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Vol.24:東京都・杏林大学医学部付属病院
世界初「UniCel DxH 1601」をルーチン化
血液検査の迅速化、省力化はかる

  杏林大学医学部付属病院臨床検査部で今年4月から、世界で初めてルーチン化された、ベックマン・コールター社の「UniCel DxH 1601」。それまで個別の装置でしかなかった血球計数装置と血液塗抹標本作製装置を接続した通称“コネクティビティ”の導入は血液検査の省力化に貢献、迅速化もはかられた。臨床側への検査結果提供が早まったほか、業務負担の大幅な軽減を実現した。

阿部氏  同臨床検査部が血液検査システムの更新に合わせて、ベックマン・コールター社の血液分析装置の導入を決めたのは2010年のこと。血小板測定における低値測定の感度・正確性・再現性の高さが決め手になった。その後、14年4月に血球計数装置と血液塗抹標本作製装置が接続されたコネクティビティ・コンセプト「UniCel DxHシリーズ」の発売が決まると、「UniCel DxH 1601」を導入。世界で初めて同装置をルーチン検査に組み込んだ。現在はDxH 1601のほか、DxH 800×2式、DxH SMS、DxH 1601に接続された仕分け装置のDxH Tube Sorterが稼働している。
  臨床検査部技師長の城靖志氏は「接続されて想像以上にスピーディーで効率的」と評価する。また「省スペースの機器であることも重要なポイントだ」という。4年前の新棟移転によって臨床検査部のスペースが狭くなっており、奥行約80cm以下で省スペース設計の同シリーズは限られた検査室内のスペースに、非常にコンパクトに配置することができた。
  城氏は、「数年待ったが、ユーザーとしてはより良い製品になったことが何よりで、かつ、世界1号機におけるシステムのバグもなかった」とし、想像以上の効率化が実現され、“コネクティビティ”は期待に応えてくれたと評価する。


TATを大幅に改善、省力化も

  同臨床検査部の血液検査室はスタッフが9人。検体の多い月曜日などは1日に1200検体を超える検査を実施している。検体の7割をメイン機であるDxH 1601で処理しており、マニュアル操作が必要な微量検体や再検検体などの残り3割はDxH 800×2式を使用し検査を実施している。
  DxH 1601になり、血算から標本作製までが一連の流れで実施できるようになった。同臨床検査部で血液検査を担当する杉浦満喜係長は、導入後の実感として「省力化され、すごく楽になった」という。

阿部氏

  これまで検体の受付業務にスタッフ1人が付きっきりになっていた。現在ではカセットレーンに載った検体カセットが測定、再検、標本作製、仕分けまで自動で処理されるため、分析装置にかかっていた人員が2人から1人になり、人員削減につながった。以前は、生化学・免疫検査よりも報告時間が遅くなることがあり、臨床側からの問い合わせに苦慮していたが、採血から結果報告までのTATも、30分以内に短縮されたという。
  またDxH 1601では接続している装置のうち、1つの装置が停止してもレーンをまたいで稼働中の装置へ移動できるため検査が止まることがない。千葉直子主任は「例えば中央の装置が止まっても隣の装置で検査が進む。検査が止まらないのは大きなポイント」と評価する。
  “コネクティビティ”の導入による処理効率の向上と省力化。杉浦氏は「臨床側への結果報告が早くなり、検査部のコンセプトに合致した運用が構築できている」としている。


きめ細かく、柔軟なデシジョンルール設定

小堺氏

  自動再検設定など現在、DxH 1601で20を超えるデシジョンルール(測定結果や各種フラグなどによって再検や標本作製などの指示を装置内で行うルール)を設定し運用している。血液内科・小児科からの依頼に対しては必ず標本を作製するなど、診療科ごとの設定に対応している点は魅力だという。千葉氏は、血液検査室のニーズ、臨床側のニーズ、研究用などに合わせて「デシジョンルールをきめ細かく設定でき運用の幅が広がる」とした。
  また、NICUや小児科からは当然微量検体が多く、以前のLHシリーズでは対処できなかった検体にも対応できるようになった。UniCel DxHシリーズの5検体用カセットでは異なる採血管の混在も可能なため、採血管の高さの違いにも左右されず検体の仕分けや検体の移し替えという手間もなくなり、最適な運用が構築されているという。
  DxH 1601では、奥行が約80cm以下とコンパクトであるだけではなく、これまで各装置に必要だった操作端末を1台で一元管理することが可能になり、よりコンパクトで無駄のないレイアウトを実現した


生まれた余裕 研究や若手技師の教育に

阿部氏

  鏡検には経験知も重要になってくるが、日々、多くの検査を実施する中で「日々の検査に追われ、若手の教育に充てる時間が十分に確保できていなかった」と杉浦氏は振り返る。しかし、検査の省力化によって時間的な余裕も生まれているとし、「若手の教育が現在の課題。認定血液検査技師を取得するという目標もある。今後はしっかり教育体制をつくっていきたい」とした。
  杉浦氏と千葉氏は「血液検査は形態学が面白い」と声をそろえる。臨床と密に連携をとりながら、初診時から造血幹細胞移植に至るまで血液像から経過を追えることが興味深いという。思いがけない患者の検体から白血病の兆候を見つける場合もある。鏡検の重要性も高いことから、経験知を養えるよう若手技師のスキルアップを図っていきたいとした。
  また千葉氏は「異常細胞の見逃しを少なくするため、リサーチ項目を活用した研究に取り組んでいきたい」とし、拡充されたリサーチ項目を最大限活用したいと意気込む。

個別化医療への取り組み進める

  同臨床検査部では、検体検査の自動化によって生まれた人員を外来採血室へ配置しTATの短縮を図ったほか、がんに関する遺伝子検査の院内実施、救命救急センターで薬毒物中毒検査を担当する専任技師を配置するなど、さまざまな課題に取り組んできた。城氏は、今後はさらなる個別化 医療への取り組みが必要との認識を示した。
  また、同検査部に所属する臨床検査技師は80人を超える。検体検査、生理検査のほか微生物検査、採血室、救命救急センターにも臨床検査技師を配置している。城氏は今後の臨床検査部の運営について「今でも比較的多く生理検査に人員を配置しているが、今後も増える見込みだ」とする。生理検査のオーダーの増加や、手術前の深部静脈超音波検査や肺高血圧症に関するものなど高い技術が求められる検査オーダーが増えていることもあるが、当初のコンセプトでもある“患者サービスの向上”が念頭にある。一方「検体検査では人材確保が重要だ」として、検体検査を担当する技師の技術・知識の向上を図っていきたいとした。

(The Medical & Test Journal 2014年7月11日 第1277号掲載)

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