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症例34

年齢 60歳代
既往歴 7年前真性多血症(PV)の診断.
抗悪性腫瘍剤は投与されずにfollow up.
現病歴 外来でfollow up中、白血球の増加に伴い、血液検査にて芽球様細胞を認めた.
血液学所見 WBC(/μl) 34,780 RBC(万/μl) 744
Hb(g/dl) 12.6 Ht(%) 44.8
PLT(万/μl) 30.4 MCV(fl) 60.2
MCH(pg) 16.9 MCHC(%) 28.1
血液像(%) Blast様 8.0  
骨髄所見 NCC(万/μl) 36.0 BM-Mgk 30.0
Blast様(%) 95.0  
生化学所見 LDH 741 IU/l, CRP 2.02 mg/dl

 
[骨髄×400.MG染色
N/C比が高い芽球様細胞が優位で核影も認める.
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[骨髄×1000.MG染色
芽球様細胞のクロマチンは粗顆粒状である.
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[骨髄×1000.MG染色
芽球様細胞は一部に核形不整や核小体を認める.
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[骨髄×1000.PO染色
芽球様細胞はPO染色に陰性である.
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[骨髄×1000.PAS染色
芽球様細胞はPAS染色に陰性である.
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解説&臨床診断



 正解 : 3 前駆B細胞性リンパ芽球性白血病(PBLL)

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年齢 60歳代
〜前発信〜
末梢血所見から 真性多血症(PV)でフォロー中、白血球が増加(34,780/μl)し、血液像にて芽球様細胞が8%みられる.
骨髄所見から 骨髄にて芽球様細胞が95%みられ、N/C比は高く、クロマチンは粗顆粒状である.
核形不整や核小体はあまりみられない.
細胞化学所見から 芽球様細胞はPO染色PAS染色EST染色に陰性である.
【形態診断】 骨髄にて90%以上を占める芽球様細胞は形態学的ならびにPO染色が陰性よりリンパ系が考えられる. 表面形質でその起源を知ることになる.
〜後発信〜
表面形質から CD10(97.2%)、CD19(97.9%)、CD34(99.9%)、HLA-DR(99.8%)
分子生物学的から 47,XY,t(1;8)(q21;q21),t(9;22)(q34;q11),+der(22)t(9;22)‥3/20cells
46,XY‥17/201cells
BCR/ABL-FISH (74.2%)
【臨床診断】 芽球様細胞は光顕的、表面形質よりALLを疑い、FISH法にてPh染色体を認めたためPh陽性のALLと診断された.
7年前、PVの診断をされるが、抗悪性腫瘍剤は投与されずにいたため、治療関連性ではないと思われる.
WHO分類 前駆B細胞性腫瘍 Precursor B-cell neoplasm
☆9;22転座急性リンパ芽球性白血病 ALL-t(9;22)(q34;q11.2)、
BCR/ABL


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