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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

題58回
問題 1
骨髄の細胞同定を行ってください。

選択肢
@ 好塩基性赤芽球 A 多染性赤芽球 B 正染性赤芽球 C 前骨髄球
D 骨髄球 E 単球 F リンパ球 G 組織球
H 巨核球 I 破骨細胞



問題 2
血算の所見と骨髄標本の染色から設問に答えてください。

【60-65歳.男性】
WBC4,100/μL、RBC270万/μL、Hb9.2g/dL、Ht27.4%、PLT14.8万/μL、
BM-NCC12.6万/μL
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【染色】
A:MG染色(薄層塗抹標本) B:MG染色(圧挫伸展標本)
C:PO染色 D:EST二重染色
[PAS染色・鉄染色:異常所見なし]

設問
1. Aの所見を述べてください.
2. Bの所見を述べてください.
3. Cの所見を述べてください.  A・Bとの間に何か所見はありますか.
4. Dの所見を述べてください.
5. 考えられる形態診断は何ですか.



今回のねらい

本データベースは、新人さんの登竜門となるような内容に取り組んでおりますので、ベテランさんには物足りないかも知れません。
あくまでも血液形態学に興味をもっていただくことが到達目標ですのでその主旨ご承知の上、今年もお付き合いください。
今回の細胞同定は、骨髄の赤芽球や骨髄系細胞、その他の形態に着眼してみました。特に赤芽球では細胞質の色調を捉えることがポイントになります。
症例編は、塗抹標本の作製法、MG染色とPO染色、EST染色の所見から形態診断を行ってみたいと思います。



解説

問題 1

(正解と解説)
骨髄の赤芽球系と骨髄系を中心とした細胞の同定です。赤芽球の同定は、DNA合成障害による成熟乖離(核の遅延現象)が起こるため、比較的変化の少ない細胞質の所見すなわち色調を優先し、核所見は後回しした方がよいと思われます。従って、赤芽球の同定は大きさに始まり、細胞質所見、核所見へと進めます。赤芽球の大きさは前赤芽球20-25μm、好塩基性赤芽球16-20μm、多染性赤芽球12-18μm、正染性赤芽球8-10μmを目安にします。

【正解】

(CASE A) 1-F.リンパ球、2,3,4-A.多染性赤芽球
(CASE B) 1,2-B.正染性赤芽球、3-@.好塩基性赤芽球、4,5-A.多染性赤芽球
(CASE C) 1,2-C.前骨髄球、3-A.多染性赤芽球
(CASE D) 1-H.巨核球、2-C.前骨髄球、3-G.組織球

【解説】

(CASE A)
1.は12時方向の赤血球に押され気味ですが、核網工の粗剛さよりリンパ球に同定しました。
2.と3.は大きさは異なりますが、細胞質が多染性の色調より多染性赤芽球に同定しました。
4.は正染性赤芽球に類似しますが、クロマチンは粗大結節状を呈していることより多染性赤芽球に同定しました。その左上には脱核後の多染性赤血球もみられます。
(CASE B)
1,2.は細胞質の色調が赤血球の色調を帯び、核は濃染状の色調より正染性赤芽球に同定しました。3.は4.より若干大きく、細胞質は好塩基性で突起がみられ、核網工は顆粒状のことより好塩基性赤芽球に同定しました。4.5は細胞質は多染性で、クロマチンは結節状のことより多染性赤芽球に同定しました。
(CASE C)
1.は前骨髄球で問題ありませんが、2.は1.に比べ小型ですが、ゴルジ野の発達による核偏在とクロマチン網工は粗顆粒状、細胞質の好塩基性と粗大な一次顆粒(アズール顆粒)がみられることより前骨髄球に同定しました。小型であるのは分裂後のものと思われます。3.は赤血球に押され気味で細胞質は狭くなっていますが、クロマチンが結節状のことより多染性赤芽球に同定しました。
(CASE D)
1.は50μm大の大型で核分葉とアズール顆粒を有する成熟巨核球、2.は前骨髄球として問題はないでしょう。3.は単球に類似していますが、それに比べると大型で、核網工はやや粗剛、細胞質は淡青色で辺縁が不規則性のことより組織球に同定しました。


問題 2

(正解と解説)
本例は、貧血が先行した大球性正色素性貧血(MCV101.5fL,MCHC33.6%)で、骨髄は正形成で芽球は5%、顆粒球系と単球系細胞の増加、赤芽球の抑制がみられました。


【正解と解説】

A)骨髄薄層塗抹標本のMG染色(x1000)
細胞同定については、1.2は芽球様細胞と思われ、周囲の細胞群については偽ペルゲル核異常の好中球(赤→)、単球(青→)、リンパ球(緑→)に同定しました。7時方向は核型正常の好中球ですが低顆粒気味です。
B)骨髄圧挫伸展標本のMG染色(x1000)
本塗抹法は細胞同定には不適ですが、細胞の密度を観察するには適しています。細胞質の白く抜けた細胞は好中球の低顆粒を思わせ、偽ペルゲル核異常も認めます。核形不整(青→)は単球と思われます。本塗抹法は、細胞密度が高いことから好中球の低顆粒もクリアに見えるのかも知れません。
C)骨髄のPO染色(x600)
骨髄のPO染色を示します。1.は陰性の芽球で、2.は陽性の芽球と思われます。単球(青色→)は弱陽性で、リンパ球は陰性(緑→)、他は陽性の顆粒球系細胞と思われます。
一般にMG染色とPO染色から言えることは、好中球における顆粒の出現頻度とPO染色の陽性反応は一致しないということです。
本例は低顆粒にも拘わらずPO染色が陽傾性向にあります。
D)骨髄のEST二重染色(x600)
骨髄のEST二重染色を示します。ブチレートに陽性(茶褐色)の単球系とクロロアセテートに陽性(青色)の顆粒球系がみられ、各二系統の混在がうかがえます。中央にブチレート陽性の2個の単球に挟まれている二重陽性像(茶色→)は顆粒球系と単球系細胞の要素を加味備えた未熟期の骨髄単球(?)かも知れません。また、巨核球に陽性像(黒→)がみられ、特に6時方向は単円形核の形態異常を有する巨核球がうかがえます。巨核球におけるブチレート反応は、もう一法のアセテート反応に比べると陽性態度は弱く陰性を呈することもあるようです。
ブチレートEST染色は非特異的といわれる所以は、単球系以外にも、巨核球、リンパ芽球、形質細胞などにも陽性を呈することにあります。しかしながら、単球系細胞の陽性態度は一般に他の細胞に比べ強陽性を呈することが特徴のようです。
[形態診断]
大球性貧血のもと、末梢血には単球が1,500/μLと増加し、骨髄では芽球が5%、顆粒球系と単球系の増加がみられ、それはPO染色やEST二重染色の陽性態度で証明されました。周囲には好中球のペルゲル核異常や低顆粒また小型巨核球の形態異常がみられました。
骨髄では芽球の増加を伴わない顆粒球系と単球系の混在、また末梢血では単球の持続性増加(1,000/μL以上)が診断的ポイントで、それに二系統の形態異常も伴った慢性骨髄単球性白血病(CMML)と診断されました。CMMLでも形態異常は認められます。


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