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「ネットで形態」 マンスリー形態マガジン

第61回 「マンスリー形態マガジン」 2016年5月号

『 熊本、大分を襲ったM7の大地震 』

前 略

九州の熊本と大分に発生した大地震から二週間が過ぎました。
熊本県では4月14日の夜、益城(ましき)町で震度7(前震)、16日未明には益城町と西原村で震度7(本震)の未曾有の大地震に見舞われ、それは大分県の湯布院などにも大きな被害をもたらしました。
一連の「熊本地震」で熊本と大分県で震度1以上の揺れを観測した地震の回数は1000回を超え、震度別では、最大震度7が2回、震度6強は2回、震度6弱が3回、震度5強が3回、震度4が77回にも及んでいます。5月を迎えても 震度3は続いており余談は許せません。福岡でも16日未明には震度5弱を観測し、以後余震は続いていましたが現在は落ち着きました。
4月30日現在熊本県災害対策本部などによれば、死者49人、関連死疑い17人、安否不明者1人、負傷者1,620人、避難(熊本/大分)25,932人、建物損壊(熊本/大分)40,105棟(うち全壊2,247棟)となっています。
熊本の仲間とは連絡を取り合っていますが、全員無事で安堵しています。しかし、中には避難所から勤務している方もおり、不安と激務の日々が続いているようです。また、家屋の全壊や半壊の方もあり心が痛みます。
指定された避難所は600ヶ所、支援物質は校庭に書かれたSOSの表示やSNSを利用した情報発信などで集まっているようで、ライフラインについては20日に熊本全域に電気が復旧したものの、ガスは一部のみ、水道については未だ98,000戸で断水しています。また、避難所では、23日にインフルエンザやノロウイルスによる集団感染の情報が流れ、拡大防止が急務になっているようです。また、車中泊生活によるエコノミークラス症候群や熱中症などが浮上してきました。21日からボランテイアの受け入れが始まり、日本人の“助け合いの精神”に期待したいと思います。
新幹線は博多〜熊本は再開し、28日には全線復旧、高速道路についても開通の見通しがつき大きく一歩前進の兆しもみえてきました。しかし、熊本県内の学校の再開にはまだ遠いようです。
そのような中、災害を狙う空き巣被害(20件)が発生し、被災者による“家族の安全”“村の安全”が強いられていることに怒りを感じます。
私事ですが、技師養成の学部学生には東北大震災後以来、今回の熊本地震を講義の中で取り上げ、たとえばトリアージ、臨床検査技師の業務、エコノミークラス症候群、集団感染などにふれながら理解してもらうようにしています。学生諸氏には、いつどこで発生してもおかしくない自然災害に立ち向かう知識と強い姿勢を常に持ち続けて欲しいものです。

(資料:讀賣新聞.2016.4.21-30)

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 



問題

第61回
問題 1
骨髄像の細胞同定を行なってください。

選択細胞
@ 形質細胞 A 造骨細胞 B 破骨細胞
C マクロファージ D 骨髄芽球 E 前骨髄球
F 桿状核球 G 分葉核球 H 骨髄巨核球



問題 2
検査データと末梢血・骨髄像より考えられる疾患は何ですか。

【70歳代. 男性】 腹部膨満感にて来院、白血球数の増加がみられ入院された。
WBC73,500/μL,RBC411万/μL,Hb12.7g/dL,Ht37.6%,MCV91.5fL,MCHC33.8%PB-MG:Blast1%,promy8,My6,Met6,St14,Seg40,Eo3,Baso4,Ly6,Mo12
BM-NCC48.5万/μL,Mgk200
  • 拡大
  • PB-MG×1000
  • 拡大
  • BM-MG×400
  • 拡大
  • BM-MG×1000





