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PSA検査の基礎 −前立腺がん早期発見のため−

ブルークローバー・キャンペーンベックマン・コールターは、前立腺がんの「早期発見・治療」推進のための
ブルークローバー・キャンペーン に、2009年も協賛しています。

前立腺がんは男性の臓器である前立腺に発生するがんで、日本でもがんによる死亡原因の上位にランク入りしつつあります。早期発見により、適切な治療を受ければ前立腺がんに罹患しない場合と同じくらいの長さの人生を送ることが可能です。このコーナーでは、前立腺がんを早期に発見するために広く行われているPSA(ピーエスエー)検査について解説します。


図1 腎臓 膀胱 前立腺 尿道前立腺はどこにある?

前立腺は男性特有の臓器で胡桃の実程度の大きさです。膀胱の下部に尿道を囲むようにして存在しています。(図1)

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PSAって何?

Normal PSA Pathway:正常なPSA分泌経路PSAはProstate Specific Antigen(前立腺特異抗原)のことで、その名の通り、前立腺から分泌される物質でセリンプロテアーゼ(セリン蛋白分解酵素)に分類されます。PSAは本来、前立腺から精漿中に分泌され精子が体外に放出される時に精漿中のゼリー化成分である蛋白を分解して精子の運動性を高める役割を果たします。したがって、健常男性であれば、血液中にPSAが浸出することは非常に稀です。しかし、前立腺に疾患があると血液中にもPSAが浸出し血液検査で測定が可能となります。

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PSA検査でわかること

PSAは前立腺疾患由来の物質ではなく、前立腺自体から分泌されますので、健常者でも多少血液中に浸出している場合があります。しかし、健常者のPSA濃度は0.1 ng/mL以下と非常に低濃度で、前立腺疾患患者の場合は4.0 ng/mLと40倍もの濃度となりますので、この濃度差が疾患の認識に役立ちます。

PSAの発見と測定系確立の歴史を示します。

前立腺特異抗原(PSA)の歴史
PSAの第一発見者については、はっきりとしていませんが、1979年Wangらが精漿からPSAの精製に成功したことを端緒として、PSAの測定が行われるようになり、PSA-ACTの発見、freePSAの発見へと続いていきます。<⇒豆知識1参照>
1993年ChristenssonらがF/T比の臨床的有用性を発表し、1994年にはCatalonaらがTandem PSAキットを用いて、PSA測定値による前立腺疾患の早期発見と直腸診の関係について複数施設データをまとめて報告しました。この時に、PSA 4.0 ng/mLを精密検査へのカットオフとすると、無駄な針生検を実施することなく、しかも前立腺がんの患者を適切に発見することができると発表しました。Tandem PSAキットによって決められたPSA 4 ng/mLというカットオフ値は、測定キットを越えて広く用いられ、いわば業界標準となっています。<⇒豆知識2参照>
更に、アメリカ泌尿器科学会により、PSA、freePSAを用いた前立腺がんスクリーニングのフローチャートが発表され、効率よくがんと非がんを識別し前立腺がん早期発見へと繋げる方法は、今日でも広く利用されています。
PSAによる診断のフローチャート

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前立腺の病気は治療が可能ですか?

米国7施設共同研究の結果PSA検査の普及に伴い、前立腺がんの早期発見・治療が可能となりました。Catalonaらの研究でも明らかなように、PSA 4〜10 ng/mLの場合には、前立腺肥大症患者と前立腺がん患者とが混在していて、統計的に見てもきっちりと分けることができません。
この場合に良性疾患である肥大症か悪性の可能性が高いがんかを識別するf/T比が役に立ちます。f/T比が高くなると肥大症、低い場合には前立腺がんが疑われます。罹患率としては、前立腺肥大症が圧倒的に高く、したがって医療費の圧迫も高いといわれています。

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PSAが高めだったら、どうしたらいいでしょうか?

検診などでPSA測定値が高いことが分かった場合は、グラフからも分かるように、前立腺肥大症である可能性も非常に高いわけですから、信頼できる泌尿器科医を受診してください。
総務省統計局によると、PSA健診対象といわれている50歳以上の男性は日本全国で2,400万人、これは総人口の約40%に当たります。2,400万人のうち、2005年時点で、PSA健診を受診した人は、5%にも満たないという報告があり、70〜80%の対象人口が既に受診をしている欧米各国とは大きな隔たりをみせています。こうした啓蒙の高さを反映してか、アメリカだけでもPSAあるいは前立腺がんを標榜するWebサイトが多数見受けられます。

ベックマン・コールターでは、前立腺がん早期発見を促すブルークローバー・キャンペーンに協賛し、健診によるPSA検査の積極的受診啓蒙活動を始めました。<⇒豆知識3参照>

診断と% f PSAとの関連性
Probability of Cancer:癌の可能性
PSA及び%FreePSAに基づいた前立腺癌の可能性

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PSA検査はどこで受けられますか?

