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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

題57回
問題 1
骨髄にみられた芽球を同定して下さい。

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  • BM-MG×1000
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選択肢
@ 正常な骨髄芽球 A 病的な骨髄芽球 B リンパ芽球
C 巨核芽球 D 単芽球 E 前赤芽球



問題 2
CMLの急性転化像を所見から考えて下さい(複数回答可)。

  • BM-MG×400
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  • LN-MG×400
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  • BM-MG×400
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【所見】
A.末梢血/骨髄:PO染色陰性、PAS染色陰性、N-EST染色陰性
B.リンパ節:PO染色陽性、N-EST染色陰性、骨髄/末梢血:異常なし
C.骨髄:PO染色陰性、PAS染色陽性、N-EST染色陰性

選択肢
@ リンパ系の転化 A 骨髄系の転化
B 巨核球系の転化 C 骨髄芽球腫



今回のねらい

明けましておめでとうございます。
本年もベックマン・コールター社のWebサイト「マンスリーマガジン」をどうぞよろしくお願い致します。
今回の細胞同定は、骨髄の芽球の形態に着眼してみました。
特殊染色を組み合わせて形態診断を行いますが、MG染色の特徴をしっかり掴むことも大事かなと思います。
症例は、慢性骨髄性白血病(CML)の急性転化について考えてみたいと思います。



解説

問題 1

(正解と解説)
骨髄像における芽球の鑑別を提示しました。勿論、芽球の形態のみで診断することはありませんが、諸検査への情報提供に一役買うものであり、特徴ある芽球については認識しておく必要があると思います。

【正解】

(CASE A) @.正常な骨髄芽球、(CASE B) A.病的な骨髄芽球、(CASE C) E.前赤芽球
(CASE D) B.リンパ芽球、(CASE E) D.単芽球、(CASE F) C.巨核芽球

【解説】

(BM-MG×1000)
A.は、細胞径16μm大で2時・5時・7時の赤血球を追い払うと大きさも細胞質も少し大きくなります。N/C比は高く(80%以上)、核はほぼ円形で、核網工(クロマチン網工)は繊細で核小体(→)を認め、細胞質の好塩基性は辺縁部に集合し、アズール顆を認めないことより正常な骨髄芽球に同定しました。大きさは前骨髄球より小さく、アズール顆粒を認めないとされます。

B.は、細胞径16μm大でA.と変わりませんが、N/C比は比較的高く、A.に比べると核形不整がみられ、核網工はさらに繊細網状で明瞭な核小体を有することより病的な骨髄芽球に同定しました。細胞質の好塩基性は弱く、本細胞にはアズール顆粒を認めませんが、他の視野でアズール顆粒やアウエル小体を認めたことで病的な骨髄芽球になります。一般に骨髄系の芽球は、クロマチンが核小体の周囲をしっかり取り囲む習性があるため鮮明に見えます。

C.は、細胞径23μm大の大型で、N/C比は低く、核は円形で同心円状、核網工は粗顆粒状で核小体を認めるようですが鮮明さに欠け、細胞質は強好塩基性で突起物(舌状)がみられることより前赤芽球に同定しました。前赤芽球の核小体についてはクロマチンが核小体の周囲を取り囲む習性がないため、その鮮明さは骨髄系の芽球に比べ劣るようです。

D.は、細胞径13μm大の好中球大で、N/C比は極端に高く、核形不整がみられ、核網工は粗剛で核小体は不明瞭、3個みられることは単一様式が想定され腫瘍性を考えリンパ芽球に同定しました。

E.は、細胞径30μm大の大型で、N/C比はかなり低く、核はほぼ円形で中心性(下部は赤血球との重なり)、核網工は粗網状で核小体は大きく、細胞質の好塩基性がみられ、空胞を有することより単芽球に同定しました。
鑑別を要する前単球は、大きさがやや小さくなり、核形不整がみられ、核網工がやや繊細で核小体を有し、淡好塩基性の細胞質に微細なアズール顆粒を認めるようになります。

F.は、細胞径25μm大で、N/C比は低く、核はほぼ円形で核小体を認め、細胞質の好塩基性は中等度で、判定には困難ですが、選択細胞から巨核芽球に同定しました。本型の芽球には通常、染色性の異なるものが混在することが特徴ですので周囲の状況を把握することが大事です(問題2-Cを参照)。

問題 2

(正解と解説)
CMLの急性転化像です。CMLはPh染色体/BCR-ABL遺伝子を有する造血幹細胞のモノクローナルな増殖による疾患であり、チロシンキナーゼ蛋白(p210kd)の存在が急性転化をもたらすといわれ、骨髄系(骨髄性、単球性、巨核球性、赤芽球性)やリンパ球系の多岐にわたり転化するといわれます。これらの急性転化を防ぐためにチロシンキナーゼ蛋白を阻害するものとして開発された分子標的療法のイマチニブ、ダサチニブやニロチニブなどが延命効果につながっていることは周知のことと思われます。A,B,Cは共に骨髄の中倍率(x400)です。

【正解】

(CASE A) @.リンパ系の転化、A.骨髄系の転化
(CASE B) A.骨髄系の転化、C.骨髄芽球腫
(CASE C) B.巨核球系の転化

【解説】

(BM-MG×400)
A.は芽球増加の背景には好塩基球が散見され、CMLの急性転化がうかがえます。
芽球のN/C比はさほど高くなく、核小体を認め、高倍率にしますと一部に顆粒を有するものもみられ、低分化型のAMLが疑われます。しかし、PO染色が陰性よりALLを筆頭に考え、またPO陰性のAMLも考慮しながら考えます。本例は表面マーカーで骨髄系のマーカーが陽性の例でした。すなわち、CMLからAMLへの転化のなかにPO陰性例は度々経験することですので注意が必要です。
(LN-MG×400)
B.は頸部リンパ節生検スタンプ標本のMG染色です。芽球から前骨髄球への分化がうかがえます。PO染色に陽性よりAMLの急性転化を疑うことになりますが、病理学的には“骨髄芽球腫”として診断されました。
本例は、この時点で骨髄と末梢血には芽球の増加はなく、リンパ節腫大が先行した急性転化例で、その後、骨髄、末梢血に芽球の増加がみられるようになりAMLの転化になりました。
(BM-MG×400)
C.は染色性の異なる芽球が目につきます(核の円形の細胞は赤芽球)。
すなわち、核に濃染状のものと淡染状の混在が特徴的所見になりますがこの由来は不明です。
特殊染色ではPO染色が陰性で、PAS染色に一部顆粒状の陽性を認めますが決め手にはなりません。ただ、ACP染色はゴルジ野あたりに大きな集塊状の陽性を呈します。形態学的には染色性の異なる芽球を捉え、表面マーカーでは血小板系(CD41,61,42)、骨髄系(CD13,33)、T細胞系(CD7)など複雑な発現が特徴的ですが、これらの発現も不明です。


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