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症例48

年齢 70歳代
既往歴 糖尿病,高血圧,前立腺肥大症
現病歴 肝脾腫,腹部リンパ節腫脹あり.
血液学所見 WBC(/μL) 148,700 RBC(万/μL) 418
Hb(g/dL) 13.9 Ht(%) 38.0
PLT(万/μL) 8.5 MCV(fL) 90.9
MCH(pg) 33.2 MCHC(%) 36.5
血液像(%) St. 5,Ly 89,Mo 6
骨髄所見 NCC(万/μL)  17.7 MgK(/μL) 15.0
Blast様(%)  0 Ly 84.4 
生化学所見 LDH 2,313 U/L
染色体所見 分裂細胞認めず.
化学療法 Fludarabine

 
[骨髄×400.MG染色
N/C比が高いリンパ球系を思わせる細胞がみられる.
[骨髄×1000.MG染色
リンパ球系細胞は15μm大で、アズール顆粒をもち正常リンパ球に類似するものもみられる.
 
 
[骨髄×1000.MG染色
一部にはアズール顆粒を有するものもみられる.
[骨髄×1000.MG染色
なかには豊富な細胞質を有するものもみられる.
 
 
[骨髄×1000.PO染色
リンパ球系細胞はPO染色に陰性である.陽性細胞は単球である.
 

解説&臨床診断



 正解 : 5 慢性Tリンパ性白血病(CTCL)

拡大した形態画像には、解説が含まれています。

年齢 70歳代
〜前発信〜
末梢血所見から 白血球増加(148,700/μL)の分類にてリンパ球が89%(132,343/μL) と増加している.
骨髄所見から 骨髄は正形成でリンパ球が84.4%と増加している.それらは15μm大の小型で核形不整や核小体はみられない. クロマチンは粗荒で細胞質の好塩基性は乏しくアズ―ル顆粒を有するものもある.
細胞化学所見から 芽球様細胞はPO染色PAS染色EST染色に陰性である.
【形態診断】 芽球様細胞は形態学的に、ならびにPO染色が陰性よりリンパ球系が考えられる.
芽球様細胞は成熟型を思わせ、末梢血ではリンパ球数が15,000/μL以上を認めることよりCLLを考えた.
〜後発信〜
表面形質から CD2、CD3、CD4(+)、CD8、CD5、CD7、CD16、CD56、TdT(-)
分子生物学的から 分裂細胞を認めず, 一部にinv(16)を認める.
TCR再構成 αβ(+)
【臨床診断】 増加する成熟リンパ球は顆粒(顆粒リンパ球)を有し、表面形質からT細胞性を支持するもので、TCR再構成がαβ型よりT細胞性LGL白血病と診断された. 化学療法はFludarabine等が使用された.
WHO分類(2022) 成熟T/NK細胞白血病(mature T/NK cell leukemia)
☆T細胞性LGL白血病(T-cell large granular lymphocytic leukemia)


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