症例7
年齢 | 50歳代 | |||
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現病歴 | 8ヶ月前より糖尿病にて当院通院中であった.その間血小板減少があり、当院当科へ紹介となる. | |||
血液学所見 | WBC(/μL) | 3,010 | RBC(万/μL) | 374 |
Hb(g/dL) | 12.7 | Ht(%) | 38.7 | |
PLT(万/μL) | 6.5 | MCV(fL) | 103.5 | |
MCH(pg) | 34.0 | MCHC(%) | 32.8 | |
血液像(%) | Blast (+)、奇形赤血球 (+) | |||
St-Seg 22%, Lym 65%, Mo 6%, Eo 6%, Ba 1% | ||||
骨髄所見 | NCC(万/μL) | 8.6 | ||
Blast様(%) | 3.0 | |||
生化学所見 | LDH 238 U/L | |||
染色体所見 | 46,XY,+1,der(1:7)(q10;q10)‥[11/20] 46,XY,‥[8/20]、 47,XY,+10‥[1/20] |
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[末梢血×1000.MG染色] N/C比の低い大型細胞がみられる. |
[骨髄×1000.MG染色] 赤芽球系細胞に弱いながら異形成がみられる. |
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[骨髄×1000.MG染色] 赤芽球系細胞の細胞質に狭小化がみられる. |
[骨髄×1000MG染色] 顆粒球系細胞に偽ペルゲル様と低顆粒がみられる. |
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[骨髄×1000.Fe染色] 赤芽球系細胞はFe染色に陰性である. |
正解 : 3 MDS(RCMD)
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年齢 | 50歳代 |
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〜前発信〜 | |
末梢血所見から | 白血球減少、貧血は軽度で、血小板減少がみられる. 分類上にはみられなかったが芽球の出現をみる. |
骨髄所見から | 骨髄は低形成であり、M/E比は2.8と正常域にある. 異形成としては、顆粒球にペルゲル様核異常や脱顆粒が、赤芽球系に弱いながら核融解と狭小化、巨赤芽球様変化を認める. 芽球は3%であるが、正常型に比べると、細胞質は豊富で著明な核小体をもつものもみられる. |
細胞化学所見から | 赤芽球はPAS染色に陰性、Fe染色に環状鉄芽球は認めない. |
【形態診断】 | 二血球減少症であるが、骨髄にて2系統の異形成や芽球の異型性を認めたことよりMDSを考えた. 骨髄の2系統の異形成が10%以上で芽球が5%以下より、多血球異形成を伴う不応性血球減少症(RCMD)と診断した. |
〜後発信〜 | |
染色体所見から | 46,XY,+1,der(1:7)(q10;q10)‥[11/20] 46,XY,‥[8/20]、 47,XY,+10‥[1/20] |
【臨床診断】 | 当初、MDSの診断に迷ったが、臨床医、技師にて再鏡検し、二系統の形態異常を確認したためMDS-RCMDと診断された. 染色体検査でも核型異常が認められMDSを支持するものであった. |
WHO分類(2022) | 骨髄異形成腫瘍 Myelodysplastic neoplasms(MDS) ☆低芽球性MDS(従来の多系統に異形成を有するMDS) Refractory cytopenia with multilineage dysplasia (RCMD) |