第62回 「マンスリー形態マガジン」 2016年6月号

『 敗戦時の日本を救ったスリランカ大統領の名演説とは‥ 』(その1)

前 略

  TV東京「未来世紀ジパング~知られざる親日国スリランカ!急成長‥その裏には?」(2014.1.13)の番組で、敗戦国の日本を救済したのはスリランカ民主社会主義共和国の大統領であったことを初めて知りました。皆さんはご存知だったでしょうか。この話は終戦後にさかのぼり、私が4歳の頃になります。
  第二次世界大戦敗戦国日本は、アメリカで開催されたサンフランシスコ講和会議(1951年9月)に当時の首相吉田茂が出席し調印文書に署名したことで、日本が国際社会に復帰する第一歩となった瞬間でありました。
しかし、日本の構想とは裏腹に、本会議の主たるテーマは、「日本の戦後賠償と日本の国の形」であり、事前にアメリカが中心となり青写真が描かれ各国との調整の場でもありました。すなわち、戦勝国アメリカ、イギリス、ソ連、中国から作成された「日本分割占領案」によって日本は4分割されることになっていたそうです。それは北海道・東北がソ連に、関東・北信越がアメリカ、中国・九州・沖縄はイギリス、四国は中国に統治されるということでした。
  本会議には実際に52カ国が参加しながら、アメリカ片寄りの進め方に、ソ連、チエコスロバキア、ポーランドは調印せず、中国、韓国はこの会議に招聘されていなかったと言われます。日本が今日、領土問題を抱えている3カ国とも会議の場で署名していないことは、今となって周辺国との確執を生む原因になっていることも考えられます。
  さて、この講和会議で日本を統治する形で話が進んでいるなか、スリランカ(元セイロン)のジャワルダナ大統領(当時国務大臣)は戦勝国に対し日本を救済する演説をされたそうです。「我々は日本との永年にわたる関わり合いのなか、日本がアジア諸国民のなかで唯一自由であった頃、日本を保護者として仰ぎ日本に対して抱いた高い尊敬の念があります‥‥人は憎しみによって憎しみは越えられない、この世においては怨みに報いるに怨みをもってしたならば怨みの恩むことがない‥‥」。この演説によって戦勝国は日本占領に対する考えを一転し、日本の分割は免れ、国際社会に復帰する道筋がつくられたことになりました。今日の日本があるのはスリランカ大統領のおかげと言っても決して過言ではありません。ちなみに、この名言「憎しみは愛によって消える」はブッダの教えだったそうです。

To be continued !

(資料:TV東京:日経スペシャル未来世紀ジパング抜粋)

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 



著作権について

今回のねらい

細胞同定では、骨髄像における細胞同定に挑みます。
骨髄でみられる各種細胞を提示してみました。
類似した細胞については鑑別のポイントを考えてみてください。
症例では、検査データをヒントにして末梢血、骨髄像から考えられる血液疾患に挑んでください。
今回も選択肢がありませんので類似細胞や鑑別疾患を挙げながら考えてみてください。

問題

骨髄像の細胞同定を行なってください。

1-1<問題1-A>

  • BM-MG×1000

1-2<問題1-B>

  • BM-MG×1000

1-3<問題1-C>

  • BM-MG×1000

1-4<問題1-D>

  • BM-MG×1000

検査データと末梢血・骨髄像より考えられる疾患は何ですか

2-1<問題2>

【所見】
【10歳代.女性】
発熱、倦怠感にて来院され、末梢血にて異常細胞を認めたため精査のため入院されました。
WBC6,100/μL、RBC390万/μL、Hb11.4g/dL、Ht39.1%、PLT16.7万/μL
PB-MG:異常細胞3%、St-Seg70%、Ly24%, Mo3% BM-NCC6.4万/μL、Mgk12/μL

  • PB-MG×1000

  • BM-MG×1000

  • 左:BM-PO×1000、右:BM-EST二重×1000

解答・解説

問題 1

(正解と解説)
骨髄の類似細胞を提示しました。

【正解】

(case A) 1-リンパ球、2-多染性赤芽球
(case B) 1-骨髄芽球、2-組織球
(case C) 1-多染性赤芽球、2-多染性赤芽球、3-正染性赤芽球、4-桿状核球
(case D) 1-桿状核球、2-単球、3-分葉核球

