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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

第47回 「マンスリー形態マガジン」 2015年3月号

日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)に参画して

前 略

  ただ今、日本小児白血病・リンパ腫研究グループ(Japanese Pediatric Leukemia/Lymphoma Study Group: JPLSG)における急性リンパ性白血病(ALL)の形態中央診断を仰せつかり業務を行っております。
  本グループは国内の小児白血病診療施設をほぼ網羅する多施設共同研究の受け皿として立ち上がったもので、事務局は名古屋医療センターにあります。
今や小児白血病は、国内外の積極的な共同研究の取り組みを通じて過去40年間の治療の進歩により、治療成績の向上がみられるようです。なかでもALLは乳児白血病を除くと約80%以上の症例において長期生存が期待できるようになってきております。
  日本の小児がん研究グループは以前より4グループが活動しておりましたが、JPLSGの立ち上げによって1つに集約されたことになります。その昔私は4グループのなかの九州山口小児がん研究グループ(KYCCSG. 1984-2007)と小児がん白血病研究グループ(CCLSG.1989-2008)の形態中央診断を担当したことがありますが、普通染色と特殊染色のみで行う光顕的診断の限界や他施設の診断にはかなりの重圧を感じておりました。
  しかし、約2500例の標本を観察することによって形態診断の深さを改め直すことができたことも事実です。
  JPLSG-ALLの形態中央診断は本部より2011年に依頼され、場所は福岡大学腫瘍血液感染症内科学にお世話になっております。これは同内科学の教授のご配慮によるものと同大学長より非常勤講師の委嘱も拝受しております。参加施設は145で、当診断部の登録例はB-ALL721例、T-ALL175例(2015.1.23現在)となっております。JPLSG登録例については、1人あたり初診時の末梢血・骨髄、治療後として3〜4回の末梢血や骨髄の染色標本や未染色標本が送られてきます。当診断部では治療による芽球の割合や初診時についてはPAS染色を施行します。PAS染色はリンパ芽球に80%以上に染まりやすく、なかでも点状〜塊状陽性はリンパ芽球を強く支持するものになるからです。もちろん、染色法は自家製法が最適です。
  検査技師として新たなる臨床研究グループに参画することができたのは光栄なことであり、前グループでは約24年間活動したことになりますが、今は業務を無事に遂行することと後継者づくりにも目を配ることが求められています。

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 


2015.2.20 我が家にて
2015.2.20 我が家にて



問題

第47回
問題 1
骨髄の細胞同定をリストより選んで下さい。

BM-MG×1000

選択細胞
@ 骨髄芽球 A 骨髄球  B 後骨髄球 C 桿状核球 
D 分葉核球 E 前赤芽球   F 好塩基性赤芽球  G 多染性赤芽球
H 正染性赤芽球


問題 2
末梢血・骨髄の細胞像より、所見を参考にした選択所見から形態診断を試みて下さい。

  • PB-MG×1000
  • 拡大
  • PB-MG×1000
  • 拡大
  • BM-MG×1000
  • 拡大
  • BM-MG×1000
  • 拡大
【所見】
A.(末梢血) 骨髄の芽球が20%以上、顆粒球系と単球系成分あり
B.(末梢血) PO染色が陰性、CD4/8の発現あり
C.(骨髄)  骨髄の芽球が20%未満、提示細胞のみ形態異常あり
D.(骨髄)  骨髄の芽球が20%未満、顆粒球系成分あり

選択所見
@ 好中球が増加している  ―  慢性骨髄性白血病(CML)
A 好中球に核異型性がみられる  ―  非定型性慢性骨髄性白血病(aCML)
B 単球が増加している  ―  急性骨髄単球性白血病(M4)
C 単球系に成熟過程がみられる  ―  慢性骨髄単球性白血病(CMML)
D 単球系に核異型性がみられる  ―  骨髄異形成症候群(MDS)
E リンパ球に核異型性がみられる  ―  成人T細胞白血病(ATL)
F リンパ球に核異型性がみられる  ―  伝染性単核球症



