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Vol.33:自治医科大学附属病院 迅速で精度の高い検査結果を臨床に

 栃木県の自治医科大学附属病院(1132床) は外来患者数の増加に対応するため、ベックマン・コール ター社の血球計数装置「UniCel DxH 800」を3台連結した「UniCel DxH 2400」と「UniCel DxH 800」、 血液塗抹標本作製装置「DxH SMS」を導入した。同臨床検査部では運用面が大きく改善されただけでな く、新機能のNRBCチャンネルを併用することにより、異常細胞を捉える率が上がったほか、血小板数測定 における再検が30%減少するなど、精度の高い検査結果を臨床に報告している。

橋本技師長 自治医科大学は、三次救急を提供する附属病院のほか、敷地内にとちぎ子ども医療センターや健診センターなどがあり、栃木県のみならず、茨城県西部、埼玉県北部に渡る広範囲の地域医療を支える。臨床検査技師は、臨床検査部(橋本好一技師長)や病理診断部、輸血・細胞移植部、とちぎ子ども医療センター、健診センターなどに分かれ総勢で116人が在籍する。
 臨床検査部の血液検査部門では、昨年までベックマン・コールター社の血球計数装置コールターLH750、LH500が稼働していたが、外来患者数の増加に対応するため、本館の臨床検査部にDxH 2400 およびDxH 800、DxH SMSを導入し、新館の緊急検査室および子ども医療センター、健診センターにDxH 800をそれぞれ1台ずつ導入した。

処理能力が大幅にアップ

DxH 2400 自治医科大学附属病院は開院以来、一貫してベックマン・コールター社製の血球計数装置を使っている。今回、DxH 800を選択した理由について菅野主任は「臨床検査部が1機種に絞り試薬の管理を行うことで、手間と無駄を省いた」と述べる。メーカー間差、機種間差の心配がなく、精度管理においては専用コントロールに加え生血を用いることで、装置間においても厳密なデータ管理が可能という。また、「DxH 2400では3台分のデータを1つの端末で管理でき、装置が自動的に空いているユニットや処理効率を判断し、測定するので、LHシリーズに比べ、検体の処理能力が大幅にアップしている」との印象を語った。DxHシリーズの自動再検、依頼自動追加機能が搭載されていることを利用すれば、さらに業務の効率化につながる。
 LHシリーズでは、自動測定モードにおいて原則1mL以上の血液が必要であったため、小児や高齢者の採血、病棟医師の採血でしばしば検体不足を経験した。DxH 800は500μL以上で全血測定が可能だ。検査精度についても「LHシリーズよりも高い」と感想を述べた。CBC、Diff測定などにおけるNRBC(有核赤血球)チャンネルによるデータのハイブリット解析などの新しい機能が、異常細胞を捉える率を上げていることも評価した。DxHシリーズでは血小板凝集の特徴を示した場合でも、データをもとにWBC値への干渉補正を行い、CBCの信頼性を高める。NRBCチャンネルでは、専用試薬を使用しないので、経済的な運用が可能だ。また、DxH 800の希釈液サイズは10Lと、LHシリーズの半分。本体内に2個装填でき、1つ目が無くなると自動的に2つ目に切り替わる。20Lサイズは女性には重く負担であったが、10Lとなったことでかなり軽減されたという。

血小板数測定における再検が30%減少

 感度について筑後副技師長は、「LHシリーズよりも DxH 800の方が高く、低値領域でも信頼できる値が出ている」と述べる。疾患によっては、デブリス(細胞破片など)が現れることがあっても、測定にほとんど影響しないという。早津主任は、DxH 800による血小板数低値領域の性能について、フローサイトメーターとの比較(1)を行った結果、「血小板数のマニュアル再検はヒストグラムの解析により約30%減少し、業務の効率化が図れている」との研究成果をまとめている。
 このようにDxH 800は、精度、感度、使いやすさなど数々のメリットがあることが分かった。

患者担当技師制度を実施

血液検査担当の皆さん  附属病院の外来採血は、開門と同時の朝7時30分に始まる。1日の血算検体は約1500件。筑後副技師長は、「血算検体は、多い日には400件ほどが午前8時台に臨床検査部に到着し、7割は午前中に集中している」と説明する。
 検査データは部門で一元管理していて、どの装置で測っても検査システム内に統合され、時系列で見ることができる。血液像においては、白血病や悪性リンパ腫といった異常細胞を持つ血液患者検体に対し担当技師制をとり、手引で標本を作製し、判読まで行っている。「担当技師を決めることで、患者特有の細胞の推移や形態の変化を把握できる」とメリットを語る。技師によっては担当する患者数が30〜40人にもなるという。検査システムでは血液像の画面で、担当する技師名が出るよう設定されている。
 LHシリーズでは標本作製のみで、染色は技師が行っていたが、DxH SMSでは標本作製から染色まで全自動ででき、効率化に貢献する。DxH SMSの特徴について「赤血球形態が見やすい。血小板もコントラストがはっきりすることで、血液像の標本を手引で作製・染色するよりも見やすくなった」と述べる。赤血球は手引だと観察できる範囲が狭いが、DxH SMSは広い範囲で見ることができる。

マラリア感染の分析を経験

 細菌検査室では、グラム染色や血液培養検査を24同検査室では、血小板測定機能としてのNRBCチャンネルにより、ある部分にプロットが集積したマラリア感染患者検体を経験した。マラリアは、日本での感染がほとんどないが、最近、外国人の入国が増えており、海外から持ち込まれる可能性がある。マラリアのスキッタプロット情報を保存し、今後の判定に使っていきたい考えだ。

血球計数装置DxH 500 について検討

 現在、微量の血液で白血球5分類まで測定可能な小型血球計数装置「DxH 500」について検討を行っている。DxH 500は、同社の小型血球計数装置「Ac・T diff(アクティディフ)」の後継機種。血液12μLで血算18項目と白血球5分類を測定できる。
 「コンパクトで使い勝手もいい。スキッタプロットやヒストグラムが表示されていて、それらを1検体ごとに見ることができる」と特長を述べる。操作画面はカラーのタッチパネルになっていて、見やすいという。DxH 500に期待したい。

1) UniCel DxH800における血小板数低値域の性能と再検基準の評価、
Author : 早津 かおり(自治医科大学附属病院 臨床検査部)、佐藤 恵美、黒崎 緑、菅野 実、筑後 史子、嶋田 勇
Source : 自治医科大学臨床検査技師年報(0919-3448)38号 Page8-12 (2016.01)

(THE MEDICAL & TEST JOURNAL 2016 年7月11日第1355 号掲載)

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