
症例43
| 年齢 | 10歳代 | |||
|---|---|---|---|---|
| 既往歴 | 小児期からリンパ節腫脹、肝脾腫あり経過観察. | |||
| 現病歴 | 思春期に脾臓摘出を受ける. 最近になって白血球の増加に伴いリンパ球が増加したことと、リンパ節腫脹がみられたため、リンパ節生検が施行された. | |||
| 血液学所見 | WBC(/μL) | 51,600 | RBC(万/μL) | 426 |
| Hb(g/dL) | 14.3 | Ht(%) | 40.3 | |
| PLT(万/μL) | 8.6 | MCV(fL) | 94.6 | |
| MCH(pg) | 33.5 | MCHC(%) | 35.4 | |
| 血液像(%) | Ly | 90 | ||
| 表面形質所見 | CD5, 19, 20, 21, 22, 38(+) | |||
| 染色体所見 | 46,XY,t(11;14)(q13;q32) | |||
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|---|---|---|
| [末梢血×400.MG染色] N/C比が高く、類円形核を有する細胞の増加がみられる. |
[末梢血×1000.MG染色] 増加する細胞は幼若型というよりも成熟型を思わせる. |
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| [末梢血×1000.MG染色] 増加する細胞は好中球大でクロマチンは正常型(中央左下)に比べるとやや繊細である. |
[リンパ節スタンプ×400.HE染色] 大小不同性はなく均一で、リンパ球系細胞の増生がみられる. |
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| [リンパ節スタンプ×1000.HE染色] リンパ球系細胞のクロマチンは粗荒で細胞質の好塩基性は乏しい. |
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正解 : 5 マントル細胞リンパ腫(MCL)
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| 年齢 | 10歳代 |
|---|---|
| 〜前発信〜 | |
| 末梢血所見から | 白血球増加(51,600/μL)に伴う分類にてリンパ球が90%(46,440/μL)と増加している. N/C比は高く、クロマチンは粗荒である. |
| リンパ節所見から | リンパ節生検のスタンプ標本にて、均一な小型リンパ球の増生がみられる. それらのクロマチンは粗荒で細胞質の好塩基性は乏しい. |
| 細胞化学所見から | リンパ系細胞はPO染色、PAS染色に陰性である. |
| 【形態診断】 | リンパ系細胞は形態学的ならびにPO染色が陰性よりリンパ球系を支持した. 細胞は成熟型であることよりCLLも考えたが、小児年齢よりNHL(非ホジキンリンパ腫)のsmall cell type を考えた. |
| 〜後発信〜 | |
| 表面形質から | CD19、CD20、CD21、CD22、CD38、CD5 (+) bcl-2、cyclinD1 (+) |
| 分子生物学的から | 46,XY,t(11;14)(q13;q32) |
| 【臨床診断】 | 末梢血では形態学的に正常リンパ球を思わせるが、量的異常(46,440/μL)から腫瘍性を疑う. リンパ節生検によるスタンプ標本のHE染色より小型リンパ球の増生は、表面形質にてCD5、bcl-2、cyclinD1が陽性よりマントルリンパ腫と診断された. 染色体では本型を支持するt(11;14)(q13;q32)の核型」異常が認められた. 本染色体異常は70〜75%の症例でみられるといわれている. |
| WHO分類(2022) | 成熟B細胞性腫瘍(mature B-cell neoplasms) ☆マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma: MCL) |





