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Vol.13:大阪府・関西医科大学附属枚方病院 生化学検査システムを一新し、迅速検査体制を再構築

関西医科大学附属枚方病院臨床検査部は、開院当初より増加し続ける検査依頼件数に対応するため、生化学検査システムを一新。結果報告の迅速化とコスト削減が主目的で、ベックマン・コールターの最新機種 AU5800を導入したことにより解決が図れたと関係者は現状を評価する。こうした検査部の取り組みは院内へ発信し、検査部の透明化を推進。今後は運用面の工夫を継続し、検体検査業務の効率性をさらに高める計画だ。

  関西医科大学附属枚方病院(744床)は2006年の開院当時から特定機能病院、災害拠点病院、さらに12年には高度救命救急センターに指定されるなど、大阪府北河内地区の急性期医療の中核を担っている。同大臨床検査医学講座教授で、臨床検査部長の高橋伯夫氏は「より感度が高い検査を少しでも多く院内に取り込み、迅速検査体制を充実させることが基本的な考え方」と検査部の運営方針を説明する。
高橋氏
高橋氏
  免疫、生化学などの検体検査では到着から30分以内の結果報告を目標とする。従来のAU5400では、検体依頼件数が年5%前後の水準で増え続ける中で、報告時間の短縮が課題になっていた。そのため検査部は更新の検討に着手し、同社のAUシリーズとしては最高速を実現したAU5800を選定した。
  検討に当たっては結果報告の迅速化はもちろん、業務の効率化とコスト削減を重視。従来機の特徴でもあった故障の少なさと、同社スタッフによるトラブル時の素早い対応もプラス材料として作用し、最終的に2ユニットタイプのAU5820と、1ユニットタイプのAU5810の2台を搬送接続にて導入した。
  1台当たりの処理能力は、従来機比25%アップし、その効果はデータでも裏付けられている。例えば5月14日の検査依頼件数は1040件だった(図)が、検体到着から40分以内の報告は92〜93%に達し、目標とする30分以内でも45〜46%に上昇した。
大倉氏
大倉氏
  管理技師長の大倉ひろ枝氏は、「今は、さらに上昇しているのではないか」と、検査部を訪ねた7月の状況を説明する。結果報告が早くなったことは、高橋氏も循環器内科の外来診療で実感している。臨床検査部への依頼件数診療前検査のため8時以降に外来採血が始まるが、電子カルテを最初に開く午前9時前の時点で「以前よりも多く結果が報告されている」とし、診療前検査が求められる内科系の診療の質と利便性が向上したと指摘する。
  もう一つの命題だったコスト削減も、見込み通りの結果になった。大倉氏は「同じ運用でも、機器を更新したことで試薬コストを4割程度は削減できたと思う」と分析している。
  診療収入についても検体検査管理加算Wなどの加算算定件数が増加し、「病院としても、経営環境が好ましい方向に変化するのではないか」と高橋氏は期待する。


AU5800の特長

  担当者にとっては使い勝手が気になるところだが、副技師長の鈴木玲子氏(集合写真手前)と主任の角坂芳彦氏(同後列左端)は「今はいいところしか見えない」という。特に、サンプル分注量最少1.0μLを実現する微量分注の精度はもちろん、初回の分析から希釈指示を受け取ることができる特長的な機能に言及し、コスト削減とともに報告時間の短縮に大きく貢献していると指摘する。また、従来機よりも画面遷移が容易となり、「必要な画面にダイレクトにジャンプできるようになった」と操作性の改善を評価。今後は、同社の全自動化学発光酵素免疫分析装置Access2を導入することで、免疫分野でも迅速検査体制の充実を図り、生化学分野と併せた同社の充実したサポートに期待を寄せる。

専門性の高い診療支援部門として

  院内検査の重要性を周囲に認知してもらうことを、検査部は当初から重点課題と位置付けてきた。そのために、職員を対象に検査部見学会を実施し、年4回発行する「Lab(love) NEWS」では、今回の分析装置更新のニュースを伝えるとともに、「これからも正確で迅速な結果報告を目指して努力します」と意気込みを表明した。全職員を対象に、最新の検査技術や採血などの情報を伝える「臨床検査セミナー」も年4回企画しており、毎回150人以上が集まる。
  さらに、整理、整頓、清掃、清潔、躾の頭文字を取った「5S活動」にも力を入れ、講師を招いて接遇のロールプレイを部内で行い、採血を行う際の目線を改善するなど、患者視点での取り組みを強化しているという。
臨床検査部の皆さんと導入したAU5820、AU5810および搬送ライン
臨床検査部の皆さんと導入したAU5820、AU5810および搬送ライン
  検査部の将来像について高橋氏は、「臨床検査のことなら、検査部に任せておけば大丈夫だという専門性を高める必要がある」と指摘する。医療・医学の急速な進歩により膨大になった情報量を臨床医単独では吸収しきれず、医療専門職との分業が避けられないと考えているためだ。NST、ICTなどのチーム医療には参画しているが、臨床検査技師の専門性をさらに発揮できる領域と位置付け、積極的な人材育成を進めていく。


(The Medical & Test Journal 2012年8月21日 第1205号掲載)

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