【解説】

(BM-MG ×1000)



A1とA2は細胞径が14μmと同大、核は円形で細胞質の色調は類似していますが、鏡検下では1.の方が好塩基性で、2.は多染性の色調です。1.のクロマチンの凝集は不規則性であるのに対し、2.は規則性にみられることから異なる細胞と考え、1.はリンパ球、2.は多染性赤芽球に同定しました。
B1は細胞径が15μm大、核はやや優位でクロマチンが繊細、細胞質の好塩基性も加味し骨髄芽球に同定しました。2.は細胞径が20μm大の大型、豊富な細胞質の辺縁は不規則性で異物または血小板の貪食(?)と空胞がみられ核は小さく不整形です。単球に類似していますが、大きさと豊富な細胞質から組織球に同定しました。
C1~C3は細胞径が12μm大の赤芽球の同定になります。
C1とC2は細胞質の色調が多染性で核中心性、クロマチンの凝集が規則性のことより多染性赤芽球に同定しました。C3は細胞質の色調が正染性で核偏在性、クロマチンの凝集が強く核は濃縮状(pyknosis)を呈していることから正染性赤芽球に同定しました。脱核前のものかも知れません。
D1とD2が類似していますが、D1は細胞径が13μm大で、核は棒状で核分葉がなくクロマチン結節が僅かにみられ、細胞質は橙色で二次顆粒(?)を有することから桿状核球に同定しました。それに比べD2は細胞径が15μmでやや大きく、核形は不整として捉え、クロマチンの繊細さと細胞質の灰青色より単球に同定しました。
D3は核分葉とクロマチン結節の強さから分葉核球に同定しました。



問題 2

(正解と解説)
10歳代女性で、軽度の貧血、白血球数は6,100/μL、血小板数は16.7万/μLでした。骨髄の有核細胞は6.4万/μL でした。止血検査はPT40%、フイブリノゲン117mg/dL、FDP30μg/mL、D-ダイマー210ng/mLでした。

【正解】

急性前骨髄球性白血病(APL:M3)

【解説】

(PB-MG ×1000)

(BM-MG ×1000)

左:(BM-PO ×1000)
右:(BM-EST二重 ×1000)

【末梢血所見】
白血球数は正常のなか末梢血で芽球様細胞を3%認めました。それらは、30μm大で核偏在性、クロマチン網工は繊細で核形不整や核小体を認めます。細胞質には微細なアズール顆粒がみられ一部にアウエル小体やファゴット細胞(○印)も認めました。これらはPO染色に強陽性でした。

【骨髄】所見
骨髄は低形成(6.4万/μL)ですが、芽球様細胞は65%認めました。それらは25μm大で核偏在性、クロマチン網工は繊細で核形不整が顕著、一部に核小体も認めました。細胞質にはアズール顆粒を認めないか少数認めます。

【特殊染色所見】
骨髄のPO染色は全般に陽性で一部に強陽性(細胞質一面にベタッとして染まり)がみられます。
EST二重染色ではクロロアセテートに陽性で顆粒球系の性格が示唆されます。
従って、これらの芽球様細胞は異常の前骨髄球(APL細胞)と診断しました。

【診断】
骨髄で増加するAPL細胞は末梢血にもみられ、それらは顕著な核形不整とアズール顆粒の減少、また一部にアウエル小体を認め、PO染色に強陽性を示したことから急性前骨髄球性白血病(APL:M3)の顆粒減少型が考えられました。骨髄の低形成はおそらく過凝固状態が考えられ、DIC所見がみられました。
表現型ではCD13・33が陽性、HLA-DRが陰性で、染色体・遺伝子検査では、t( 15;17)( q22:q12 )、PML-RARA遺伝子を認めたことからAPLと診断され、形態像より顆粒の減少より微細顆粒型に分類されました。
本症は白血球数の増加が特徴とされますが本例は正常でした。また、止血検査では線溶亢進型DICが考えられ、おそらくAPL細胞に存在するアネキシンⅡが関与していると思われます。血小板数の正常については代償されていることも考えられます。



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