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症例32

年齢 10歳未満
現病歴 発熱、顔面不良、両下肢出血斑
感冒の内服加療も改善せず、某大学病院に受診,血液検査にて白血病が疑われ入院となる.その後、加療のため当院に紹介入院となる.
血液学所見 WBC(/μL) 726,000 RBC(万/μL) 311
Hb(g/dL) 8.2 Ht(%) 23.0
PLT(万/μL) 4.8 MCV(fL) 73.9
MCH(pg) 26.3 MCHC(%) 35.6
血液像(%) Blast様 98.0  
Fbg 338 mg/dL,FDP 92.3 ng/mL,AT-V 97%,PT 53%,
D-ダイマー 0.68 μg/mL
骨髄所見 NCC(万/μL) dry tap MgK(/μL) 0
Blast様(%) 94.2  
染色体所見 46,XY,del(11)(q23),add(19)(p13)[16/20]
46XY[4/20]

 
[骨髄×400.MG染色
N/C比の高い芽球様細胞の増加がみられる.
[骨髄×1000.MG染色
芽球様細胞はN/C比が高く、クロマチンは繊細から粗網状である.
 
 
[骨髄×1000.MG染色
芽球様細胞は核形不整や核小体がみられる.
[骨髄×1000.PAS染色
芽球様細胞はPAS染色に陰性である.またPO染色も陰性である.
 
 
[骨髄×400.EST染色
芽球様細胞はα-NB染色に陰性である.
 

解説&臨床診断



 正解 : 5 前駆B細胞性リンパ芽球性白血病(PBLL)

拡大した形態画像には、解説が含まれています。

年齢 10歳未満
〜前発信〜
末梢血所見から 白血球著増(726,000/μL)の分類にて芽球様細胞は98%みられる.
骨髄所見から 骨髄はdry tapであったが芽球様細胞は94.2%みられ、それらはN/C比は高く、クロマチンは粗網状で核形不整や核小体がみられる.
細胞化学所見から 芽球様細胞はPO染色PAS染色EST染色に陰性である.
【形態診断】 芽球様細胞はPO染色に陰性、しかもPAS染色にも陰性より、その起源を探ることが困難である. このような例では表面形質が有効な所見となる.
PO陰性急性白血病と診断した.
〜後発信〜
表面形質から CD19(72.7%)、HLA-DR(99.7%)、CD34(34.0%)、sIg(-)、cIg(-)
CD10(1.6%)、CD33(5.0%)
分子生物学的から 46,XY,del(11)(q23),add(19)(p13)[16/20]
46XY[4/20] MLL rearranged(+)
【臨床診断】 光顕的所見よりALLを考え、表面形質ではCD10が陰性、CD19が陽性より未熟傾向の芽球が推測される. 染色体検査では、11q23の異常とMLL遺伝子の再構成が認められた.
WHO分類(2017) 前駆B細胞腫瘍(precursor B lymphoid neoplasms)
☆t(v;11q23):MLL再構成を有するB-ALL/LBL
(B lymphoblastic leukemia/lymphoma with t(v;11q23):MLL rearranged


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