第46回 「マンスリー形態マガジン」 2015年2月号

『 正夢!「兄弟3人展」』

前 略

  私の2015年の夜明けは実弟との個展に始まります!
昨年の9月、実家(大分県杵築市山香町)のある山香(やまが)郵便局長さんより個展の依頼があり、実弟3人による開催が実現となりました。兄弟3人はもともと絵画を趣味にしており、長男は墨絵、次男は油絵、私は水彩を好んで描いております。長男は山水画の師範を取得し、次男は県美展に4回入選するほどの腕前ですが、私は全くの素人技法で美人画を嗜んでおります。このように兄弟3人が絵画を趣味にしていることや画法も異なることが推薦のようで、2月22日から3月21日の1ヶ月間、夢にまでみた「兄弟3人展」を郷里の大分で開催する運びになったのです。
  私と美人画の出会いは、さかのぼること23歳の頃、“霜月に氷雨の夜”コタツに身を寄せ、部屋に飾られた佐藤光園画伯の美人画に触れた時で、彩色に描写された“女性の優しさ”がとても印象的でした。それ以来「美人画」にのめり込んでいったようです。模写として始めた技法はクロッキー(速写画)から始め、次第に墨絵そして彩色に挑戦するようになります。
  初めて人前に展示することになったのは国立中津病院在職時(52歳)、「外来患者待ち時間対策」の一環として行なわれた文化祭でした。職員による習字、パッチワーク、絵画などが展示され文化祭はとても好評でした。
  2回目は国立病院機構九州がんセンター在職時(58歳)、福岡県甘木市で技師仲間7人で行なった「絵画・陶芸作品展」(2005.10.27~10.31)になります。これも好評で西日本新聞の朝刊(2005.10.26)に掲載されるほどでした。
  その後の試写体は今野由恵画伯(青森)、絵どうろう館画伯(秋田)の作品を模写するようになりました。
昨年と今年の正月には8点の新作を追加し、今回の個展では15点ほどの作品を展示することになっております。
  只今準備に追われておりますが、夢にまでみた兄弟との個展に2015年をかけてみたいと思います。

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 


ご案内状
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著作権について

今回のねらい

今回は骨髄の細胞同定と特殊染色に挑戦します。
骨髄では顆粒球系細胞の分化過程を提示します。これらについては、すでに何回も挑戦していますが、骨髄の構成細胞として不可欠な細胞でありますので今回も提示してみました。健常成人の骨髄における顆粒球系と赤芽球系の比率はほぼ3:1とされ、主たる造血細胞の構成を知る上で重要な評価になります。
特殊染色は、各種白血病に有効な細胞化学染色をピックアップしてみました。これらの陽性所見は特徴的なものもあり、その陽性態度にも着眼することが重要です。

問題

骨髄の細胞同定をリストより選んで下さい。

1-1<設問1> 選択

  • BM-MG.1000

1-2<設問1> 選択

  • BM-MG.1000

特殊染色より予測される形態診断 をA~Dそれぞれに行なって下さい。

2-1<設問1> 所見

  • EST二重-BM×400

  • PO-BM×400

  • PAS-BM×600

  • PO-BM×1000

解答・解説

問題 1

(正解と解説)

【正解】

(CASE A) 1-⑧.リンパ球、2-⑤.桿状核球、3-⑨.単球、-⑩.赤芽球、5-⑦.好酸球、6-⑥.分葉核球、
7-⑧.リンパ球、8-④.後骨髄球

(CASE B) 1-⑦.好酸球、2-⑤.桿状核球、3-⑤.桿状核球4-③.骨髄球、5-⑤.桿状核球、6-⑥.分葉核球
7-⑧.リンパ球

【解説】

(PB-MG ×1000)
(CASE A)
骨髄の強制乾燥標本による細胞の大きさ、核形、核網工、細胞質の所見から類似細胞を探し同定しましょう。1.と7.は細胞径10μm大の小型でN/C比が高く、核網工が粗剛よりリンパ球に同定しました。次に、2.と6.と8.は好中性顆粒球です。8.が後骨髄球で2.は桿状核球、6.は分葉核球に同定しました。
後骨髄球と桿状核球の鑑別は、前者は短径が長径の1/3以上で、後者はその1/3未満になります(小宮法.1988)。分葉核球は核の最小幅が最大幅の1/3未満(日臨技勧告法.1996)になります。3.は細胞径18μm大で最も大きく、核形不整と核網工は繊細で淡青色の細胞質には空胞とコブ状の突起を有することより単球に同定しました。
5.は細胞質に好酸性の顆粒を有することより(幼若)好酸球に同定しました。4.は細胞質の7時方向に僅かに多染性の色調を有し、核はクロマチンの結節を有することより(多染性)赤芽球に同定しました。
(PB-MG ×1000)
(CASE B)
CaseAの解説を参考にしますと上記のように同定しました。
4.は一見、前骨髄球に類似していますが、2.の桿状核球より少し大きい位です。
核は偏在傾向にありますが、核は小さく、細胞質は好酸性で細かい二次顆粒の出現がみられることより骨髄球に同定しました。2.と3.と5.は桿状核球、6.は分葉核球に同定しました。
3.については後骨髄球にみえますが、桿状核が折れ曲がっているものと予測しました。
1.は細胞径18μm大で最も大きく、好酸性の粗大顆粒は幼若好酸球を思わせます。7.は細胞径10μm大の(小)リンパ球に同定しました。



問題 2

(正解と解説)
骨髄のエステラーゼ二重染色、ペルオキシダーゼ染色、PAS染色おける染色態度より予測される形態診断を行なってみましょう。PAS染色は前回にも登場しました。

【正解】

(CASE A) ⑥.M4とM3、(CASE B) ⑦.ALLとM0、(CASE C) ⑤.ALL、(CASE D) ②.AML-M1

【解説】

(EST二重-BM×400)
(CASE A)
エステラーゼ(EST)二重染色です。ブチレートEST染色に陽性の単球とクロロアセテートEST陽性の顆粒球が散在性にみられ、顆粒球系と単球系の混在がうかがえます。従って、④AML-M4が第一選択になりますが、このような陽性像はまれにAML-M3でも遭遇することがありますのでM4とM3を正解にしました。
(PO-BM×400)
(CASE B)
ペルオキシダーゼ(PO)染色です。PO陽性の4個は好中球と思われ対象になりますが、それに比べ周囲の増加する芽球は大半がPO染色に陰性のようです。形態的にはリンパ球系を疑いますが、PO陰性のAMLではM0を考慮すべきと思われ、ALLとM0を正解にしました。
(PAS-BM×600)
(CASE C)
PAS染色です。増加する芽球の狭い細胞質や核の上にPAS染色に点状陽性がみられます。
この陽性態度はリンパ芽球を強く支持するものになります。これは自家製法で染色したものですが、赤色の終末反応に対してギル・ヘマトキシリン核染色の後に飽和炭酸リチウムで処理することにより対比染色となり鮮やかさを増します。
(PO-BM×1000)
(CASE D)
B.と同様のPO染色です。骨髄は芽球の増加がうかがえ未分化型のAMLが予測されます。
増加する芽球の豊富な細胞質にはPO染色陽性が弱~強度にみられることよりAML-M1を正解にしました。



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