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症例37

年齢 80歳代
現症 腹部重圧感、感染症を指摘され来院し、脾腫と白血球の増加がみられたので、精査のため入院となる. 脾腫(5横指).
血液学所見 WBC(/μl) 60,400 RBC(万/μl) 401
Hb(g/dl) 13.5 Ht(%) 34.2
PLT(万/μl) 12.2 MCV(fl) 85.2
MCH(pg) 33.6 MCHC(%) 39.4
血液像(%) St-Seg 3, Ab.Ly 93, Mo 4
骨髄所見 NCC(万/μl) 12.6 BM-MgK 0
Ab.Ly様(%)   60.0   
生化学所見 LDH 512 IU/l

 
[末梢血×400.MG染色
円形核でN/C比が低い細胞の増加がみられる.
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[末梢血×1000.MG染色
円形核の細胞はクロマチンは粗荒で、やや豊富な細胞質には突起がみられる.
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[末梢血×1000.MG染色
場所をかえると、細胞質のさらに豊富なものがみられる.
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[末梢血×1000.ACP染色
円形核細胞はACP染色 に陽性がみられる.PAS染色は陰性である.
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[末梢血×1000.酒石酸抵抗ACP染色
円形核細胞はACP染色 にて酒石酸抵抗試験が陰性である.
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解説&臨床診断



 正解 : 1 ヘアリー細胞白血病(HCL)

拡大した形態画像には、解説が含まれています。

年齢 80歳代
〜前発信〜
末梢血所見から 白血球増加(60,400/μl)の分類にてN/C比が低く、円形核の異常リンパ球様細胞が93%(56,172/μl)と増加している.
骨髄でも円形核の細胞が60%みられ、それらはクロマチンは粗荒で豊富な細胞質には突起がみられる. その突起物は繊毛状や目玉焼き状にみえる.
細胞化学所見から 円形核の細胞はPO染色に陰性で、PAS染色に陰性である.
ACP染色 に散在性に陽性,酒石酸抵抗試験にて陰性(感受性)である.
本細胞は通常酒石酸に抵抗性を示すと言われている.
【形態診断】 増加する円形核細胞形態は毛髪状(hairly 様)であり、ヘアリー細胞白血病(Hairlycell leukemia:HCL)を疑った.
酒石酸抵抗試験感受性については本邦では頻度は高いと言われている.
〜後発信〜
表面形質から CD11c、CD25、CD103、FMC7、HLA-DR (+)
【臨床診断】 光顕的ならびに表面形質所見よりHCLと診断された.
WHO分類 成熟B細胞性腫瘍 Precursor B-cell neoplasms
☆ヘアリー細胞白血病 Hairy cell leukemia


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