症例8
年齢 | 30歳代 男性 | |||
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現病歴 | 貧血を認めMDSの診断となる.4ヶ月後に頚部の腫脹、疼痛を認め血管炎が疑われ、ステロイドが投与される.2ヶ月後に血球減少が進行し、輸血依存となったため1年8ヶ月後にHLA一致の兄弟より同種末梢血幹細胞移植が施行された. | |||
血液学所見 | WBC(/μL) | 840 | RBC(万/μL) | 225 |
Hb(g/dL) | 7.7 | Ht(%) | 24.3 | |
PLT(万/μL) | 3.2 | MCV(fL) | 108.4 | |
MCH(pg) | 34.2 | MCHC(%) | 31.6 | |
血液像(%) | Blast 0 | |||
骨髄所見 | NCC(万/μL) | 14.3 | ||
Blast様(%) | 3 | |||
生化学所見 | LDH 293 U/L |
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[骨髄×1000.MG染色] 骨髄にて巨大赤血球や類円形核の芽球や低顆粒がみられる. |
[骨髄×1000.MG染色] 赤芽球系細胞に核融解像がみられる. |
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[骨髄×1000.MG染色/PAS染色] 小型の巨核球様細胞はPAS染色にび漫性の陽性がみられる. |
[骨髄×1000.PAS染色] PAS染色における赤芽球系細胞の陽所見である. |
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[骨髄×1000.Fe染色] Fe染色におけるマクロファージと赤芽球の陽性所見である. |
正解 : 3 MDS(環状鉄芽球を伴うRCMD)
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年齢 | 30歳代 |
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〜前発信〜 | |
末梢血所見から | 汎血球減少症の血液像では芽球の出現はなく、大型赤血球がみられる. |
骨髄所見から | 骨髄は正形成であり、M/E比は0.6と赤芽球が優位である. 異形成としては、顆粒球に偽ペルゲル異常や低顆粒が、赤芽球系に強い核融解と巨赤芽球様変化がみられる. また巨核球系に円形核、小型巨核球がみられる. 芽球は3%である. |
細胞化学所見から | 赤芽球はPAS染色にび慢性の陽性、Fe染色で環状鉄芽球を25%認める. |
【形態診断】 | 三血球系統の形態異常ならびに骨髄の芽球が5%以下よりMDSを考え、環状鉄芽球を認めることより、多血球異形成を伴う不応性血球減少症(RCMD)で環状鉄芽球を有する病型と思われ、RCMD-RSと診断した. |
〜後発信〜 | |
分子生物学的から | 46,XY‥[14/20], 47,XY,+8,add(20)(p11.2)‥[5/20] 47,XY,+8‥[1/20] |
【臨床診断】 | 3系統の形態異常が強く、芽球が5%以下より、RCMDが先行し、環状鉄芽球を有することで、RCMD-RSと診断された. 染色体の核型異常を認めた. SF3B1遺伝子解析はできていないため、環状鉄芽球が15%以上(実際は25%)であることから下記診断とされた. |
WHO分類(2022) | 骨髄異形成腫瘍 Myelodysplastic neoplasms(MDS) ☆ SF3B1変異を伴う低芽球性MDS Refractory cytopenia with multilineage dysplasia and ringed sideroblast |