症例11
年齢 | 10歳代 | |||
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現病歴 | 発熱、倦怠感を主訴に来院し、貧血と末梢血に芽球様細胞の出現がみられたため入院となる. | |||
血液学所見 | WBC(/μL) | 14,500 | RBC(万/μL) | 286 |
Hb(g/dL) | 10.2 | Ht(%) | 25.6 | |
PLT(万/μL) | 7.6 | MCV(fL) | 89.5 | |
MCH(pg) | 35.7 | MCHC(%) | 39.8 | |
血液像(%) | Blast様 46% | |||
骨髄所見 | NCC(万/μL) | 8.7 | MgK(/μL) | 6.25 |
Blast様(%) | 48.4 | |||
生化学所見 | LDH 3,370 U/L, CRP 3.35 mg/dL | |||
表面形質 | CD13,CD33,CD34,HLA-DR(+) |
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[骨髄×400.MG染色] 芽球様細胞と幼若顆粒球がみられる. |
[骨髄×1000.MG染色] 芽球様細胞は大小不同性で、核形不整がみられる.一部にアウエル小体を認める. |
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[骨髄×1000.MG染色] 幼若顆粒球には細胞質に好塩基性の縁取りやアウエル小体を認める. |
[骨髄×1000.PO染色] PO染色は芽球様細胞から幼若顆粒球に陽性を認める. |
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[骨髄×400.EST染色] EST二重染色はN-ASD-CLA染色に陽性である. |
正解 : 3 急性骨髄性白血病(8;21転座M2)
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年齢 | 10歳代 |
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〜前発信〜 | |
末梢血所見から | 血液像にて芽球様細胞が46%みられる. |
骨髄所見から | 骨髄は低形成ながらも芽球様細胞が48.4%みられる. 周囲には顆粒球系の分化段階がうかがえる. 芽球様細胞は核形不整が顕著で、アウエル小体を認める. アウエル小体は長いもの、短いものや松葉状,束状と多彩である.顆粒球系の分化した細胞には細胞質に好塩基性の縁取りがみられる. |
細胞化学所見から | PO染色は芽球様細胞から好中球にわたり強陽性を呈する. |
【形態診断】 | まず骨髄の芽球様細胞はPO染色に陽性より骨髄系を考え、芽球の形状や多様のアウエル小体の出現、またPO染色が芽球から好中球にわたり強陽性を示したことよりAML-M2の8;21転座例と診断した. |
〜後発信〜 | |
分子生物学的から | 46,XY,t(8;21)(q22;q22)‥[20/20] RUNX1::RUNX1T1 gene(+) |
【臨床診断】 | 光顕的に芽球の割合と種々の形態異常ならびに染色体検査よりt(8;21)、RUNX1::RUNX1T1融合遺伝子が証明され8;21転座AML(M2)と診断された. |
WHO分類(2022) | 遺伝子異常で定義されるAML ☆RUNX1::RUNX1T1融合遺伝子を有するAML |