大型)
2 異型リンパ球
3 異常リンパ球(分類不能細胞)
4 単球

 

【ねらいと解説】

今回は異型リンパ球と異常リンパ球の鑑別を取り上げました。
尚、異常リンパ球は日本検査血液学会形態標準化委員会試案では「分類不能細胞」として取り上げコメントを記述するとしていますが、ここでは従来の“異常リンパ球”を用います。問題に@Aと分けた意味はありませんが、異型リンパ球は反応性変化として、異常リンパ球は腫瘍性変化として捉えることになります。
まず、両者の鑑別のポイントを述べます。
異型リンパ球は、@N/Cが低い、A核クロマチンが粗鋼、B核形不整が軽度、C細胞質が強度の好塩基性、D多彩様式などが特徴です。
一方、異常リンパ球は、@N/Cが高い、A核クロマチンが粗網状〜粗鋼、B核形不整が強度、C核小体が明瞭、D単一様式などが特徴のようです。
それらの所見からA〜Dの細胞の同定を試みますと、AとCは@N/Cが低く、A核クロマチンが粗鋼、C細胞質の好塩基性が所見となり、しかも多彩様式を呈していたことから異型リンパ球と捉えます。
BとDは@N/Cが高く、A核クロマチンが粗網状、B核形不整は軽度ながら確認され、C核小体を認めることが所見となり、しかも単一様式を呈していたことから異常リンパ球と捉えます。
多彩様式と単一様式については私見ですが、前者は同系の細胞がバリエーションに富み、後者は同一細胞が増加し単クローン性を呈することが大きな違いです。

【正解】

A-2、B-3、C-2、D-3

【正解率】

A.72%、B.100%、C.100%、D.86%

 

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