HOME > 臨床検査分野 > Quality Leaders Digest > Vol.10:救命検査研究会 検査技師が救命救急現場で活躍

Quality Leaders DigestQuality Leaders Digest

Vol.10:救命検査研究会 検査技師が救命救急現場で活躍

第3回救命検査研究会(代表理事=愛知医科大病院中央臨床検査部・末廣吉男氏)が11月19日、カーク本社(名古屋市)を会場に開催された。今回は、亀田総合病院臨床検査部の大塚喜人部長と、同院臨床検査部の岩嶋誠主任が「救命救急検査士による救急医療の質・精度の向上」と題した講演を行い、同院独自の院内認定資格「救命救急検査士」と して、臨床検査技師を救命救急センターに常時配置し、臨床検査業務や看護業務支援などを行う意義について説明した。

左から野村俊郎主任、大塚氏、岩嶋氏

大塚氏は、看護師が全国で約5万6000人不足しているとする厚生労働省の数値(2011年)を紹介。 「(看護師不足により)医療の質や安全性が担保できないから、さまざまな問題が生じる」と指摘し、看護師の業務を見直すべきとの考えを示した。 その上で「“対患者”と考えた時、看護師と検査技師とで、法的に縛られない行為の共通点は多い」との見解を表明。 現在は、看護師が可能な行為の1つになっている注射も、認められたのはわずか9年前の2002年だったと述べ、「臨床検査技師も、検体採取から結果解釈まで、ある程度サジェストできる立場になるべきだ」との認識を示した。
そうした考えから、亀田総合病院では「チーム医療の推進」を目的に、独自の院内認定資格として「救命救急検査士」を創設。認定取得した検査技師を、救命救急センターに常時配置していると説明した。 大塚氏は「救命救急検査士」の目的について「医師の指示の下で、診療補助業務や看護業務支援を行い、医療の質と安全を向上させること」だと説明。 それによって得られる効果としては、医師の過度な負担軽減と看護師本来の看護業務への傾注だとした。
大塚氏は、「救命救急検査士」を含む「救命救急チーム」の名称で、厚労省が今年度、実施する「チーム医療実証事業」に指定されたと紹介。 具体的な内容は「医師の診療補助」として、外科処置介助、心肺蘇生の介助、留置式尿道カテーテル挿入の介助、「看護業務の支援」として、バイタルサイン 測定、点滴ライン確保、患者搬送・移動、病棟に設置している機器のメンテナンス・救急カート点検を挙げたと説明。 また「臨床検査技師などの業務範囲の解釈について、法改正の必要も提案したい」との考えも添えているとした。


災害時トリアージなど「取り組みたい」

一方、「救命救急検査士」として、実際に同院救命救急センターで勤務する岩嶋氏は、患者が来院・搬送されてから帰宅・入院するまでの間、 臨床検査業務と医師の診療補助、看護業務支援を担っていると説明。具体的には、業務規定で詳しく定められているとした。
「救命救急検査士」認定取得の手順としては、まず一般病棟で看護支援業務を学び、シミュレーションセンターでレクチャーを受ける。 その後、現場で医師、看護師の指導・監督の下、1カ月間の実習をこなし、救急科医師・救急師長の承認を取得。 最後に院長の承認を得て、晴れて「救命救急検査士」の認定取得になるという。 岩嶋氏は「救命救急検査士」として、検体採取のための痰吸引、採血オーダーのパス作成、災害時トリアージにも今後取り組みたいとの考えを示した。


  • 被災地での検査技師の意義強調

    福田氏
    福田氏

    森谷氏
    森谷氏

    同日の研究会では、愛知医科大病院中央臨床検査部の森谷裕司氏が、東日本大震災発生後、4月5〜9日にかけて宮城県南三陸町で従事した医療救護活動を紹介。 臨床検査技師が見た震災被害について報告した。森谷氏は、災害発生後72時間まで(超急性期)をめどに活動するDMATの後、おおむね4週まで(亜急性期)活動する医療救護班の調整員として活動。 「“臨床検査技師”としてだけではなく、“医療人”としても被災地支援に貢献することは可能だ」との認識を示した。 その上で、従来の局地災害に対するDMAT以外に、広域災害に対応する高次機能を有する医療救護班の派遣体制を構築する必要性を指摘した。 また「超急性期とは対照的に、亜急性期における検査の需要は非常に大きかった」と述べ、被災地における検査技師の意義を強調した。
    一方、大阪府立泉州救命救急センターの福田篤久技師長は、三陸沿岸を襲った津波の歴史をひもとき、東日本大震災による津波で生死を分けたポイントなどを紹介。 「数百年に一度の巨大地震でも、人が住んでいなければ災害にならず、歴史にも残らない」とした。 その上で「先人は、命がけでさまざまな情報を書き残してくれている」と述べ、先人の経験から学ぶ情報の重要性を指摘。 こうした考え方は、患者の病態を把握するポイントにも通じるとの認識を示した。



(The Medical & Test Journal 2011年12月21日 第1180号掲載)

PDF版ダウンロードはこちら




 

ページトップ