
症例47
| 年齢 | 50歳代 | |||
|---|---|---|---|---|
| 現病歴 | 倦怠感を主訴に来院し、白血球増加を指摘され、精査のため骨髄穿刺が施行された. 縦隔腫瘤あり. | |||
| 血液学所見 | WBC(/μL) | 12,150 | RBC(万/μL) | 393 |
| Hb(g/dL) | 11.8 | Ht(%) | 36.9 | |
| PLT(万/μL) | 11.6 | MCV(fL) | 93.8 | |
| MCH(pg) | 30 | MCHC(%) | 32 | |
| 血液像(%) | Blast様 44, St. 5, Ly 45, Mo 6 | |||
| 骨髄所見 | NCC(万/μL) | 24.6 | MgK(/μL) | 0 |
| Blast様(%) | 82 | Ly | 24.5 | |
| 生化学所見 | LDH 1,360 U/L | |||
| 染色体所見 | 46,XX,t(1;7)(q34;q34) | |||
| 化学療法 | JALSG-ALL97(CPM+DNR+VCR+PSL) | |||
![]() |
![]() |
|
|---|---|---|
| [骨髄×400.MG染色] 正形成のなかN/C比の高い芽球様細胞がみられる. |
[骨髄×1000.MG染色] 芽球様細胞のクロマチンは粗顆粒状で一部に核形不整がみられる. |
|
![]() |
![]() |
|
| [骨髄×1000.MG染色] 芽球様細胞の一部に核小体を認める. |
[骨髄×1000.PO染色] 芽球様細胞はPO染色に陰性である. |
|
![]() |
||
| [骨髄×1000.PAS染色] 芽球様細胞はPAS染色に一部陽性である. |
||
正解 : 1 前駆T細胞性リンパ芽球性白血病
拡大した形態画像には、解説が含まれています。
| 年齢 | 50歳代 |
|---|---|
| 〜前発信〜 | |
| 末梢血所見から | 白血球増加(12,150/μL)に伴う血液像にて芽球様細胞が44%みられる. |
| 骨髄所見から | 骨髄は正形成で芽球様細胞は82%みられる. それらは小型でN/C比は高く、核形不整や核小体を有するものがある. 核形不整は切れ込みを有するものがみられる. |
| 細胞化学所見から | 芽球様細胞はPO染色、EST染色に陰性である. PAS染色はごく一部に粗大顆粒状の陽性がみられる. |
| 【形態診断】 | 芽球様細胞は形態学的ならびにPO染色が陰性、PAS染色ではごく一部に、粗大顆粒状の陽性を認める.この陽性態度はリンパ球系を示唆する可能性が高いと思われる. したがってALLの診断になるが、縦隔腫瘤や核形不整の形態を考慮するとTcellのALLも考えた。 表面形質における診断となる. |
| 〜後発信〜 | |
| 表面形質から | CD7、CD5、CD3、CD4、cyCD3(+) |
| 分子生物学的から | 46,XX,t(1;14)(p34;q11)、 TCR再構成 γδ(+) |
| 【臨床診断】 | 臨床的に縦隔腫瘤があり、骨髄のリンパ系の細胞は表面形質や染色体所見からT-ALLと診断された. 染色体ではt(1;14)の核形異常とTCRγδ再構成を認めた. |
| WHO分類(2017) | 前駆リンパ球性腫瘍(precursor lymphoid neoplasms) ☆Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫(T lymphoblastic leukemia/lymphoma) |





