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症例49

年齢 50歳代
現病歴 全身リンパ節腫脹を近医にて指摘され、血液検査にて白血球が増加していたため、精査のため入院となる.
血液学所見 WBC(/μL) 236,920 RBC(万/μL) 473
Hb(g/dL) 11.0 Ht(%) 42.1
PLT(万/μL) 7.2 MCV(fL) 89.0
MCH(pg) 23.2 MCHC(%) 26.1
血液像(%) Ab.Ly 83.0  
骨髄所見 NCC(万/μL)  48.7 Ly様 15.0
Blast(%)  Ab.Ly  52.0   
生化学所見 LDH 702 U/L, Ca 14.5 mg/dL, UA 10.4 mg/dL

 
[骨髄×400.MG染色
N/C比が高く、比較的小型な細胞がみられる.
周囲には核影もみられる.
[骨髄×1000.MG染色
小型細胞は濃染性で核形不整がみられる.
 
 
[骨髄×1000.MG染色
核形不整は顕著で多様性である.
[骨髄×1000.PO染色
小型細胞はPO染色,PAS染色に陰性である.
 
 
[リンパ節生検×400.HE染色]
大小不同性でクロマチンは粗網状で核形不整が顕著である.
(久留米大学病理部 大島孝一先生よりご提供されたもの)
 

解説&臨床診断



 正解 : 5 成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)

拡大した形態画像には、解説が含まれています。

年齢 50歳代
〜前発信〜
末梢血所見から 白血球増加(236,920/μL)の分類にて異常(病的)リンパ球が83%みられる.
それらは、濃染状核で歪な核形不整がみられる.
骨髄所見から 骨髄は比較的に小型のリンパ系細胞が52%みられる. それらは濃染状で核形不整を有するものが多くみられる. クロマチンは粗荒で細胞質の好塩基性は中等度である.
形態学的には異常(病的)リンパ球が考えられる.
細胞化学所見から 小型細胞はPO染色PAS染色EST染色に陰性である.
【形態診断】 異常(病的)リンパ球は形態学的ならびにPO染色が陰性よりリンパ系が考えられる.
濃染状核、核形不整(盛り上がり状など)よりATL細胞を考え、次のステップへと検査を進める.
〜後発信〜
表面形質から CD2(97.7%)、CD3(96.8%)、CD4(95.4%)、CD25(97.1%)、
HLA-DR(98.3%)
染色体所見から 46,XX,t(7;14)(q34;q11)
【臨床診断】 末梢血および骨髄の形態、抗HTLV-T抗体陽性からATLを考え、表面形質はそれを強く支持するものであった. リンパ節生検では大小不同性で、クロマチンは粗網状で形不整が顕著なものが認められ、ATLの多形細胞型(pleomorphic type)と診断された.
WHO分類(2022) 成熟T/NK細胞白血病(mature T/NK cell leukemia)
☆成人T細胞白血病/リンパ腫(adult T cell leukemia/lymphoma: ATLL)


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