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第33回 問題と解答

問題

第33回
問題 1
CASE 1〜6における末梢血像の赤血球形態から考えられる形態所見をリストより選択してください。

CASE 1-6の選択所見
@ 赤血球凝集 A クリオグロブリン B 赤血球連銭形成
C 血小板 D マラリア E パッペンハイマー小体
F カボット輪 G ハウエル・ジョリー小体 H 有核赤血球



問題 2
Tリンパ芽球性白血病の症例ですが、本症と合致する特殊染色(CASE 7-10)のケースをリストより選択してください。

  • Case7
  • 拡大
  • BM-PO×1000
  • Case8
  • 拡大
  • BM-PAS×1000
  • Case9
  • 拡大
  • BM-ACP×1000
  • Case10
  • 拡大
  • BM-PAS×1000

問題 2の合致する所見
@ CASE 7のみ A CASE 8のみ B CASE 9のみ C CASE 10のみ
D CASE 7/8/9 E CASE 7/9/10 F CASE 7/8/9/10 すべて



今回のねらい

今回は、前回に続き、末梢血液像の赤血球形態に加えて、T-ALLにおける特殊染色の捉え方に挑戦します。赤血球形態では赤血球の集合体と赤血球内の封入物質について考えます。これらは、その発生機序や病態についても学習しておく必要があります。また、赤血球集合体の消失方法についても確認しておきましょう。
特殊染色は、急性白血病の診断に有効で、特にAMLでは威力を発揮しますが、ALLでも例外ではありません。ALLでは、PO染色の陰性を確認した後、PAS染色、ACP染色が有効になりますのでそれらの陽性態度を認識しておきましょう。

1). 阿南建一ら:形態学からせまる血液疾患. 468-470.近代出版.1999




解説

  • (PB-MG ×400 )Case1

    (PB-MG ×400 )Case2

    (PB-MG×1000)Case3
    (PB-MG×1000)Case4
    (PB-MG×1000)Case5
    (PB-MG×1000)Case6
  • (正解と解説)
    【正解】

    (CASE 1) B 赤血球連銭形成
    (CASE 2) @ 赤血球凝集
    (CASE 3) G ハウエル・ジョリー小体
    (CASE 4) E パッペンハイマー小体
    (CASE 5) C 血小板
    (CASE 6) D マラリア

    【解説】 

    (CASE 1)
    赤血球の集合とされる赤血球連銭形成で、赤血球が互いに広い面で数珠つなぎになった現象です。
    塗抹の際に発生する赤血球の塊状形成との鑑別が困難になりますが、面同士のつながりがポイントになります。観察する際は通常の観察領域(赤血球の2個以上の重なりが50%以内)よりやや厚めの部分が最適です。フイブリノゲンの増加(感染症、膠原病)やグロブリンの増加(多発性骨髄腫)などでみられます。
    (CASE 2)
    寒冷凝集素の発現による赤血球の集合です。0〜5℃で最も強い凝集を示し、採血塗抹標本上においてもみられます。本凝集は血球計数装置において赤血球数・Htの低値と赤血球指数の高値(MCH、MCHC)を呈するため、37℃に温めた後に測定することによって真値に近くなります。
    寒冷凝集素はIgM自己抗体で、血液型のIi型に特異性を示すといわれ、特発性(原因不明)や続発性(マイコプラズマ肺炎、悪性リンパ腫など)でみられます。
    (CASE 3)
    赤血球内封入体としてみられるHowell-Jolly小体です。直径は0.5μm以下で円形を呈し、通常1つの赤血球に1個認めます。摘脾後、機能的無脾状態、赤芽球の核分裂障害(悪性貧血・抗がん剤の投与・MDSなど)でみられます。
    (CASE 4)
    赤血球内封入体としてみられるPappenheimer小体です。鉄を有した赤血球(siderocyte)は水に不溶性で、タンパク質、含水炭素と結合してMG染色で青色に染まる顆粒としてみられます。この小体はFe染色で青色に染まることで証明されます。摘脾後の状態やヘム合成障害(鉄芽球性貧血、鉛中毒、慢性アルコール中毒)でみられます。
    (CASE 5)
    赤血球に血小板が乗っかった状態です。血小板の周囲が白っぽく抜けてみえるのが特徴です。
    (CASE 6)
    赤血球内封入体としてみられるマラリア原虫です。本例は三日熱マラリア(P.vivax)の環状体と思われます。感染したマラリア原虫によって一定周期の発熱を呈し、原虫が赤血球を破って出るとき血管内溶血を来すといわれます。本寄生体を発見しやすいように染色時のpHを中性からアルカリ性に傾けることが要求されますが、数多く出現する際は通常のpH6.4でも見逃すことはないようです。

    (文献.松本昇:ベーシック形態検査-赤血球.574〜580.
    Medical Technology.医歯薬出版.1988)



  • (BM-PO×1000)Case7

    (BM-PAS×1000)Case8

    (BM-ACP×1000)Case9

    (BM-PAS×1000)Case10
  • (正解と解説)
    【正解】
    F CASE 7/8/9/10 すべて

    【解説】 

    本題は急性リンパ芽球性白血病(ALL)の特殊染色について考えることになります。
    まず急性リンパ芽球性白血病(ALL)の全体を考えてみると、ALLであることよりPO染色の陰性から始まります。
    次にALLの診断で有効となるのがPAS染色ですが、B急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)では自験によると83%(1)に陽性がみられます。B-ALLの陽性態度で、粗大顆粒状・点状・塊状の強陽性がリンパ芽球を強く支持できることになります。もちろんPAS染色に陰性のものがあることも認識しておきます。
    一方、T-ALLではPASに陰性のものが多く陽性例は50%を下回りますが、ACP染色の意義は、B-ALLが散在性に、T-ALLが限局性に陽性を呈します。本例の陽性態度は後者です。従って、本例のALLの特殊染色は、CASE7/8/9/10のすべてが正解になります。

    (1)阿南:小児がん白血病研究グループ(CCLSG)-ALL798例.
    1989-2007



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