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Vol.26:秋田県大仙市・JA秋田厚生連大曲厚生医療センター スムーズなルーチンを、「UniCel DxH 1600」という選択 大量検体を即時に処理、余裕生まれる

 大曲駅前地区の再開発計画の中心としてJA秋田厚生連が仙北組合総合病院から新築移転、改称した「大曲厚生医療センター」。移転に伴って、ベックマン・コールター社の「UniCel DxH 800」2台をコネクトし、「UniCel DxH 1600」として運用を開始した。塗抹標本作製装置であるUniCel DxH SMSはあえて単体で稼働させている。DxH 1600とDxH SMSの組み合わせにより血液検査を迅速化し、余裕のある検査体制をつくり出した。

藤田技師長 2013年1月、当時の仙北組合総合病院にベックマン・コールター社の血球計数装置「UniCel DxH 800」と血液塗抹標本作製装置「UniCel DxH SMS」が導入された。同社のLH750、LH500からの更新だ。
ベックマン・コールター社製品を選定した背景について臨床検査科技師長の藤田秀文氏は「フォローアップの部分が大きい。ユーザーからの要望に対して、営業・学術・保守・システム担当者もすぐに応えてくれ、信頼感が大きい」と明かす。血液検査担当の竹村はるみ氏、伊藤香奈子氏も「トラブル対応も含めて迅速。安心して使える」と同様の意見だ。
また同院は同じJA秋田厚生連の平鹿総合病院(秋田県横手市)と循環器、外科診療等で連携しており、相互紹介によって患者の移動も多い。藤田氏は「患者の往来も多くデータをやりとりする頻度も高いので、極力同じ装置をそろえたいという考えがあった」と述べ、診療面での連携も機器選定に影響を与えたとした。


「UniCel DxH 1600」という選択

DxH 1600とDxH SMS 仙北組合総合病院ではそれぞれ単体で運用されていたDxH 800(2台)とDxH SMSだが、「大曲厚生医療センター」への新築移転のタイミングでDxH 800のコネクトが可能になったことを受けて、通称“コネクティビティ”への移行を決めた。
DxH 800(2台)とDxH SMSによる組み合わせであれば、3台を全てつなげる「DxH 1601」、DxH 800が2台の「DxH 1600」、DxH 800とDxH SMSの組み合わせである「DxH 801」の3通りのコネクティビティが選択可能だ。
大曲厚生医療センターではDxH 1600とDxH SMS単体としての運用を選択し、14年7月から運用を開始した。

 なぜ、DxH 1600とDxH SMSでの運用なのか。
大曲厚生医療センターの検体数は1日250〜300件、凝固検査が80件、塗抹標本の鏡検は80〜100枚ほどとなっている。竹村氏は「DxH 1600に標本作製が必要な検体がたまったらDxH SMSに移載している。標本作製が必要な検体を確認しながら確実にピックアップできる」とメリットを語る。さらに、伊藤氏は「DxH 1600からDxH SMSへのカセット移載は手間ではないので、スムーズなルーチン検査を行うための選択」と話した。また、新築移転後に検査科内のレイアウト変更もあり、新たな動線を考えたとき、DxH 1600に必ずしもDxH SMSをコネクトする必要はないという判断もあった。


大量検体を処理 ピーク時に力を発揮

右から伊藤氏、竹村氏と検査室の皆さん DxH 1600の処理能力は毎時最大200検体(CBC/Diff)だ。空いているユニットや処理効率をソフトウエアが判断し、自動的に振り分けることができる。検査の処理効率が高まることで処理速度も速まり、その効果は外来患者の検体が集中する朝のピーク時間に発揮されている。伊藤氏は「朝が格段に楽になった。これまでは大量の検体に追い立てられていたが、今は段取りをつけながら検査することができている」とし、処理速度アップが検査体制や伊藤氏らスタッフに余裕を生んだと話す。
藤田氏も処理速度が速くなったことを評価しており、「コネクティビティ導入前と比較して検体数は増えつつも5分程度短縮できている」との認識だ。しかし、すでに迅速検査は外来診療の必須要素であるとして「プラスアルファのフィードバックをしていくことが血液検査部門に求められていく」との考えも併せて示した。
運用面での変化もある。以前は標本作製の依頼があれば全数の標本を作製していた。現在は、医師からの依頼がある検体でもデータに問題があるものについてのみ標本を作製しており、デシジョンルールの活用をベースに運用を再構築したことで「無駄がなくなった」と竹村氏。夜間・休日も運用することで血液塗抹標本の作製に慣れていないスタッフが対応する場合にも、均一な質の標本ができるようになったとする。

頼れるデータ精度の進化

 DxH 800は、以前のLH750、LH500よりデータの精度が全体的に高まっていると竹村氏、伊藤氏は声をそろえる。低値血小板について「以前は血小板が低値の場合、ヒストグラムがはっきりせずに再検を行うときもあったが、DxH 800に変えて以降はバックグラウンドが下がったためかヒストグラムもはっきり出ていると感じる」と伊藤氏。Diffのプロットも「LH750よりきれいにデータが分類され、精度が良いと感じる」とする。竹村氏 も「LH750より全体的にデータの良しあしが明確になり感度が上がった」との意見だ。
データの精度がより高まったことで、塗抹標本が必要な検体も的確に選抜できているという。
今後はデシジョンルールの検討を進め、臨床科への個別対応などをしていくほか、LH750の際にはなかったフラグ項目への理解を深めていきたいとした。

地域で頼られる検査科に

病院外観 新築移転にあたって藤田氏は「仙北組合総合病院から院内構造は大きく変わらないが、採血・採尿、生理検査室を近くにすることで動線を短くし、外来患者さんの負担を軽くした」とレイアウトの変更を振り返る。検査科内は個々の専門性を伸ばしながらもジェネラリストを育てていきたいという藤田氏の思いを反映し、1人で何役もこなせる、他の部門とも助け合えるようワンフロアのレイアウトとした。
新築移転以降は検体数が増加傾向にあるという。「新築によって、さらに良い医療が受けられるようになるという周辺住民の方々の期待が増数の要因ではないか」と分析する。
大曲厚生医療センターでは地域包括ケア病棟が新設され、高齢者介護施設も隣接している。藤田氏は「地域に根づいた医療を展開していくという病院の方針がある。検査科としても協力していきたいと思う」とした上で、病院だけではなく検査科も地域に頼られる部門になっていく必要があると語る。
頼られる検査科に向けて、まず検査説明・相談への取り組みを進めていくほか、将来的には臨地実習の受け入れも視野にいれる。
秋田県南エリアの核となる医療機関の検査科として、今後もさらなる精度と迅速さで診療を支えていく。

(The Medical & Test Journal 2014年11月11日 第1290号掲載)

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