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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

問題

第60回
問題 1
AとBは普通染色で左右同一標本ですが何かが異なるようです。
その異なる所見を述べてください。



問題 2
臨床および検査所見と末梢血・骨髄像より疾患を考え、本疾患の臨床分類から悪性度の程度を述べてください。

【40歳代.男性】 右頸部リンパ節腫脹
WBC41,200/μL、RBC312万/μL、Hb11.5g/dL、Ht29.4%、PLT5.1万/μL、
血液像(Ly.60%)、骨髄NCC15.2/μL(Ly.72%)、PO染色・PAS染色・EST染色(陰性)
  • PB-MG×1000
  • 拡大
  • BM-MG×1000
  • 拡大

選択肢
@ 前リンパ球性白血病 A リンパ形質細胞性リンパ腫 B ヘアリー細胞白血病
C 濾胞性リンパ腫 D 形質細胞骨髄腫 E バーキットリンパ腫





今回のねらい

今回は末梢血・骨髄像の普通染色の注意点と光顕的診断に挑みます。
日常より実施している普通染色に起こり得る点に迫ってみました。
検体採取に始まり、標本作製のための塗抹、乾燥、染色の一連のながれを今一度振り返る意味からも考えてみてください。
光顕的診断としてPO陰性の例を提示しました。骨髄に浸潤した細胞は末梢血にも出現しているようですので形態の特徴を捉え、そして増殖スピードによる悪性の程度も考えてみてください。



解説

問題 1

(正解と解説)
A.普通染色に発生した染色性の設問です。
B.普通染色における単染色と二重染色の違いについての設問です。

【正解】

A.は、染色性によって診断が異なった同一標本です。
B.は骨髄で顆粒球系の成熟過程に多めの顆粒がみられた像です。臨床診断は不明です。

【解説】

(末梢血)
A-1.は、某院でクロマチン網工が繊細、核形不整を認める単球系の増加を考え、急性単球性白血病(M5b?)と診断されたものです(7時方向はリンパ球です)。
A-2.は、3日後当院に相談を受けたもので、確認の意味で未染色標本にてMG染色を行ったものです。核形不整の顕著さは変わりませんでしたが、アズール顆粒が充満し、一部にファゴット細胞を認めたため急性前骨髄球性白血病(M3)を疑い、即、骨髄検査を依頼しM3の形態と、その後、t(15;17)/PML-RARAが証明されたことでM3と確診された例です。
原因を探ると、後染色に使用するギムザ染色の濃度の薄さと染色時間の短さが考えられました。
ここで、染色の安定性が求められます。それには、日々、正常検体の好中球を標的に、核や細胞質の顆粒の染色性をチエックすることで精度管理にもなります。
形態の単一性様式は腫瘍性を疑うものであり、まずはPO染色を行ない、単球系であれば弱陽性から陰性、異常の前骨髄球であれば強陽性を呈するので鑑別は容易です。両者の治療は異なり、M3は出血を伴いますので早期診断が求められます。
(骨髄)
B-1.は、ギムザ単染色で、成熟好中球のクロマチン結節は十分に把握できますが、幼若顆粒球(→)のクロマチン網工や核小体をしっかり捉えることが不十分です。
B-2.は、メイ・ギムザ二重染色で幼若顆粒球から成熟へ向かって、核網の繊細緻密から粗荒(結節)になっているのが判ります。顆粒は前骨髄球(→)のアズール顆粒から好中性顆粒の染色性まで優れています。ただ、本例は好中球の顆粒が多すぎることから中毒性顆粒の出現を念頭に入れておく必要があるようです。(ちなみに1.2.は骨髄球、3.4.5.は分葉核球と思われます)


問題 2

(正解と解説)
40歳代.男性で、右頸部リンパ節腫脹、白血球増加、血小板減少がみられ、末梢血にリンパ球の増加(24,720/µL)と骨髄にもリンパ球の増加(72%)がみられた例です。

【正解】

C.濾胞性リンパ腫

【正解と解説】

(PB-MG ×1000)

(BM-MG ×1000)

【末梢血】
リンパ球の増加は、慢性リンパ性白血病(CLL)の診断基準(5,000/μL以上持続性増加,WHO.2008)を参考にすると、本例の持続性増加は不明ですが、現状から考えますと増加傾が推測されるため腫瘍性を疑います。形態学的には、1.は幅が狭く浅い切れ込み(→)、2.はわずかに切れ込み(○)がみられることから異常リンパ球が考えられます。PO染色、PAS染色は陰性でした。

【骨髄】
正形成の骨髄でリンパ球は72%と増加しています。形態学的には、末梢血と同様に1.と2.には幅の狭い切れ込みがみられ、特に1.は核中心に向かってやや深い切れ込みがうかがえます。
また、3.は核内湾入がみられることより、異常リンパ球として捉えることになります。
異常リンパ球としてのこれらの核所見は全てのリンパ球にみられませんが、高倍率で観察すると結構みられます。本例は右頸部リンパ節腫脹があったことより、リンパ節で増殖したリンパ球が骨髄へ浸潤し、末梢血へ白血化した例と思われます。このような形態は濾胞性リンパ腫を疑うものであり、結果としてBcellが証明され、14;18転座、BCL2遺伝子を認め確診されました。

【検査所見】
CD10・19・20・22・79a・BCL2・sIg(+)、t(14;18)(q32;q21)/BCL2(+)

【頻度と悪性度】
濾胞性リンパ腫のわが国の頻度は、6.7%(LSG.2001)、18.3%(Aoki R.et al.2008)と増加傾向にあり、増殖スピードによる悪性度の分類では、低悪性度(年単位)にGrade1,2,3aが、中悪性度(月単位)にGrade3bが振り分けられています。これはリンパ節生検のHE染色にて胚中心芽球の割合いが多いほど悪性度が高まるようです。



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