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症例35

年齢 60歳代
現病歴 頚部リンパ節腫脹を近医にて指摘され、精査のため当院に紹介来院し、白血球の増加とリンパ球の増加を指摘され入院となる.
頚部リンパ節、鼠径部リンパ節腫脹あり.
血液学所見 WBC(/μL) 26,000 RBC(万/μL) 445
Hb(g/dL) 15.0 Ht(%) 45.3
PLT(万/μL) 19.9 MCV(fL) 101.8
MCH(pg) 33.7 MCHC(%) 33.1
血液像(%) Ly70  
骨髄所見 NCC(万/μL) 14.6 Ly様(%) 68.0
 
生化学所見 LDH 250 U/L, CRP 0.21 mg/dL
染色体 46,XY

 
[末梢血×1000.MG染色
リンパ系細胞の増加 (18,200/μL)がみられる.
[骨髄×400.MG染色
リンパ系細胞が優位で68%みられる.
 
 
[骨髄×1000.MG染色
リンパ系細胞はN/C比がやや高く、核形不整はなくクロマチンは粗荒である.
[骨髄×1000.PO染色
PO染色は陰性で、PAS染色も陰性である.
 
 
[頚部リンパ節生検×1000.HE染色]
小型リンパ球の増殖がみられる.
 

解説&臨床診断



 正解 : 5 慢性リンパ性白血病(CLL)

拡大した形態画像には、解説が含まれています。

年齢 60歳代
〜前発信〜
末梢血所見から 白血球増加(26,000/μL)の血液像にてリンパ球の増加(18,200/μL)がみられる.
骨髄所見から 骨髄はリンパ系が優位で68%みられる. それらはクロマチンが粗荒で核形不整はみられず核小体も認めない.
細胞化学所見から 異常細胞はPO染色PAS染色EST染色に陰性である.
【形態診断】 末梢血、骨髄にみられるリンパ球は形態学的には成熟型で、末梢血のリンパ球数は15,000/μL以上で、骨髄リンパ球が40%を越える(Rai分類.1975)ものであり、高齢を加味してCLLを疑った. 表面形質の結果待ちになる.
〜後発信〜
表面形質から CD19、CD20、CD5、CD23、CD43、HLA-DR (+)、
IgM-λ (+)
分子生物学的から 46,XY、bcl-1gene(-)
(入院3ヶ月後) 46,XY,12q-,13q-[3/20]
【臨床診断】 頚部リンパ節生検にて増殖するリンパ球は小型で均一性、クロマチンも粗荒で成熟型を思わせる. 末梢血、骨髄も形態は類似し、骨髄、リンパ節生検を材料とした表面形質はB細胞を示唆するものであり、CLL/small lymphocytic lymphomaと診断された.
WHO分類(2022) 成熟B細胞腫瘍(mature B-cell neoplasms)
☆慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫
 (chronic lymphocytic leukemia/small lymphocytic lymphoma)


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