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症例10

年齢 70歳代
既往歴 肺結核(20歳代),虫垂炎(30歳代),
C型肝炎(60歳代),右下腿静脈炎(70歳代)
現病歴 右下腿静脈炎をくり返しながらも鼻出血が出現したため、近医受診するも末梢血に芽球の出現をみたため当科紹介入院となる.
血液学所見 WBC(/μl) 11,800 RBC(万/μl) 360
Hb(g/dl) 11.4 Ht(%) 34.4
PLT(万/μl) 1.1 MCV(fl) 95.5
MCH(pg) 31.6 MCHC(%) 33.1
血液像(%) Blast様 15.0
骨髄所見 NCC(万/μl) 11.3 MgK(/μl) 12
Blast様(%) 20.0  
生化学所見 LDH 320 IU/l

 
[末梢血×1000.MG染色
奇形赤血球と芽球様細胞がみられる.
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[骨髄×400.MG染色
芽球様細胞と赤芽球系が混在している.
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[骨髄×1000.MG染色
中央は異形成の単球.
巨核球は小型で好塩基性型が疑われる.
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[骨髄×1000.MG染色
芽球様細胞のクロマチンは繊細で核小体がみられる.
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[骨髄×1000.Fe染色
赤芽球はFe染色に陰性である.
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解説&臨床診断



 正解 : 5 MDS(RAEB-U)

拡大した形態画像には、解説が含まれています。

年齢 70歳代
〜前発信〜
末梢血所見から 白血球増加(11,800/μl)の分類にて芽球様細胞が15%みられる.
骨髄所見から 骨髄では赤芽球は50%以下より芽球様細胞はANC中の17.0%にみられる。
異形成として弱いながら顆粒球系に大型化や顆粒の分布異常、赤芽球系の一部に巨赤芽球様変化を認める.
細胞化学所見から PO染色に芽球様細胞は陽性である.
【形態診断】 弱いながら3系統の形態異常がみられるが、大事なポイントは芽球の割合が末梢血で15%(診断基準:5〜19%)、骨髄で20%(診断基準:10〜19%)を認めることより、MDSのRAEB-Uを考えた.
〜後発信〜
染色体所見から 46,XY,del(20)(q11)
【臨床診断】 光顕的に芽球の割合からRAEB-Uと診断された.
WHO分類 骨髄異形成症候群 Myelodysplastic syndrome (MDS)
☆芽球増加を伴う不応性貧血
Refractory anemia with excess blasts (RAEB)-U


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