HOME > 臨床検査分野 > Quality Leaders Digest > Vol.7:ヘマトロジーロードショー in Sendai 2011

Quality Leaders DigestQuality Leaders Digest

Vol.7:ヘマトロジーロードショー in Sendai 2011

阿南氏
阿南氏

ベックマン・コールターは毎年、学術支援活動の一環として主要都市で「ヘマトロジー講演会」を開催している。 今回、東日本大震災後の仙台市内で7月に「ヘマトロジーロードショー in Sendai 2011」を主催し、福岡大医学部腫瘍血液感染症内科の阿南建一氏を招聘した。 阿南氏は、「ここがポイント。血液形態の読影」と題して東北各地から仙台へ集まった約150人の検査技師を前に自らの“秘策”を交えて講演を行なった。

今回の仙台開催は、“がんばろう東日本、がんばろう臨床検査”のスローガンの下、阿南氏の全面的な協力により実現した。 復旧・復興に向けての同氏の熱意あるメッセージもあり、記憶に残る講演となった。


形態診断の5つの秘策

阿南氏は、検体採取から塗抹、染色、同定、そして報告へと至る形態診断の一連の流れで発生する問題とその対応策について、自身が撮影した多くの血液細胞像を使いながら、具体的に解説した。
形態診断の秘策として、阿南氏は、@ 前処理に潜む阻害因子、A論理的細胞同定法の認識、B実践的同定法の着眼と秘策、C特殊染色の解釈と応用、D画像データベースの活用の5つを挙げた。
標本作製の前処理での阻害因子について阿南氏は、抗凝固剤、塗抹・乾燥、普通染色のそれぞれに対して必要なポイントを示した。血液細胞の同定法には、論理的な方法論として、@分析帰納法 A比較類推法 B除外法の解説に加えて、血球の成熟に伴って細胞の大きさ、核形、細胞質などに生じる変化を頭に入れて読影することが不可欠とした。
また、講演後半では、阿南氏の豊富な経験に基づいたより実践的な細胞同定法の解説を行った。末梢血液像の観察ポイントは、低倍率(×100)から始まり、中倍率(×400)、最終的に1000倍で詳細な確認をする流れを示した。細胞の種類よりも、「細胞構築の乱れの有無を見るのが先決」と指摘し、低倍率で正常細胞の確認や細胞の集塊の有無を確認し、中倍率で細胞構築の破綻の有無などを重点的に観察してから高倍率に移行し、詳細な観察をすることを勧めた。

血液細胞の同定・鑑別のポイント

ベックマン・コールターの「ヘマトロジー講演会」は、講演の中でクイズを出題し、参加者に回答してもらう参加型のセミナーを行っており、今回は事前に配布した「Quiz de 形態」の設問について、阿南氏は、専門性の高い解説を行い、それぞれの細胞像を例にとりながら細胞同定の着眼点などを説明した。
講演の最後に、阿南氏より自身が監修している3つの血液形態画像データベースが紹介された。その中の九州がんセンター内「血液腫瘍画像データベース」は170以上の症例が登録されている。このデータベースは35000を超すアクセスがあり、国内のみならず海外からのアクセスも年々増加している。
最後に阿南氏は、形態診断の秘策は、「何が正常で」「何が異常で」「それをどう裁き」「どう報告するか」の4点にあるとまとめ、検査技師が“形態理論に基づく眼力や感性”により適切に読影し、“臨床と密なる連携を取り、端的かつリアルタイムな報告を行うこと”が重要と説明した。
血液形態診断を支えるのは、担当する検査技師の熱意と日々の修練である。終演時刻を過ぎても相次ぐフロアからの質問と、熱心に回答を続ける阿南氏の姿が顕著にそれを表現していた。

震災からの復興と創生に向けた阿南氏の応援メッセージが、
震災からの復興と創生に向けた阿南氏の応援メッセージが、自筆の美人画とともに参加者に贈られた。

(The Medical & Test Journal 2011年9月1日 第1168号掲載)

PDF版ダウンロードはこちら


阿南健一先生の「ネットで形態 第4弾」にもぜひご参加ください!



 

ページトップ