今回のねらい

今回は骨髄の細胞同定と形態診断に挑戦します。
骨髄では赤芽球系細胞の分化過程を提示します。前回と同様に骨髄では顆粒球系細胞と主格をなすものであるため同定基準の確立は必要です。
本細胞は細胞質の色調で命名されていますので好塩基性、多染性、正染性の細胞質の所見をしっかり捉えることになります。それはDNA合成障害における成熟乖離現象(核の遅延)を見抜くことにつながり巨赤芽球の同定が可能になります。
形態診断については初めての試みになります。1枚の画像から形態診断することはナンセンスですが、特徴的な形態像を提示していますので若干の所見を参考にして考えてみて下さい。

 




解説

問題 1

(正解と解説)

【正解】

(CASE A) 1-E.前赤芽球、2-H.正染性赤芽球、3-D.分葉核球、4-B.後骨髄球、5-D.分葉核球
(CASE B) 1-G.多染性赤芽球、2-F.好塩基性赤芽球、3-H.正染性赤芽球

【解説】

(BM-MG×1000)
(CASE A)
骨髄の赤芽球については、A.Bを参照して下さい。
A-1.前赤芽球で細胞径30μm大の大型です。通常の大きさが20〜25μm位ですのでかなり大型です。核はほぼ中心性で、核の中央あたりに核小体が沈んだようにみえ、細胞質の舌状(blister)の突起が特徴です。2.は細胞径8μmの赤血球大の極端に小型の正染性赤芽球と思われます。3.は核糸がみられ4分葉あたりの分葉核球で、5.は核の最小幅が最大幅の1/3未満を呈することから分葉核球に同定しました。4.は顆粒球系細胞の幼若型で細胞径14μm大で、核は少し陥没が見え始め、核網工の粗鋼さ、細胞質の塩基性は薄れ、顆粒(二次顆粒?)を有することから後骨髄球に同定しました。
(BM-MG×1000)
(CASE B)
1.は細胞径10μm大で、核中心性、クロマチンの結節が強く、多染性の細胞質から多染性赤芽球に同定しました。2.は細胞径16μm大で、核はやや偏在し、強度の好塩基性の細胞質から好塩基性赤芽球に同定しました。3.は細胞径8μm大で核は細胞質から飛び出そう(脱核)な感じがうかがえることより正染性赤芽球に同定しました。


問題 2

(正解と解説)

【正解】

(CASE A) B.単球が増加しているー急性骨髄単球性白血病(M4)
(CASE B) E.リンパ球に核異型性がみられるー成人T細胞白血病(ATL)
(CASE C) A.好中球に核異型性がみられるー非定型性慢性骨髄性白血病(aCML)
(CASE D) C.単球系に成熟過程がみられるー慢性骨髄単球性白血病(CMML)

【解説】

(PB-MG×0100)
(CASE A)
提示例は末梢血です。骨髄の芽球が20%以上、顆粒球系と単球系の成分あり‥という所見から、急性骨髄単球性白血病(M4)を疑います。M4ではこのように単球の分葉化が強度にみられることがあるので好中球と間違わないようにしましょう。単球はクロマチン網工が繊細です。
(PB-MG×1000)
(CASE B)
提示例は末梢血です。PO染色が陰性、CD4/8の発現あり‥という所見から、好中球(左から2個目)に比べると、4個の細胞は歪な核異型性が特徴です。PO陰性と言うことからリンパ球系を疑い、CD4/8の発現については多くはCD4(ヘルパーTリンパ球)の発現が主となり成人T細胞白血病(ATL)を疑います。他にHTLV-T抗体陽性、IL-2R(CD25)の増殖、高Ca血症、高LDH血症などが診断を裏付けます。
(BM-MG×1000)
(CASE C)
提示例は骨髄です。骨髄の芽球が20%未満、提示細胞のみ形態異常あり‥という所見から、7時方向のリンパ球を除くとすべてが顆粒球系細胞です。中央の大型は一見単球様ですが、クロマチン網工は荒く大型化した顆粒球系細胞で、両サイド1時と10時方向には偽ペルゲル核異常がみられます。骨髄の芽球の増加はなく、顆粒球系細胞のみに顕著な形態異常を示すことで非定型性慢性骨髄性白血病(aCML)を疑います。
(BM-MG×1000)
(CASE D)
提示例は骨髄です。骨髄の芽球が20%、顆粒球系成分あり‥という所見から、骨髄には単球系の分化過程がうかがえ、核が大きいものは前単球あたり、9時方向は単球かと思われます。骨髄の芽球の増加はなく、顆粒球系成分の混在から慢性骨髄単球性白血病(CMML)を疑います。



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