日本でのPSA検査受診者が少ないことは述べましたが地域差があります。受診者が多い地域では、早期前立腺がんの発見が多いということが分かっています。
PSA検診は、地域の住民健診、職場の健診或いは人間ドックで受けることができます。検査メニューにPSAが見当たらない場合は、受診時に尋ねてみてください。

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ベックマン・コールターはワールドワイドで前立腺がん認識週間キャンペーンを支援して います。

PSA豆知識 1

Wangらに先立つ1971年にはHaraらがやはり精漿から分離した物質をγセミノプロテインと命名しましたが、これは後日freePSAと同一物質であることが分かりました。「原先生が発見されたγセミノプロテインをいち早く国際的な論文として発表されていれば、日本人が発見した物質として後世に語り継がれるべき・・・・」と日本人の謙虚さを惜しむ声も聞かれます。また、原らはtotal PSA/γセミノプロテイン(f/T比の逆数)により肥大症の識別が出来ることも報告しています。

PSA豆知識 1

Tandem PSAはHybritech社により開発されたキットです。現在Hybritech社はBeckman Coulter, Inc.の中の1社となっています。
Tandem PSA とTandem freePSAはラジオアイソトープを使用する検査キットですので、特殊な環境・装置が必要ですが、後継であるAccess Hybritech PSA 及びAccess Hybrietch freePSAはラジオアイソトープを必要とせず、他の疾患に関連する項目も同時測定できるアクセスイムノアッセイシステム専用です。Access Hybritech PSA/Access Hybritech freePSAではTandemキットの測定値をそのまま受け継ぎ、更に高感度へ測定範囲を広げることに成功しています。

PSA豆知識 3

PSA検査の適齢期
一般的に前立腺がん検診は50歳以上の男性が対象です。しかし、家族に前立腺がんに罹患した経歴のある方については、40歳になったらPSA検診の受診をお勧めします。PSA値は前立腺に刺激を与えた後は、健常な男性でも高くなることがあります。また、前立腺全摘術後のPSA値は非常に低くなります。

ブルークローバー・キャンペーン

ブルークローバー・キャンペーン前立腺がんの「早期発見・早期治療」の大切さを伝える啓蒙活動です。ベックマン・コールターは、ブルークローバー・キャンペーンに協賛しています。私たちの活動に、どうか皆様のお力をお貸しください。


ブルークローバー・キャンペーン事務局
〒104-8011 東京都中央区築地5丁目3番2号 朝日新聞社事業本部
電話:03-5540-7665

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【参考文献】

  • 国立がんセンター がんの統計 部位別癌死亡率の推移
    http://www.ncc.go.jp/jp/statistics/2005/fig03.pdf
  • Wang, M.C., et al,:Invest. Urol., 17,159,1979
  • Wang, M. C., et al.:Prostate, 2,89,1981
  • Frankel, A.E., et al.:Cancer Res., 42,3714,1982
  • Christensson A, et al:Eur J Biochem 194:755-763,1990.
  • Lilja H, et al : Clin Chem 37:1618-1625,1991.
  • Catalona W J, et al:JAMA 274:1214-1220,1995.
  • Catalona W J, et al:JAMA 279:1542-1547,1998.
  • 住民基本台帳に基づく人口・人口動態及び世帯数(平成18年3月31日現在)
    http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/020918.html
  • 前立腺癌検診のインフォームド・コンセントと将来展望
    伊藤一人 群馬大学大学院医学系研究科泌尿器病態学
    泌尿器外科, 18(8):897-900, 2005.
  • PSAスクリーニング導入後10年間の検診発見前立腺癌症例の臨床病理学的特徴の変化
    山本 巧*1, 伊藤一人*1, 武智浩之*1, 大井 勝*1, 河野真意*1, 坂西理恵*1, 久保田裕*2,
    黒川公平*1, 鈴木和浩*1, 山中英壽*3
    *1群馬大学大学院医学系研究科泌尿器病態学, *2原町赤十字病院泌尿器科, *3黒沢病院予防医学研究所
    泌尿器外科, 18(8):1000-1002, 2005.
  • 前立腺がんスクリーニング考
    山中英壽 群馬大学泌尿器科 泌尿器外科, 16 : 283-286, 2003.
  • 前立腺がん検診
    山中英壽*, ***, 加瀬嘉明*, 熊坂文成**, 黒澤功**, 島崎淳***
    Modern Physician, 26(6):904-907, 2006.
  • 朝日新聞記事「プルークローバーキャンペーン2008 活動報告」 2008年11月23日 (PDF:401KB)Adobe Reader
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