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症例36

年齢 60歳代
現病歴 近医にて脾腫を指摘され、精査のため紹介来院し貧血と白血球増加を指摘され入院となる.
脾腫(6横指)、リンパ節腫なし
血液学所見 WBC(/μL) 26,800 RBC(万/μL) 445
Hb(g/dL) 10.9 Ht(%) 45.3
PLT(万/μL) 11.2 MCV(fL) 101.8
MCH(pg) 31.3 MCHC(%) 33.1
血液像(%) Ly様 90.0   
骨髄所見 NCC(万/μL) 16.4 Ly様(%) 88.0
 
表面形質 CD19, CD20, FMC7, HLA-DR (+)

 
[末梢血×400.MG染色
N/C比の高い小型細胞の増加がみられる.
[末梢血×1000.MG染色
明瞭な核小体を有するものがみられる.
 
 
[骨髄×400.MG染色
N/C比がやや高く、核形不整は軽度でクロマチンは粗荒である.
[骨髄×1000.MG染色
クロマチンは粗網状で核形不整を認める.
 
 
[骨髄×1000.MG染色
核形不整や核小体を認める.
 

解説&臨床診断



 正解 : 2 前リンパ球性白血病(PLL)

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年齢 60歳代
〜前発信〜
末梢血所見から 白血球増加(26,800/μL)の血液像にてリンパ球の増加(24,120/μL)がみられる.
そのなかで、核形不整で核小体を有する前リンパ球が62%みられる.
骨髄所見から 骨髄はリンパ系が優位で88%みられる. それらはクロマチンが粗荒で核形不整が顕著で核小体を認め異常リンパ球と同定する.
細胞化学所見から 異常リンパ球はPO染色PAS染色EST染色に陰性である.
【形態診断】 末梢血、骨髄にみられるリンパ球は、N/C比が高いことで一見CLL像を思わせるが、形態学的には核形不整が強く、しかも核小体が著明であり前リンパ球を思わせる.
それらは末梢血に55%以上を占めることで前リンパ球性白血病(PLL)を疑い、高齢で、しかもリンパ節腫脹を伴わない脾腫(孤立性脾腫)を認めることも所見とした.
〜後発信〜
表面形質から CD19、CD20、FMC7、HLA-DR (+)
IgM+IgD (+)
分子生物学的から 46,XY,t(11;14)(q23;q32)
【臨床診断】 形態学的にN/C比は高く、核形不整や核小体が明瞭よりCLL像に類似したPLLを疑う. 高齢、孤立性脾腫ならびに表面形質や染色体を考慮しPLLと診断された.Galton.1974, Catovsky.1983のB-PLLの分類より、均一性でN/C比は高く、核膜に切れ込み(cleft)や著明な核小体を有するものとしてcleft typeのPLLと診断された.WHO分類(2022)では、PLL は独立した疾患ではなく、複数の疾患単位の集合体に分類された.
WHO分類(2022) 成熟B細胞腫瘍(mature B-cell neoplasms)
☆B細胞性前リンパ球性白血病(B-cell prolymphocytic leukemia:B-PLL)


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