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症例26

年齢 40歳代
既往歴 15〜20歳:右足骨折、20〜25歳:虫垂切除術、
40〜45歳:蜂窩織炎・糖尿病 
現病歴 全身倦怠感、運動時フラフラ感を自覚し、近医受診. 血液検査にて汎血球減少が認められた.
血液学所見 WBC(/μL) 2,100 RBC(万/μL) 211
Hb(g/dL) 6.8 Ht(%) 20.3
PLT(万/μL) 5.9 MCV(fL) 96.2
MCH(pg) 32.2 MCHC(%) 33.5
血液像(%) Blast様 3.0  
骨髄所見 NCC(万/μL) 45.0 Mgk(/μL) 31.25
Blast様(%) 15.0 M/E比  0.21 
生化学所見 LDH 1,401 U/L, CRP 0.67 mg/dL
染色体所見 44,XY,der(2;13)(q10;q10),add(7)(p11),
der (12)(p11),add(15)(p11),-16,-18,add(19)(p13)add(21)[13/20]

 
[骨髄×400.MG染色
骨髄は過形成で赤芽球が優位である.
[骨髄×1000.MG染色
好塩基性赤芽球に二核のものがみられる.
 
 
[骨髄×1000.MG染色
多染性赤芽球に多核で核融解がみられる.
[骨髄×1000.MG染色
正染性赤芽球に巨赤芽球様変化がみられる.
 
 
[骨髄×1000.MG染色
混在する芽球は大型で核小体が著明である.
 

解説&臨床診断



 正解 : 3 急性赤血病(旧.M6a)

拡大した形態画像には、解説が含まれています。

年齢 40歳代
〜前発信〜
末梢血所見から 汎血球減少のなか白血球(2,100/μL) の分類にて芽球様細胞が3%みられる.
赤芽球の出現もみられる.
骨髄所見から 骨髄は過形成でM/E比は0.28と赤芽球が優位である.
芽球様細胞はNECの15%前後で、赤芽球を中心とした異形成がみられる.
形態異常は巨大多核赤芽球、巨赤芽球様細胞が主で、顆粒球系にペルゲル様核異常、脱顆粒、巨核球系に分離多核のものなどが若干みられる.
細胞化学所見から 芽球様細胞はPO染色に陽性であり、骨髄芽球の混在が考えられる.
赤芽球系はPAS染色に一部び慢性の陽性を呈するものがみられる.
【形態診断】 赤芽球が全有核細胞(ANC)中の50%以上であり、赤芽球を除いた(NEC)骨髄芽球の割合は15%であることよりM6aと診断した. なかに未熟な赤芽球と骨髄芽球との鑑別に苦慮するものがみられることで、芽球の割合はさらに増加することもありうる.
〜後発信〜
表面形質から CD45芽球領域はCD13(74.2%)、CD33(83.7%)である.
赤芽球領域は大きな集団を認めGlycophorinAが陽性である.
染色体所見から 44,XY,der(2;13)(q10;q10),add(7)(p11),
der (12)(p11),add(15)(p11),-16,-18,add(19)(p13)add(21)[13/20]
【臨床診断】 骨髄系と赤芽球の混在に芽球は20%前後みられることよりAML-M6aが考えられた.造血三系統の形態異常については、MDSから移行したものか不明であった.M6aはWHO分類(2017)において芽球の比率がANCで計算されるようになり,骨髄の芽球が20%以上の場合は他のAMLに,20%未満の場合はMDSに移行するようになった.本例は骨髄の芽球が20%未満(実際15%)のことからMDS-IB2の範疇と思われる.
WHO分類(2022) 骨髄異形成腫瘍 Myelodysplastic neoplasms(MDS)
☆芽球増加を伴うMDS-2(MDS with increased blasts:MDS-IB2)(従来のAML-M6a)


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