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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

第48回
問題 1
末梢血のA~DのMG染色から考えられる疾患をリストより選んで下さい。

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  • PB-MG×1000
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選択細胞
@ Pelger-Huet異常症 A Alder-Reilly異常症  B Jordan異常症 C Chediak-Higashi異常症 
D 溶血性貧血 E 巨赤芽球性貧血   F 鉄芽球性貧血  G 鉄欠乏性貧血



問題 2
骨髄のA~DのMG染色から考えられる疾患をリストより選んで下さい。
これらは、PO染色陰性の急性白血病ですが、確定診断への所見も考えて下さい。

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  • BM-MG×1000
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選択細胞
@ ALL A M0  B M1 C M2 
D M3 E M4   F M5a  G M6b
H M7



今回のねらい

今回は末梢血における先天性異常と貧血症、骨髄における形態診断に挑戦します。
末梢血では、白血球の形態異常として稀な先天性異常を提示しました。
また、よく類似した赤血球の形態異常を呈する貧血症を提示しました。
骨髄では、PO染色陰性の急性白血病を提示しました。
これらのなかには特徴的な形態像を示すものもありますので、形態像から診断を進めながら、確定診断のための所見も考えてみて下さい。

見習いウサギ
見習いウサギ

 




解説

問題 1

(正解と解説)
先天性異常にみられる白血球の形態異常と類似した赤血球形態を呈する疾患です。

【正解】

(CASE A) C.Chediak-Higashi異常症
(CASE B) B.Jordan異常症 (CASE C) G.鉄欠乏性貧血
(CASE D) F.鉄芽球性貧血

【解説】

(CASE A)
本症は、顆粒球系細胞全般に脱顆粒と巨大顆粒を、リンパ球には封入体を認めることが特徴で、巨大顆粒は一次顆粒と二次顆粒が融合したものといわれ、チエデイアック東異常症にみられた形態異常です。先天性では常染色体劣性遺伝にみられる白血球の機能異常で、全組織細胞のリソソームにおける細胞質内運搬障害とされ、臨床的にはメラニン分布異常による部分的白子症が特徴で、機能的には顆粒球の遊走障害、脱顆粒障害を生じ、易感染性を呈し予後不良とされます。後天性ではMDSなどでみられますが、この場合好中球のみに同様な形態異常を認めることが多いようです。
(CASE B)
本症はリンパ球を除く白血球の細胞質に大型の空胞がみられることが特徴です。
本例もリンパ球(5時方向)を除く単球(左上)、好中球(左下)、好塩基球(右上)、好酸球(右下)に大型空胞がみられます。この空胞は、脂質蓄積による心筋炎や肝臓の脂肪変性などにみられ、ズダン(Sudan)V染色に陽性を示すことより中性脂肪(トリグリセライド)とされ、ジョーダン(ジョルダン)異常症にみられた形態異常です。先天性では常染色体優性遺伝にみられます。
空胞は重症感染症などでもよくみられることで、形態のみでの鑑別は困難ですが、リンパ球を除くすべての白血球にみられることが診断に有効になるかも知れません。
何よりもアーテイファクトも考慮すると新鮮な血液を用いて検査することでしょう。
(CASE C)
本例は小球性低色素性貧血の例です。赤血球は小さいながらも円形や一部楕円状で、中央のくぼみ(淡明部.central pallor)が顕著な低色素性赤血球を認めます。
そのくぼみは1/3以上(正常は1/3以下)を示し菲薄赤血球として捉えます。
おそらく赤芽球の段階で小さくなることを運命づけられたものでヘモグロビン合成障害がうかがえます。赤血球指数ではMCVやMCHCの低下、血清鉄やフエリチンの減少、総鉄結合能の増加、不可染鉄の増加(Iron染色)などを確認した上で鉄欠乏性貧血を疑うことになります。
(PB-MG×1000)
(CASE D)
本例も小球性低色素性貧血の例です。低色素性赤血球(楕円・涙滴状)を中心に正常(正色素性)赤血球も混在してみられ二相性形成(dimorphic pattern)がうかがえます。二相性形成はヘモグロビン合成障害によって出現するもので、MCVやMCHCの低下、血清鉄やフエリチンの増加、総鉄結合能の減少、可染鉄の増加(環状鉄芽球)などを確認した上で鉄芽球性貧血を疑うことになります。
本症は、先天性としてビタミンB6の欠乏によるもの(ピリドキシン貧血)、後天性として骨髄異形成症候群(MDS)があります。従って、先天性を疑う場合はビタミンB6の検査は不可欠になります。


問題 2

(正解と解説)
ここに提示した急性白血病はいずれもPO染色に陰性のAMLです。CaseB.とD.は形態学的特徴を示すものと思われますが、CaseA.とC.は悩ませる例かも知れません。

【正解】

(CASE A) A.M0(最未分化型急性白血病)
(CASE B) F.M5a(低分化型急性単球性白血病)
(CASE C) G.M6b(未分化型赤白血病)
(CASE D) H.M7(急性巨核球性白血病)

【解説】

(CASE A)
まず芽球に顆粒がないこととアウエル小体を認めないことになります。鑑別を要する典型的なリンパ芽球に比べると、細胞質は広く、何よりも核網工が繊細のことで骨髄芽球を思わせます。
特殊染色では酸ホスファターゼ染色のみが陽性になりますが決め手に欠きます。診断には骨髄系(顆粒球系)のマーカーの発現に幹細胞レベルとしてのCD34が発現します。
(CASE B)
芽球は大型で、N/C比は低く、核はほぼ円形状で、核網工はやや繊細、明瞭な核小体を認め、中等度の好塩基性の細胞質を認めます。この形態は単球系を示唆するものであり、なかでも低分化型としての単芽球を思わせます。非特異的エステラーゼ染色が強陽性でフッ化ナトリウムに阻害され単球系を証明することになります。
(CASE C)
芽球は大型で、N/C比は低く、核は類円形状で、核網工はやや繊細ですが、黒い部分はクロマチンの集塊なのか核小体なのか不明です。強度の好塩基性の細胞質には空胞を認めます。
DLBCLやバーキットリンパ腫などを疑いますが、大型、核の形状、核質の繊細さなどから合致しないようです。強度の好塩基性の細胞質は豊富なRNAを含んでいることを考えると、未熟型赤芽球を疑いたいところです。赤芽球のマーカーとしてグリコフオリンAの他に、未熟型としてcarbonicanhydrase1、Gero抗体やCD36の発現がみられるようです。
(BM-MG×1000)
(CASE D)
芽球は大小不同で、核網工は濃染状と淡染状で核小体を認めます。細胞質は水泡(bleb)や蕾(bud)の偽足状突起を認めます。このように二つの染色性を有する芽球は巨核球にみられるものでM7を強く疑います。マーカーは、CD7・CD13・CD33・CD36・CD41・CD61などの発現がみら、血小板系以外にT細胞の一部や骨髄系マーカーなどが陽性を示すことが多いようです。



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