HOME > 血液検査コーナー > 検査技師のための電脳・血液形態塾 > 症例38

検査技師のための電脳・血液形態塾

電脳・血液形態塾
トップへ

症例38

年齢 60歳代
現病歴 倦怠感にて来院し、貧血を指摘され、骨髄検査が施行された.
骨x-p:頭蓋,両上腕,頚椎,肋骨などに溶骨様病変あり.
血液学所見 WBC(/μL) 4,070 RBC(万/μL) 219
Hb(g/dL) 6.7 Ht(%) 20.8
PLT(万/μL) 15.9 MCV(fL) 94.9
MCH(pg) 30.5 MCHC(%) 32.2
血液像(%) St-Seg 47 , Ly 45, Mo 7, Eo 1
骨髄所見 NCC(万/μL) 6.5 Mgk(/μL) 6.25
Abnormal ly 98%   
生化学所見 LDH 237 U/L,CRP 0.16 mg/dL, Ca 10.3 mg/dL,TP 7.3 g/dL

 
[骨髄×400.MG染色
偏在性の核や多核の細胞がみられる.
[骨髄×1000.MG染色
多核細胞は好塩基性の細胞質がみられる.
 
 
[骨髄×1000.MG染色
好塩基性の細胞は、核偏在性で一部に核小体を認める.
[骨髄×1000.PO染色
増加する細胞はPO染色に陰性である.
 
 
[骨髄×1000.PAS染色
増加する細胞はPAS染色に陰性である.
 

解説&臨床診断



 正解 : 4 形質細胞骨髄腫(PCM)

拡大した形態画像には、解説が含まれています。

年齢 60歳代
〜前発信〜
末梢血所見から 白血球(4,070/μL)の分類にて好中球47%、リンパ球45%であり著変はなし.
赤血球に連銭形成がみられる.
骨髄所見から 骨髄では、中等度の好塩基性の細胞質に核は偏在し、なかには多核のものまでみられる.
形態学的には形質細胞が98%と増加している.
細胞化学所見から 増加する形質細胞はPO染色PAS染色EST染色にて陰性である.
【形態診断】 骨髄での形質細胞が10%以上(実際は98%)より、多発性骨髄腫を疑う.
〜後発信〜
免疫血清検査から IgG 400 mg/dL、IgA<10 mg/dL、IgM 13 mg/dL、IgD-λ 615 mg/dL
表面形質から CD38、CD138 (+)、CD19、CD56 (−)
【臨床診断】 光顕的に形質細胞の増加ならびに免疫グロブリンではIgD-λの高値を認めたため多発性骨髄腫を疑った.
骨x-p検査で頭蓋、両上腕、頚骨、肋骨などに溶骨様病変が認められ,治療はMP(メルファラン,PDN)療法で開始された.
WHO分類(2022) 形質細胞腫瘍および異常蛋白を伴う他の疾患
☆形質細胞骨髄腫(IgD-κ型) plasma cell myeloma(IgD-κ type)


電脳・血液形態塾
トップへ


前の症例へページTOPへ

 


ページトップ