今回のねらい

細胞同定では、骨髄像における細胞同定に挑みます。
顆粒球系細胞と非造血細胞を提示しました。
鑑別細胞に挙げられる細胞は何か、また形態学的に不具合がないかどうかを観察し同定してください。
症例では、検査データをヒントにして末梢血、骨髄像から考えられる血液疾患に挑んでください。
選択肢がありませんので鑑別疾患を挙げながら考えられる疾患を絞ってみてください。



解説

問題 1

(正解と解説)
骨髄の非造血細胞と顆粒球系細胞を提示しました。

【正解】

(case A) 1-A.造骨細胞、(case B) 1,2-A.造骨細胞、(case C) 1,2-C.マクロファージ
(case D) 1-E.前骨髄球,2-G.分葉核球

【解説】

(BM-MG ×1000)



AとBは大型で核は円形、好塩基性の細胞質に核の偏在が特徴です。
Aはクロマチンが粗網状で核小体を有し、Bはクロマチンが繊細網状で明瞭な核小体を有しています。Aは細胞質の広さと豊富な好塩基性から形質細胞に類似していますが、全体像とクロマチン網工の繊細さや明庭(ゴルジ体)が核から離れた位置にあることより造骨細胞に同定しました。
Bはそれに比べ、細胞質はさらに広く辺縁は不鮮明で明庭も核から離れた位置にあることより造骨細胞に同定しました。ちなみに3時の方向の小型な細胞は形質細胞かも知れません。

Cの1.は核も細胞質もはっきりしませんが、血球(?)を貪食した像がみられマクロファージに同定しました。2.は細胞質は読みとれるものの、これまた血球または異物を貪食した像がみられますのでマクロファージに同定しました。

Dは顆粒球系の幼若型と成熟型を提示しました。
1.は弱い好塩基性の細胞質にはゴルジ野の発達による核偏在性がみられ、僅かながら顆粒を認めます。細胞の大きさと核偏在より前骨髄球に同定しました。2.は好中球になりますが、肝心の二次顆粒を認めず低顆粒がうかがえます。核は僅かに分葉を呈しているようでクロマチンの結節もみられることから分葉核球に同定しました。


問題 2

(正解と解説)
70歳代の男性で腹部膨満、すなわち肝脾腫大が疑えます。白血球数の増加と血小板数も39.6万/μLと増加していました。

【正解】

慢性骨髄性白血病(CML)

【正解と解説】

(PB-MG ×1000)

(BM-MG ×400)

(BM-MG ×1000)

【末梢血】
白血球数増加(73,500/μL)の末梢血では、芽球を含む病的な左方移動がみられます。すなわち、桿状核球の増加に伴い幼若型が21%みられます。また、好塩基球の増加(2,940/μL;上限の基準値100/μL)、単球の増加(8,820/μL;上限の基準値800/μL)がみられました。この時点で、慢性骨髄性白血病(CML)か慢性骨髄単球性白血病(CMML)を疑うことになります。

【骨髄】
過形成の骨髄は顆粒球系が優位で、芽球は5%以下で顆粒球系の成熟過程がみられ、全般に顆粒の減少がうかがえました。好塩基球は5%、単球は6%でした。

【検査所見】
末梢血のNAP染色では陽性率が32%の低値を示しておりました。
骨髄においてt(9;22)(q34;q11)とBCR-ABL1遺伝子が認められました。

【診断】
光顕的所見では、顆粒球系の優位に伴う赤芽球系の抑制、好塩基球の増加、全般に顆粒の減少、NAP低値よりCMLを疑います。追加検査で、Ph染色体ならびにmajor (p210)BCR-ABL遺伝子を認めたことより慢性骨髄性白血病(CML)と診断されました。本例は単球の増加を伴ったもので、CMLで単球増加例にはp185BCR-ABL遺伝子を認めるものがあると言われますが本例は認めていません。CMMLについては、単球は末梢血と骨髄双方に増加しており、骨髄では赤芽球系の残存がみられ、また形態異常を伴うことが多いようです。単球の存在はEST二重染色が有効になります。



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